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【ニュージーランド子育て・教育便り】 第24回 子ども用品のリサイクル

要旨:

ニュージーランドでは、日用品全般に渡り中古市場が充実しており、新しい物以外にも様々なルートで中古品を入手したり、寄付をしたりすることができます。今回は、子ども用品が捨てられることなく日常的にリサイクルされる様子を取り上げます。

ニュージーランドの子ども用品の入手先には子ども用品店やレンタル用品店はもちろんですが、その他に中古品を探すことのできる選択肢がたくさんあります。オークションサイトを中心とした中古品市場、小学校などのフェア(日本でいうバザー)、各種団体の運営しているショップ、コミュニティで運営されるリサイクルセンターなどです。各種団体の運営しているショップの例としては、キリスト教団体の一つである救世軍の運営するファミリーショップi、ホスピスの運営資金を集めるために地域のホスピスによって運営されているホスピスショップii、などがあげられます。これらのショップは多くのボランティアスタッフで支えられており、売り上げはその団体の趣意に沿う形で使われるようです。これらのショップでは子ども用品に限らず、日用品全般が扱われています。毎回足を運ぶ度に少し違うものがあるという楽しみがあり、気に入ったものを見つけることができると新しい物を買った時とは違う喜びがあります。

赤ちゃん用品

子ども用品の中でも、使用期間が圧倒的に短いものの、絶対に用意しなければならないものとして挙げられるものに赤ちゃん用品があると思います。我が家では、2人目が生まれるまでに7年も経っていたので、1人目の育児に使用した赤ちゃん用品は既に処分していたものが多く、2人目である息子が生まれる時には、赤ちゃん用品はほぼすべてを用意しなければなりませんでした。そこで、使用感にこだわりたいものは新品を買って、使い終わったら中古市場で売る、それほどこだわりのないものは小学校のフェアや寄付団体の運営しているショップなどの中古市場で買って、使い終わったものは寄付をすると決めて準備しました。もちろん物にもよりますが、価格のリサーチをすると、新品で買って中古として売っても新品の時の5割以上の値段で売れることが多いので、コストパフォーマンスを考えると新品と中古品のどちらを買えば良いのかはわかりません。ただ、中古という選択肢があったことで、だいぶ初期出費を抑えることができました。なお、おもちゃについては、以前記事で取り上げたトイライブラリーという仕組みがあり、有料ですが、図書館で本を借りるようにおもちゃを借りることができます。

チャイルドシート

車社会のニュージーランドでは、子ども用品の中でも大切な位置づけをされているのがチャイルドシートです。出産する病院の持ち物リストにわざわざチャイルドシートが記載されているほど、チャイルドシートは必需品です。チャイルドシートには使用期限が決められており、安全のために、プラスチック本体に使用期限の日付が刻印されています。廃棄処分して埋め立てられるという方法しかないことに疑問を感じ、チャイルドシートをリサイクルしようと思い立った設立者の考えから、2016年にチャイルドシートがリサイクルされる仕組みができました。シートスマートiiiというこの取り組みにより、地域によって無料~25ドルの料金を払う必要がありますが、ニュージーランド全土に39カ所ある回収場所でチャイルドシートが回収され、解体されてリサイクルに回されています。回収数は、既に17,000を超えているそうです。

子ども服

ニュージーランドで手軽に買うことのできる子ども服のブランドは、それほど多くなく、どの子どもたちも似たような服を着ていて、娘や息子と同じデザインの服を着ている子どもを街でもよく見かけます。「その服いいね」「どこで買ったの?」という、娘の友だち同士で褒め合って話題になるような服は、だいたい海外から送られてきたプレゼントか、旅行に行った時に買った服であったりします。そんな状況のためなのか、外で遊ぶことが盛んで、わざわざおしゃれをして出かける場所も限られるためなのか、どの子もそれほど服への関心が高いようには思えません。中古の服でも、好きなものを着られるなら大満足という子どもが多数です。中古の服の方が質やデザインが良いということも多いのです。娘も、小学校のフェアでたくさんの服を楽しく選んでいます。そして使い終わった服は、まだ十分使える状態であれば寄付するか、知人に譲るようにしています。服に関しては、ご紹介したようなリサイクルショップの他に、Clothing Bin(直訳:衣類のごみ箱)という服専用のリサイクルボックスが街角に設置されていて、不要な服をいつでも入れることができます。母国では、服は選んで買う方がいいからお下がりをもらうことには抵抗があったという方でも、ニュージーランドに来てからはリユースの習慣があまりにも根付いているから、抵抗がなくなったという人にたくさん会いました。私も日本にいた頃は、子どもの服を譲り合ったりしたのは、私自身が仲の良い学生時代からの友人などに限定されていたと思いますが、いまでは抵抗なくリユースを利用しています。

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人の背を超えるような高さのClothing Bin(服専用のリサイクルボックス)

保育園の忘れ物、落とし物も寄付

このように様々な形で中古品を手に入れ、使い、手放すことができる環境が整っているからでしょうか。年末になると、いかにもニュージーランドの小学校や保育園らしい、気持ちの和む光景が見られます。一年の間に子どもたちが保育園に置き忘れた物、落とした物が園庭に広げられるのです。保護者は送迎ついでに我が子の持ち物がないか見て回ります(もっとも全てのニュージーランドの小学校や保育園で実行しているわけではないかもしれません)。息子の通う保育園からは、例年同様、昨年も一年の終わりの週に「今年の落とし物を並べてあります。今週中に回収されなければ、捨てるか寄付します」という連絡が来ました。このチャンスに回収しなければ、どこかの寄付団体やClothing Binに流れていくのです。以前、娘が小学校に入ったばかりの年の瀬に、グラウンドのアスファルトの部分に大量の服、靴、バッグ、帽子などが並べられている光景を初めて見たときには「直接置くの? 汚れない? 持ち主以外に盗まれない?」などなどいろんな思いが渦巻き、そのあまりの大雑把さ加減に思わず笑ってしまったのですが、よく考えてみれば先生方にも負担が少なく、保護者も一斉にチェックができ、とても理にかなった仕組みなのかもしれません。

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保育園の忘れ物、落とし物

我が家では姉弟が7歳も離れているためか、娘の小学校のお友達のお宅の、弟さんや妹さんが使い終わった子ども用品をそろそろ処分しようというタイミングで、我が家の息子を思い出して頂くことが多いようで、大事によそのお宅で使われていた子ども用品を息子に譲っていただくことがよくあります。これらの物は、使い終わってお返ししたものもあれば、そのまま寄付してほしいと言われて、上述したような寄付団体に持って行ったものも数多くあります。こうして、頂いた赤ちゃん用品もほとんど捨てることなく、我が家から次の家へと引き継がれていきました。息子が3歳になった今でも、ニュージーランドはもとより、イギリスやカナダやイタリアなど様々な母国から大事に持ってきたという大切なおもちゃを譲って頂くことが続いており、息子は世界各国のおもちゃで遊んでいます。お洋服もニュージーランドや日本の方からお下がりを頂いてしまってばかり。リサイクル文化の根付いたニュージーランドの中でも、1人目の娘とは比較にならないほど息子はたくさんの物を譲って頂いています。多くの人に目をかけて頂いている有難さを感じています。



注記



筆者プロフィール
村田 佳奈子

東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。幅広い分野の資格試験作成に携わっている。7歳違いの2児(日本生まれの長女とニュージーランド生まれの長男)の子育て中。2012年4月よりニュージーランド・オークランド在住。
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