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【ザンビアの子育て・生活事情】 第8回 子どもの身だしなみ

カエベタ 亜矢

2015年7月24日掲載

要旨:

ザンビアでは、髪の毛や肌の手入れ、衣服や靴へのこだわりなど、日常的な身だしなみにかける時間と労力が大きい。女性は、編み込みやつけ毛などをするが、それは、おしゃれに加えて髪の毛の手入れの時間を省略できるという利点もある。乾季には極度に乾燥するのでスキンケアは欠かせない。衣服にはアイロンをかけ、靴は磨かれている状態に保つのがマナーとなっているが、それらは、学校通いや教会への出席等、日常的な活動を通じて、子どもの頃から習得していく。

Keywords:身だしなみ、髪の毛の手入れ、スキンケア、アイロンがけ、靴

今回は、私が娘達を育てる日常の中で気付いたことを含めて、子ども達の日常の身だしなみについて書かせていただきたいと思います。日本人の私にとっては、それまで知らなかったザンビアの習慣に加えて、娘達がザンビア人の父親から譲り受けた身体的な特徴においても、子育ての中で色々な発見がありました。

髪の毛の手入れ

ザンビア人の女の子は、朝寝坊をして起き抜けに学校に飛び出して行く、ということはできません。ザンビア人の縮れ毛は、いわゆるアフロヘアで、とかさずに放っておくと、下がらずに膨張して広がります。それなので、毎朝、髪の毛の手入れが欠かせません。第1回目に、ザンビア人の女性の髪型についてご紹介しましたが、ザンビア人女性の多くは、おしゃれとして編み込みやつけ毛をしますが、もう1つの理由として、毎朝の髪の毛の手入れが省ける、という利点があります。編み込みもつけ毛もしていない、自毛(自分の髪の毛)の状態の時には、塊になった縮れ毛を、アフロ用の櫛(大きなフォークのような形で、櫛の先の部分が長くなっています)で、少しずつ、根気よく、とかしていく必要があります。この作業は、慣れている人でも20~30分はかかります。

私の娘達も全員、父親譲りの縮れ毛ですが(長女と次女は、ザンビア人の性質が強く出ていて、かなり縮れています。三女は、縮れ具合が緩く、細かいウェーブがかかった感じです)、娘達が幼い頃には、私も毎朝、髪の毛の手入れに悪戦苦闘していました。慣れていなかったので、1時間位かけて、漸く何とかまとまった状態に仕上げたのを覚えています。ザンビア人の女性は、友達や姉妹の間で、お互いに髪の毛の手入れをし合って、スキルを身につけていきます。それなので、母親になる頃までには経験を積んでおり、子どもの髪の毛の手入れも、慣れた手つきでこなします。娘達も、それぞれに習得して、ある程度は自分でできるようになりました。一方、私は、結局、あまり上達しないままで終わってしまいました。

男の子については、短く刈った頭なので、女の子に比べるとかなり簡単です。でも、やはり日本人のような直毛と違って、縮れ毛なので、ブラッシングで、小さな埃やゴミを除いたり、毛並を整える必要があるそうです。ザンビア人男性の髪型は、一見、みんな同じように見えますが、各々、長さやヘアスタイルにこだわりをもっていて、やや長めが好きな人、頭皮が見える程に短くするのが好きな人、刈り込みを入れる人等、よく見るとバラエティがあります。

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(左)三女:エクステンション(つけ毛)をして、更につけ毛を編み込んだヘアスタイル
(右)フォークのような形状のアフロコーム(縮れ毛用の櫛):右の短い型が一般的に出回っています。
左の長い方は、下端のとがった部分が、編み込みの際に、髪の毛をより分けるのに便利です。

スキンケア

ザンビアは、1年の間に雨季(12月~4月)と乾季(5月~11月)があり、乾季の間は5、6か月雨が全く降らず、非常に乾燥します。その乾季には、スキンケアを怠ると肌が極度に乾燥して、白く粉を拭いたような状態になったり、乾燥により肌がダメージを受けて痒みが生じてしまうことがあります。多くのザンビア人は、スキンケアのために、グリセリンやワセリンを常時携帯して、いつでも肌に塗れるようにしています。私の娘達にも、小学校に上がる頃から自分達で管理できるように各自ワセリンを持たせていましたが、最初の頃はまだ自分でやる事に慣れず、忘れてしまうことが時々あり、脚のすねが乾燥して白くなってしまうことがありました。そういう時には、「キャッサバみたい。ちゃんとスキンケアしないとね。」と、周りの人にたしなめられました(キャッサバは、保存するために、皮を剥いて乾燥させますが、その見た目が乾燥して白く、粉を拭いたような状態になります)。また、逆に、ワセリンを塗り過ぎて、顔が脂ぎって光ってしまうこともありました。そういう時には、「フリッター(小麦粉を水で溶いて揚げたお菓子)みたい。」と、友達からからかわれてしまうこともありました。

スキンケアとして、もう1つ、日焼け対策があります。ザンビア人は、男女ともに、より白い肌を望む傾向があるようです。特に女性にはそれが顕著で、特殊な薬品を使用して肌の色を薄くしたり(ブリーチ[漂白]といいます)、もともとの肌の色よりも薄い色のファンデーションを厚く塗って白く見せる、ということをする人達もいます。一方、日焼け止め製品はまだあまり普及していないようで、店頭でも、他のスキンケア製品に比べると品数が少ないです。娘達の肌の色は、髪の毛同様、3人それぞれです。長女の色が3人の中では最も薄くて、次女はザンビア人と同じ位に濃く、三女はその中間です。娘達の学校では、水泳の授業があるのですが、毎年、水泳の時期になると、3人とも、肌の色がより黒くなりました。もともと黒い肌の人が、日に焼けると更に色が濃くなる、というのは、私にとっては新たな発見でした。それに気づいた後、ザンビア人をよく観察してみると、彼らも日に焼けると、肌の色がより濃くなるということがわかりました。

衣服

ザンビア人はおしゃれで、着るものに対するこだわりをもっている人が多いです。街行く人々を見ると、みんなそれぞれにおしゃれを楽しんでいるのがわかります。コンパウンド(非計画居住区)の中にあるマーケットでは、食べ物を売る店(屋台)に並んで、古着を売る店(屋台)が軒を連ねています。古着屋では、比較的安価で購入できます。私の知る限りでは、シャツもボトムスも、1ドル程度から購入できます。現地の人の間では、もう少し安く購入できるのかもしれません。コンパウンドに居住する人達は、毎日の生活を支えるのが精一杯の人も多いのですが、そういう状況下でも、やりくりをしながらの古着屋でのショッピングは、彼らの楽しみの1つになっているようです。ザンビア人は服の着方にもこだわりがあって、ピシッとアイロンをかけて着る習慣があり、袖の中央に、アイロンをかけた線を故意に残す人もいます。

ザンビアは、幼稚園も制服着用のところが多いのですが、娘達の通っていた幼稚園は制服がなく私服だったので、毎晩、次の日に来ていく服を3人分選んで、アイロンがけをしました。そして、朝には髪の毛の手入れがあるので、幼稚園の授業がある期間は、気が抜けない毎日でした。クリスチャンが大半を占めるザンビアでは、日曜日には家族揃って教会に行くのですが、教会に行く際には、大人も子どもも正装(スーツかそれに準ずるものを着用)します。教会に行く時の身だしなみは、仕事や学校に行く時よりも、更に気合いが入ります。私自身は、教会には夫と子どもについてたまに参加する程度でしたが、娘達の準備の手伝いで、毎週日曜日の朝には一仕事あり、夫と娘達を送り出した後には、ほっとティータイムでくつろぎました。

ザンビア人の靴に対するこだわりは服と同様で、マーケットの古着屋に並んで、中古の靴を売る店もあります。ザンビア人の女性は、背の高い人が多く、170cm以上の人が軒並みいます。足のサイズも大きく、26cm、27cm、それ以上の人も結構います。背の高いことをコンプレックスに感じている女性は少ないようで、180cmくらいある女性でも、高いヒールの靴をはいて更に高くなり、ものすごい威圧感を感じさせることがあります。長女は幼い頃から、身長も体重も、年齢の平均よりかなり大きめで、幼稚園や学校のクラスの中でも体の大きさが際立っていました。10歳頃から急に背が伸びて、足のサイズも大きくなり、12歳の時には、身長は160cm、靴のサイズは25cmを超えました。私は「もうそろそろ止まってくれれば。」と思っていましたが、長女は「父親(180cm以上)よりも背が高くなりたい。」と言っており、それを聞いて当惑したのを覚えています。次女と三女も、長女に続いて大きくなってきているので、あと2、3年もすれば、私が家族で一番小さくなってしまうでしょう。10年前にはみんな赤ちゃんだったのに、わかっている事とはいえ、子どもの成長には驚かされます。

ザンビアの学校では制服着用のところが多いのですが、それに合わせて、靴は黒の革靴が指定されていて、毎日の靴の手入れも大変です。体育の授業では運動靴を履きますが、普段の休み時間に外で遊ぶ際には革靴なので、学校で一日過ごして帰宅すると、靴がどろどろ(砂や泥にまみれて汚い状態)になってしまいます。3組くらいは準備しておいて使い回す必要があるのと、すぐに履きつぶしてしまうので、合成皮革で、汚れが落ちやすく比較的安価なものを選んで購入するようにしていました。ザンビア人は、靴を拭くための布と靴用ブラシを持ち歩いていて、外を歩いて埃にまみれてもすぐにきれいにできるように心がけています。他人の家を訪問したり、仕事で会議に出席したりするときに、外を歩いてきたので靴が埃まみれ、というのは、彼らの間では受け入れられないようです。


日本に比べると、ザンビアでは、毎日の身だしなみに費やす時間と労力が大きいので、当初は非常に負担に感じていました。でも、それらの作業を通じて、子どもとの接点ができること、一日の始まりに心の準備ができること等、プラスの部分もあることに気付きました。また私は、ザンビアに行く前は、なるべくアイロンをかけなくても良い服を選んで、少しくらい皺があっても気にせずに着ていたので、アイロンをかける習慣がありませんでした。でも、きれいにアイロンがかかった服を着ている人達を見ると、やはり気持ちが良く、私自身の認識を改めるきっかけにもなりました。

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(カフエ川でのボートクルーズの前に撮影)
左から次女、三女、後列は長女:自毛だけで編み込んだヘアスタイル

筆者プロフィール
aya_kayebeta.jpgカエベタ 亜矢(写真右)

岡山県生まれ。1997年千葉大学医学部を卒業後、東京大学医学部小児科に入局(就職)、東京都青梅市立総合病院小児科勤務を経て、2000年にJICA技術協力プロジェクト(プライマリーヘルスケア)の専門家としてザンビアへ渡る。その後、ザンビア人と結婚し、3人の娘(現在、小4、小5、中1)を授かる。これまでザンビアで、小児科医として、HIV/AIDSに関する研究、結核予防会結核対策事業(コミュニティDOTS)、JICAプロジェクト(都市コミュニティ小児保健システム強化)等に携わってきた。一方、3人の子どもの母親として、日本から遠く離れたアフリカ大陸で、ギャップを感じつつも、新たな発見も多く、興味深い子育ての日々を送ってきた。
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