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【ニュージーランド子育て便り】 第21回 はじめての国政選挙

村田 佳奈子

2014年11月 7日掲載

要旨:

ニュージーランドでは外国人にも選挙権が与えられている。先日、初めて選挙を経験した。投票場は、とても明るく子どもも連れて行きやすかった。ニュージーランドの選挙についてレポートする。

ニュージーランド(以下、NZ)では、この度、3年に1度の国政選挙 がありました。NZは一院制で120議席です。そして、外国人の私たちにも国政選挙の選挙権があります。正確には18歳以上で永住権があり、 過去1年以上NZに滞在した人、というのが外国人の投票条件です。実は、この事実をしっかり知ったのは選挙当日(2014年9月20日)の1週間前。知識はあったのに、日本では外国人の夫に選挙権がなかったこともあり、選挙権は国民のものと無意識のうちに思い込んでしまっていたようです。どこか「NZの選挙、どうなるのかな」と傍観していました。ところが、選挙日が近づくにつれて、ネット上や街中の広告 、SNSなどで度々流れてくる「選挙登録は済ませていますか」であるとか、事前投票を済ませたNZ国籍ではないであろうお友達の「I have voted.」とアップロードされる写真の数々。そこで、はっとして 「そうだ私たちも選挙に行けるんだった...」と、NZで初めての選挙に向き合うこととなりました。

住民票などがないNZでは、選挙をするために、まず、登録をしなければいけません 。これはニュージランド人でも同様で、投票する資格に該当するようになった人は、登録しなければならないことになっているようです。登録手続きは簡単でネット上で数分の手続きで申し込みすることができました(紙での手続きも可能です)。その後、通常は2週間ほどで完了するという登録手続きですが、既に選挙当日まで1週間を切っています。しまった...と思っていたら、速達で登録完了のお知らせと、20日の投票の案内が送られてきて、投票日に間に合いました。ぼんやりしていて反省するも、こんなタイミングで登録する人が多いのかもしれません。選挙の案内は、なんと25カ国語で書かれていました。もちろん日本語もありました *1。NZの選挙では、政党名の投票と候補者名の投票と計2票分の投票を行います *2。双方について調べて、いざ投票です。

投票会場は、大学、教会、小学校など会場として指定された数多くの場所から好きな場所を選択し、投票に行けばよいそうです。NZの小学校の周りは保護者の送迎用の駐車スペースがいっぱいあるという理由で、我が家は小学校に行きました。小学校は、一室が投票スペースになっていましたが、その部屋に面した校庭では小学生の子どもたちがホットドックを売っていたり、保護者がマフィンやコーヒーを売っていたり、校庭の遊具で遊ぶ子どもたち、コーヒー片手に談笑する人たちの姿も見えました。選挙だけ済ませてすぐ帰る人も多いですが、なんだか人がいっぱい談笑していて、のんびりしています。一緒についてきた娘は、大人が大事なことをしにいくのだという説明を事前に聞いていた分、多少まじめな雰囲気でしたが、明るい雰囲気とお菓子の存在にすっかりリラックスムードになっていました。

投票会場では、投票で使うものが全て段ボール素材でできていることに驚きました。投票台も投票箱も全て段ボールです。投票箱をテーブルに固定している紐も、プラスチック製の簡易なもの。投票用紙には、あらかじめ政党名と候補者名が印刷されており、オレンジ色のペンでチェックを入れるだけでした。私たちは、選挙登録が1週間前となってしまったため、やはり選挙人名簿には記録されていなかったようで、当日は少し煩雑な手続きとなってしまいましたが、「今回、初めての投票でプロセスが良くわかりません。」という私たちに笑顔で対応してくれました。また、外国人が投票することに対して、どんな反応をされるのだろう?と思いましたが「初めてでワクワクしている?(Are you excited?)」と明るく言ってもらえました。手続き中、娘の話し相手をしてくれた選挙管理の人たちにもすっかり助けられました。そして、娘は「良いものあげる」、と「YES I HAVE VOTED」のステッカーをもらい、持ってきたペンギンのぬいぐるみに貼ってご機嫌です。投票を終えて、外でマフィンを購入し、校庭で遊びながらマフィンを食べて帰宅しました。私の場合、笑顔や子ども相手などとは無縁な日本の選挙の厳粛な雰囲気にとらわれていた分、この雰囲気は、子連れで投票にいきやすいなぁと思いました。選挙の結果も、子どもたちのより良い未来に反映されればと思います。

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投票を終えた後、買ったマフィンに大喜び

選挙の結果は、与党の国民党(National Party)が勝利をおさめました。投票率は77% 。これでも高くはないそうです。NZでは、小さな国である上に様々な制度変更も大胆になされるためか、政治は生活を左右する大事なことであると実感しやすいように思います。当日は、その後、お誕生会にお呼ばれしていましたが、その場に集まった人たちも、「選挙は行った?」と口ぐちに選挙のことを話題にしていました。日本と違って選挙期間中も街頭演説というのが行われているところに遭遇することもなく、実に静かでした。それでも、テレビ番組を見たり、ネットで検索したり、討論会に参加したり、それぞれ調べて投票しているのだなと思いました。国民が選挙を大事にしているとことは、こういった当日の雰囲気からも感じることができました。


筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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