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【ニュージーランド子育て便り】 第20回 5歳で小学生(生活編)

村田 佳奈子

2014年10月17日掲載

要旨:

ニュージーランドでは、多くの子どもたちが5歳の誕生日を過ぎると小学校に通い始める。前回は、5歳の学習内容についてレポートしたが、今回は小学校の雰囲気やルールなど、学習以外について、日本とは違う点を紹介したい。

前回の小学校(Primary School)1年生での学習内容に引き続き、雰囲気やルールなど小学校での生活について、興味深く思う点を取りあげたいと思います。学校によって違いの大きいNZですが、前回と同様、私たちが見学してきた幾つかの小学校に共通して見えた部分を取りあげたいと思います。

制服とバックパック

小学校は私服のところもありますが、制服が決まっているところも多いようです。制服といっても、日本の中学生が来ているようなカッチリしたものというよりは、ポロシャツのような動きやすい素材の制服が多いように感じます。また子どもたちはバックパックを持参していきますが、その形や色に指定はなく、自由なところが多いようです。見学時には、廊下や教室に、色とりどりの大きなバックパックが収納されていました。

スナック、ランチ持参

ランチは基本的には子どもたちが家から持参します。日本のようなお弁当というよりは、サンドイッチに果物(りんご1個など)といったランチを持参することが多いようです。ただし、学校によっては、準備が難しい家庭は、サンドイッチ、寿司(巻き寿司のこと)などの注文も可能です。学校で希望をとりまとめ、外食チェーンの有名どころなどに注文してくれるようです。また、ランチとは別に、空腹だと集中力を欠くとのことで、ランチの1-2時間ほど前に、ちょっとしたスナックを食べる機会があり、それらも持参します。こちらは、シリアルやバーなどちょっとしたおやつと言った感じで、ランチと一緒の容器に入っていたりします。そのため、5歳児は、スナックの時間にランチの分も一気に食べるのではなく、きちんと分けて食べることに慣れていくよう、先生方が気にかけて下さるとのことです。1日に複数回食べる機会があることについては、日本と違って興味深いなぁと様々な場面で話題にしていたら、「だからNZは肥満 *1が増えるのね。日本はランチ1回だけにしているなんて素晴らしい」というお母さんもいて、面白いなぁと思いました。なにはともあれ、基本的には、家から持参したものを1日に何度か食べる機会があるようです。

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子どもたちの持参するランチボックスのイメージ

PCやタブレット端末がいっぱい

NZではICT教育が盛んなことは以前ご紹介しましたが(第15回)、小学校に見学に行くと、1つの教室にPCとタブレット端末が10台以上ずつあるなど、その数に圧倒されました。廊下にずらっとPCが並んでいた学校もありました。これとは別に、ICT教育用の部屋もあるとのことだったので、かなりの数のようです。どの程度使うかは学校による裁量もあるようですが、PCやタブレット端末を使っている子どもの姿を見る機会がとても多くありました。

保護者が送迎

NZでは、小学校の送り迎えは保護者がします。車での送り迎えが当たり前のため、小学校の周辺の道路は登下校の時間用に駐車スペースがたくさんあります。集団登校のようなものがある学校もありますが、その場合も、子どもだけではなく、数名の保護者が必ず引率するようです。スクーター(日本でいうキックボード)での通学も許容されていて、校内にスクーター置き場のある学校が多くありました。子どもにのんびりと歩かれるよりもスピーディーにスクーターで進んでくれる方が付き添う親も楽という実用的なアイテムでもある気がします。また、NZでは14歳未満の子どもが一人で家にいることが法律で禁じられています *2。この法律はかなり厳格に守られており(近所の人から警察に通報されてしまいます)、帰宅後のいわゆる「鍵っ子」という選択肢はありません。そのため、送り迎えができない共働き家庭では、祖父母や友人などに頼れる場合を除けば、学校の前後に子どもを見てくれるサービス *3を利用することになります。

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スクーターは子どもの一般的な乗り物

保護者のボランティア

どこの学校も保護者のボランティアを歓迎しています。学校の図書の整理、イベントのお手伝い、校外学習の引率など、様々な形で保護者は学校と関わることが推奨されています。先生方も保護者との接し方が上手だなぁと思います。

体罰・いじめ

NZでは、体罰は親であっても違法になります。当然、先生が体罰できるような環境にはありません。この体罰違法の決まりがあまりにも厳しすぎることに関しては法律導入時もかなり異論があったようですが、学校での体罰が禁止されていることは、自国ではない場所で子育てをしている私にとっては大きな安心をもたらしてくれています。なお、いじめも禁止とうたっていて厳正に対処していると話す学校がほとんどでした。子どもに対する人権意識は、とても高いようです。

バディシステム

学校では、お友達と関係を築いていくことに重きが置かれています。バディ(buddy)は友達、仲間という意味ですが1人に対して同クラスの子であったり、上の学年の子であったりが学校の様々な活動で(休み時間、課題、先生の話の内容の確認などなど)、自分のバディがちゃんとできているか気にかけてあげる存在といった感じのようです(日本で置き換えると比較的「班」のイメージに近いように思います。ただし基本的に集団ではなく1対1の関係です)。このバディシステムは年齢が上がっても続くようで、高校にお子さんを通わせているある外国人のお母さんによると「外国から来た生徒には頼りになる子をバディにしてくれて、すごく助けになっている」とのこと。このように、外国人の生徒の場合には、言語のハンディもあるのでバディが助けになってくれることが多いようです。学校によって、どの程度バディを重視するかは違うかもしれません。全員にバディをつける学校も(つけない学校も)あるでしょうし、先生が子どもの様子を見ていてバディが必要だと思った子どもにだけバディをつける学校もあるようです。どちらにしてもバディの考え方自体は広く浸透しているようです。

先生について

一般論として、海外先進国では先生が尊敬される職業ではなくなってしまっている国や地域も多く存在すると思います。そういった状況との比較で考えるとNZでは先生方が人々に尊敬されており、先生方もそれを自覚して地域の人に接しているような気がします。送迎で、ボランティアで、様々な機会に保護者に会うためか、保護者の対応にも慣れているのかもしれません。NZに来てから何人も「教師です」という人に会いましたが、とても誇らしそうなのが印象的でした。加えて、先生方がハードワークで無理をしている雰囲気もありません。夏休みなどのスクールホリデーは基本的には先生方もお休み。特に小さいうちは、このように時間的にも精神的にも余裕のある先生方が子どもを見てくれるというのは良さそうだなと感じています。

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校庭に書かれている図形

小学校では、子どもたちが伸び伸びとしていることが印象的でした。学校ごとの雰囲気の違いも大きく、どの学校が良いとは簡単に決められません。どこの学校に行くかはまだ決められませんが、娘も学校での生活を伸び伸びと楽しんでくれたらと願っています。


筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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