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【タイの子育て便り】第1回 タイで新型コロナウイルス禍の生活~基礎情報

松本 留奈

2020年6月19日掲載
サワディーカー! 微笑みの国タイからはじめまして

私は2018年8月より、タイ王国の首都バンコクで夫と2人の子どもと暮らしています。渡タイ以前は、教育系企業の研究所で調査・研究に従事していました。

2020年、突如として世界を暗い影で覆った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック。これまでさまざまな分野で、「将来の変化を予測することが困難な時代」の到来にいかに備えるかの議論がなされてきました。しかし「予測困難」とは、あくまで科学技術の進展や人口動態、環境などの変化を念頭にしたものであったと思います。まさかウイルスという脅威によって、1週間後、いや明日さえ予測できない事態が、これほどまでのスピードで世界中の人々に突き付けられるとは。

当然ながらここタイでも、この新たな脅威は人々の生活を一変させました。私もこの状況に戸惑い、日々どう過ごせばよいのか、自分にできることは何だろうかと模索しています。混乱の期にタイに在住していたゆえに見えた景色や子どもたちとの生活の記録が、これから先に少しでも何かのお役に立てればと願い、ここにレポートさせていただくことにしました。

まずは、タイについてご紹介

地理
東南アジアの中心に位置し、その広さは約51万4000平方キロメートル。日本の1.4倍の国土面積をもちます。南はマレーシア、東はカンボジア、北はラオス、西はミャンマーと国境を接しています。

人口
人口は6,891万人(2017年タイ国勢調査)。 東南アジアは人口が急増している印象をもたれるかもしれませんが、タイはASEANで唯一少子高齢化が課題となっています。65歳以上の人口が総人口に占める割合である高齢化率が年々上昇する一方、合計特殊出生率は1.5前後で推移しており、今後の労働人口の減少が懸念されています。

政治
タイの政治は不安定で、軍によるクーデターが珍しくありません。最近では2014年、元陸軍司令官のプラユット・チャンオチャ氏が率いた国軍が軍事クーデターを起こし、暫定の軍事政権を樹立しました。以降約5年間に渡って軍事政権が続きましたが、2019年3月の総選挙を経て民政移管を果たしました。しかし、そこで首相に就任したのは、軍主導の暫定政権を率いてきたプラユット氏。民政復帰したものの、軍が政治に強い影響力をもち続けていると言われています。

なお、タイは立憲君主制であり、国王は憲法に基づく首相・内閣の任命権や解散権などをもつものの、直接的な政治への関与は原則行わないとされているようです。ただし、多くの家庭や会社に国王の肖像画が飾られ、毎日決まった時間には公共の場で国王賛歌が流れるなど、国民にとって国王は大きな存在感をもちます。

経済
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックまでは、タイは著しい経済成長を遂げていると言われてきました。賃金や物価、不動産などが年々急激に上昇し、都心部は開発ラッシュで活気に満ちています。しかし、この目覚ましい成長は主にバンコクとその周辺であり、経済的恩恵が地方に波及するまでには至っていません。現状では、より高い賃金での職を求めた働き手が地方からバンコクに集中することで、さらに地域格差が拡大しているようです。

宗教
タイの国民の95%は仏教徒で、大変信心深いです。お寺もたくさんありますが、ビルの入り口などあらゆるところに仏像や仏塔を見ることができ、日常の中に祈りが根付いています。

タイの仏教で欠かすことのできない観念に、「タンブン」があります。徳(ブン)をいかに積む(タン)かで、自分も家族も幸せになれると考えられています。また、積んだ徳(ブン)は現在だけでなく、後世にも良い影響を与えると信じられています。徳(ブン)は「善行」の意味で、仏に祈ることだけでなく、社会貢献や寄付など社会的弱者を助ける行為も含まれます。この考えが基となり、タイの社会には、当たり前のように助け合うことや富める者が施しをする文化があります。

report_09_365_01.jpg 仏教の行事もたくさん。写真は毎年11月にチェンマイで行われるコムローイ。
ランタンを放ち、天界のブッダに感謝の気持ちをささげるお祭り。
有名なディズニー映画のモデルにもなったそう。


教育
タイの義務教育は、年度の始まり月が異なることを除いては、ほぼ日本と同じです。 義務教育期間は満6歳~満15歳(9年間)で、就学年齢は満6歳からです。年度は5月16日から翌年3月15日までで、二学期制となっています。

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日本人にとって暮らしやすい国

タイは日系企業が多く進出しており、約7万人の日本人が暮らしています。そのため、日本の製品・サービスが充実しており、日本人にとっては非常に暮らしやすい環境が整っています。

また教育面でも、バンコクには生徒数約2,700人の世界最大の日本人学校があります。それだけの数の日本人の子どもがいるとなると学校外教育も盛んで、日本人向けの塾やありとあらゆる習い事が揃っており、海外にいながらも日本とほぼ同様の教育が受けられます。

そして何よりタイが暮らしやすいと感じる理由は、タイの人の温かさ、とりわけ社会が子どもに寛容なところです。伝統的に子どもを大切にするお国柄で、「自分の子でなくても皆で大切に育てよう」という文化があるため、子どもを連れて町に出れば、多くの人が優しい眼差しで話しかけてきてくれます。電車では小学生くらいまでの子どもには必ず席が譲られますし、職場に子どもを連れて行くのもよくある光景です。そこには、親の手が回らないときは自然と誰かが子どもをあやし、面倒を見てくれる安心感があります。

しかし別の観点から見れば、そんな子どもに寛容な社会をもつタイでも、少子化が進んでいるという事実に、この問題の根深さを考えさせられます。

次回は新型コロナウイルスの蔓延によって、日常がどのように変わっていったかについて、まとめてみたいと思います。

筆者プロフィール
松本 留奈(まつもと・るな)

京都大学大学院教育学研究科修士課程修了 修士(教育学)。民間シンクタンクを経た後、ベネッセ教育総合研究所にて、幼児から高等教育分野まで幅広い分野における各種調査研究を行う。2018年、夫の転勤に伴いタイ・バンコクへ渡航。現在に至る。2児の母。
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