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【ニュージーランド子育て・教育便り】 第3回 小学校生活への適応

村田 佳奈子

2016年10月 7日掲載

日本では、小学校に入学したばかりの1年生で学校への適応が難しい子どもたちが問題になっており、小1プロブレムなどと言われているようです。ニュージーランドでは、幼児教育と小学校には日本以上に大きな隔たりがあるように感じますが、小学校1年生にあがる際にはきめ細かく様子を見てもらえているように思います。ニュージーランドにおける子どもたちの小学校生活への適応についてご紹介します。

入学時期が1年に渡る

まず、日本との大きな違いですが、小学校生活は5歳の誕生日を基準にして始まります(参照:就学前編 第19回 5歳で小学生(学習編))。新年度は2月に始まり、その後5歳の誕生日を迎えた順に入学するのです。多くの学校では入学人数を見積もりたいので、入学の数か月前までに学校に登録して欲しいとしていますが、直前に学区内に引越ししてくる人や直前に登録する人もいるので学校で正確に入学者の数は見積もれないようです。学区内に居住する子どもが希望をした場合は必ず受け入れなければならないそうです。

娘の場合は*、多分このクラスになるでしょう、と登録時に言われたクラスは当初の予想を超えて入学者が多く満杯になったそうです。後で詳しく述べますが、1年生の教員あたりの生徒数は15人です。娘はその次のクラスに入ることになりましたが、娘の誕生日の2週間前まで学期休みだったこともあり、その間に誕生日を迎えた子が5人いました。そのため学期休み明けに5人しかいないクラスからスタートし、娘は翌週6人目のクラスメンバーとして小学校生活をスタートさせました。2週間くらい6人で過ごし、その後また週に2、3人ずつくらいのペースでクラスメイトが増えていきました。この増加ペースもまた予想以上に速かったようで、15人を超えた頃、急きょ追加の先生が雇われしばらくは2名の先生と30人近い生徒というかなりの人口密度で勉強していました。しばらくすると、新しい先生も慣れただろうということで、その先生が後半に入学した約半分の生徒を引き連れて別の教室に移動していきました。

さてそんな環境で思ったことですが、何月生まれか、クラスで何人目の入学者か、更には何人目の男の子、女の子なのか、で小学校生活への適応はだいぶ違う楽しさや苦労を味わうことになりそうです。娘はクラスがスタートして2週間目で入学したので、ほぼ最初のグループに入ります。当初、6人だった頃は、親同士で「ラッキーね。手厚く見てもらえて。」などと言いあったものですが、クラス全員が小学校生活に不慣れな6人というのも、お手本となる子どもたちがいなくて意外に大変そうでした。このうち4人が男の子でしたが、動き回ったり、指示を聞かないことも間々。娘を含めて2人の女の子があきれ顔で見ているという光景を目にすることが多くありました。(ちなみに選択肢がなかったためか、この2人はすぐに大親友になりました。おかげで友だち作りの苦労をすることはありませんでした。ほぼできあがったクラスに入り、友だち作りで苦労する子もいるのでこの点は良かったのかもしれません。)結局6人全員が先生の話を聞く、ふらふらと自由に歩かない、学習をする、ささいなことですぐ泣かないなどに慣れるまで数週間かかったように思います。7人目と8人目のクラスメイトは女の子でしたが、最初の6人を見て比較的スムーズに小学生らしい態度を身に着けていたように思います。その後、入学してきた子どもたちは、見習うべき子どもたちがいる点はスムーズで良さそうでしたが、学習内容に関しては既に入学したグループからは1ヶ月以上遅れているのですから、クラスメイトの学習が進んでいる中でスタートを切るというのは少しかわいそうにも見えました。入学時期も違いますし、習熟度別で授業をするので、後から入学したグループが学習面でできないことを意味するわけではないのですが、やはりクラスの中で進んでいる方が自信には繋がっているように見えました。また常に新しいお友だちが入ってきたことを喜んでいた娘も、増加ペースが速すぎて20人目くらいからは新しい友だちの名前を憶えてこられないこともありました。

こうして子どもたちはそれぞれ違う課題に直面しているのですが、先生が実にきめ細かく子どもたちを見ているように思いました。入学したての新しい子に特に注意をそそぐということが可能なのは、誕生日入学システムならではなのかもしれません。一方の子どもたちも、5歳の子どもが個人として入学するためか精いっぱい頑張っている感じで、不慣れさは感じても悪ふざけをするような余裕はないように見えました。1人ひとり時期を違えてみるみる小学生らしく変わっていく様子は新鮮で、私も送り迎え時などに見ていて毎日楽しかったです。

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娘のクラスの入学時期(秋)は連日、大きな虹がかかりました。

クラスの人数が少ない

入学時期も違えば、学習内容も異なっている子どもたちを小学校生活に馴染ませて、教育できているのもひとえにクラス人数が少ないからではないかと思います。特に、最初の1年は先生あたりの生徒の数は15人までとなっており、手厚くみてもらえていることがわかります。また、娘の学校だけなのかもしれませんが、入学したてのクラスを担当する先生は、小学校への適応過程に興味があり慣れている先生が担当しているようです。そして2年目には、規則上、クラス人数は23人まで増えてしまいます。これも、予想外に子どもが増えた場合などは対処ができず例外があるのか、娘のクラスは2年目に25人になってしまいました。やはり人数が増えると先生は大変そうであり、1年目に比べると行き届いていない面も多々感じました。日本では小1プロブレムという言葉がありますが、この変化を目の当たりにして私はむしろ2年目の教育に不安を覚えました。

先生あたりの生徒の人数
Year 115人
Year 2 to 323人
Year 4 to 829人
Year 9 to 1023.5人
Year 1123人
Year 1218人
Year 13以上17人
*こちらのウェブサイトより抜粋。より詳しい人数や手順については参考にしてください。
(http://www.education.govt.nz/school/running-a-school/resourcing/school-staffing/entitlement-staffing/curriculum-staffing/)
*この表では、小学校はYear 1~Year 6に相当します。
*抜粋した表は、マオリのイマージョン教育(先住民族マオリの言語や文化を次世代に伝えるため、すべての教科をマオリ語で教える教育)ではない大多数の子どもたちが通う学校の先生・生徒比です。マオリのイマージョン教育の場合、先生あたりの生徒人数はより少なくなります。

先生やクラスメイトに恵まれたおかげもあり、娘は、順調に小学校生活をスタートすることができました。今も小学校が大好きです。最初のスタートはとても大切だなと親として実感しています。そしてやはり最初のクラスは格別な思いで迎えたためか、そこでできたお友だちは今でも娘にとって貴重なお友だちであり、親同士は良き相談相手となっています。そのため、小学校適応という意味では、とても良いスタートをきれたなと思っているのですが、一方で日本にはない問題も散見されます。次回は、ニュージーランドの小学校生活で感じる課題について触れたいと思います。


  • * 入学クラスの位置づけや入学プロセスも学校によって様々です。娘の学校のように、シンプルに誕生日を迎え入学した順にクラスが作られていくような学校もあれば、入学後慣れるまで小さなクラスで適応させて大丈夫になったら既存のクラスに入学させているような学校もあります。既存クラスがいくつかあって、ジェンダーや能力でバランスを取るような学校もあるようです。また、大人数のクラスで複数担任制のクラスに入学するような場合もあるようです。

筆者プロフィール
村田 佳奈子

日本で7年間企業に勤める。退社後、2012年4月よりニュージーランド(オークランド)在住。
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