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【スウェーデン子育て記】 第7回 国連デーのイベント

下鳥 美鈴

2015年11月20日掲載

9月から始まった秋学期は中盤にはいり、日が短くなってきました。これから日に日に寒くなり、日照時間が短くなります。スウェーデンの学校では秋学期のなかごろ(10月末から11月初頭)に、一週間の「秋休み」があります。100年ほど前までは、「じゃがいも休み」とよばれて、子どもたちは農作業を営む家族のお手伝いをしていたそうです。今ではもちろんそのような呼び名はなく、長い冬の始まりで疲れの出てくるこの時期にリフレッシュをするためのお休みとされています。今年2015年は、10月26日から10月30日までが秋休みでした。10月31日のハロウィーンが近いこともあり、この週には仮装をした子どもたちが近所のお家をまわり歩く姿を見るのが楽しみのひとつでした。

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太陽の位置が低くなってきました。冬の始まりです。

国際連合テーマ週間

さて、その秋休み直前の10月24日は国連デーです。スウェーデンは1946年から国連に加盟しています。2015年は国連の創設70周年を迎えるということで、国連加盟国では様々な催しが行われるようです。

この10月24日の国連デーにともなって、娘の通っている小学校では毎年、その日を含む一週間を国連テーマ週間としています。国連の活動について勉強したり、世界の国々について調査を行い、知識をひろげるための一週間だそうです。小学校の先生にたずねてみたところ、国連テーマ週間のような活動はスウェーデン国内の小学校すべてで行うと定められているものではなく、それぞれの学校で方針が異なるそうです。したがって、具体的にどのような学習を行うのかは学校によってさまざまであるようですが、スウェーデンの国連機関(UNA Sweden)は学校教材用に、毎年いろいろなテーマをとりあげて資料を提供しています(資料1)。この資料を参考に、学習をすすめてもらおうという主旨のようです。

2015年に発表された、UNA Sweden発行の学校教材を読むと、大きな三つのテーマがとりあげられていました。まず「学校給食」、「女の子」そして「水」という内容です。資料には、それぞれのテーマに関した基本的な情報と、このテーマについてどのような点で議論を行えばよいかという提案がされています。学年に応じて議論の内容は変えるのでしょうが、世界の「女の子」の暮らしや生活というテーマでかなり深い議論への提案がされているのには、驚くと同時に感心しました。例えば、アフリカでの女子割礼や未成年者の結婚についての記述があり、その後「自分の意志で自分の体のことを決定できないと、どういう気持ちになると思いますか」や「成人する前の娘を結婚させようとする両親がいるのはどうしてだと思いますか」などの点について話し合うという提案がありました。これらはおそらく高学年向けのテーマだと思いますが、女性の人権について活発な議論がされるスウェーデンらしい学習教材だな、と思いました。

また、三年生の娘のクラスの生徒の保護者に、スウェーデンの公共機関のひとつであるSida(スウェーデン国際開発協力庁: http://www.sida.se/Svenska/)で働いているお母さんがいます。この機関は世界の貧困を改善する取り組みをしており、その関係でつい最近ニューヨークの国連本部に行ってきたそうです。彼女が三年生のクラスへ来て、そのときの様子をお話ししてくれたとか。教材からだけでなく、実際に国連のお仕事をされている人から生きた情報を聞けるなんて、幸運なことですね。

今年の三年生のテーマはアフリカ!

国際連合テーマ週間には、保護者も学校に招かれて子どもたちの勉強の成果を見学することができるオープンハウスの日があります。今年は平日の16時からだったのですが大勢の保護者が参加していました。オープンハウスでは夜の19時ごろまでいろいろなプログラムが組まれていて、プレスクールクラス(小学校にあがる前の6歳から7歳までの児童)の子どもたちから六年生までが、それぞれ歌やダンスなどの発表をする時間も設けられています。

まずはじめに校庭で校長先生のお話があり、みんなでダンスをして士気を高めたあと、それぞれのクラスへ子どもたちと一緒に行きます。私は三年生の長女のクラスに見学に行きました。今年の三年生の学習テーマは「アフリカの国々」。この一週間でアフリカの地理、食べ物、習慣、野生動物などについて調べたそうで、それぞれの子どもが自分でまとめた資料が教室に展示してありました。

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アフリカの装飾も学びました。これは子どもたちがデザインしたアフリカのお面です。


生徒とその保護者がチームになって、アフリカに関するクイズを解くゲームもしました。クイズの問題はすべて生徒たちが考えてつくったものだそうです。「アフリカ大陸には何カ国ありますか」、「サハラ砂漠の西から東まで何マイルありますか」などなど、アフリカの基本情報を教えてもらいました。

教室での見学がすんだあとは、体育館に集まって、三年生が練習してきたアフリカのダンスが始まり、保護者に披露されました。図工の時間に作った太鼓の音と、みんなの足踏みでリズムをとり、アフリカのダンスを見せてくれました。他の学年の発表も少し覗いてみましたが、二年生は担任の先生がインド出身ということで、優雅なインドのダンスを披露していました。また、高学年ではジャズの演奏をしていたりと、本当に国際色豊かな発表会でした。

発表が終わった後は、学校の食堂で休憩です。この日のために、有志の保護者が作ったお菓子を販売する喫茶コーナーがあり、コーヒーやジュースなどと一緒に買うことができます。ここでの売上金はユニセフに寄付するとのことなので、私も協力させていただきました。三年生の娘たちは集めたお金がどのように世界の子どもたちのために使われるのか、ということまで学んでおり、これにも感心させられました。最終的に、15万円ほどが集まったそうです。子どもたちだけではなく、保護者も一緒に勉強させてもらった、良い一週間でした。



資料1 http://www.fn.se/documents/Skola/FN_70%C3%A5r_skolmaterial_WEBB.pdf

筆者プロフィール
下鳥 美鈴

東海大学文学部北欧文学科卒業。ストックホルム大学で修士課程を終え、ウメオ大学(スウェーデン)で博士課程を修了。言語学博士。
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