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【スウェーデン子育て記】 第2回 どこへ行くのもベビーカーで

下鳥 美鈴

2015年6月19日掲載

6月から7月にかけて、スウェーデンは夏本番!気温は20℃前後、しかも湿気が少ないという最高の気候条件で、過ごしやすく快適な日が続きます。日照時間が一年で最も長くなる夏至もこの季節です。スウェーデンでは、夏至に最も近い土曜日とその前日が祝日となり、夏至祭が行われます。2015年は6月20日が夏至祭となります。6月19日の前夜祭をふくめ、この期間はスウェーデン各地で夏至祭がひらかれます。

外が明るく快適になれば、当然お出かけの機会も増えます。長い冬を終えて、外が日増しに明るくなるこの時期は、みんなこぞって太陽をあびるために出かけます。スウェーデンのお父さん、お母さんにとって小さな子どもを連れて行く外出にはベビーカーが欠かせません。そこで今回は子育てに大活躍のベビーカーの利用について紹介しようと思います。

ベビーカーは子育ての必需品

スウェーデンで見かけるベビーカーは日本と同じように、赤ちゃんを横に寝かせる乳母車タイプと、座らせるタイプがあります。また稀に、両親がジョギングするときにも連れていけるスポーツタイプがあります。どのタイプも、その大きさは日本のサイズより一回り大きいものばかりです。スウェーデンの親たちは、子どもが生まれてから4歳くらいまで、このベビーカーを利用しています。もう歩けるくらい大きくなっても、長く歩く必要のある外出時にはベビーカーを持って行きます。子どもが疲れてしまったら、いつでも休ませてあげられるのは便利ですよね。おかげでお父さん、お母さんもベビーカーを横に置いて、のんびりカフェでお茶を飲んだりしています。子どもと出かけるときには荷物も増えるので、どんな場面でもベビーカーが強い味方です。

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荷物が多くてもベビーカーがあれば大丈夫! ©www.barnvagnsblogg.com

外でお昼寝

ベビーカーを押して頻繁に外出するのは天気の良い日だけではありません。寒い日でも雪が降っても気軽に出かけている姿を目にします。留学生としてスウェーデンに来たころは、寒い冬の日でもベビーカーを押して買い物している人がたくさんいることにビックリしたものです。雪が降っている街角でお母さん同士が立ち話をしていて、横にはベビーカーがあるのにも驚きました。寒くないのか、風邪をひかないのか、と心配になりましたが、赤ちゃんは大きくゆったりしたベビーカーの中で揺られていると、ぐっすり眠っていられるんですよね。小さな赤ちゃんをもつママたちは、この方法でお昼寝をさせる人が多いようです。よほど体感気温が低くない限り、暖かい衣服を整えて目の届く範囲にベビーカーを置いて、家の外でお昼寝させています。外がマイナス10℃くらいまでなら、ベビーカーの中で昼寝をさせても大丈夫という意見もあります。我が家も娘が散歩中にベビーカーの中で寝てしまった場合、そのままベビーカーの中で寝かせたまま家の外に置いておく、ということをしていました。ある程度の外気に触れさせて、新鮮な空気の中でお昼寝することは健康法のひとつでもあるそうです。

交通機関の利用

ストックホルム市内でのお出かけには、電車やバスといった交通機関をよく利用します。私自身がベビーカーを押して移動するようになってから改めて気づいたことですが、公共の交通機関では、大きなベビーカーや車いすの乗降がスムーズにできるようにつくられているので、大変利用しやすいと感じました。大きなベビーカーと一緒に心配なく出かけることができるのは有難かったです。具体的な交通機関の様子は以下のような感じです。

電車の利用
スウェーデン国内を長距離で移動する際には、国営の電車を利用します。ベビーカーの持ち込みは、もちろん可能ですが、折りたためるタイプのベビーカーを使用するように促されます。ベビーカーは大型の荷物とみなされて、荷物置き場に置くことが可能です。近頃では食堂車のある電車に、遊び場付きの広い車両ができ、そこではベビーカー置き場も完備されているそうです。電車の切符を予約する際にはファミリー用の車両を選べる場合もあるので便利です。また、ストックホルム市内を走る電車では、ほとんどの車両にスペースの広いベビーカー置き場があります。折りたたまなくてもそのまま乗車できるので、とても助かります。

ちなみに、ストックホルム市内の交通機関(電車・バス・地下鉄)では子どもの乗車運賃がかなり優遇されています。子ども料金を払うのは、小学2年生から。そして週末の土曜日、日曜日は12歳まで料金が無料になります。このシステムのおかげで、週末も気軽に電車やバスを利用してお出かけすることができます。

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ストックホルム郊外電車の乗降口。ベビーカー置き場が常設してあります。

バスの利用
市内の移動にはバスの利用がとても便利です。バスの乗降口は広く、階段もないので乗り降りが楽にできます。これはベビーカーのためだけではなく、車イスを利用して外出する人も多いためだと思われます。

ストックホルム市内のバスでは、全路線でベビーカーを持った乗客の運賃は無料です。普通の乗客はバスの前方にある乗車口から乗り、料金をはらいますが、ベビーカーを持った人はバスの中ほどに大きく開かれたドアから入ってそのまま乗車します。わざわざ前方に行って料金を支払う必要はありません。

ところが2014年に一部のバス路線でベビーカーを持った乗客への有料化を試みる提案がされました。しかしこれに対しては反対意見が多く、最終的には有料化は却下されたそうです。ほかの乗客の一部にはこれを不服に思う人も当然います。ベビーカーは広い場所を占領するうえに、料金が無料となれば、普通に料金を支払っている乗客の不満も当たり前かもしれません。有料化に賛成だった人の中には、「自分もベビーカーを買って無料でバスに乗るぞ!」といった極端な意見の人もいたようですが、実際には赤ちゃんの乗っていない空のベビーカーを運んでいる人はしっかり通常料金をとられるそうです(市営交通ホームページ参照)。

地下鉄の利用
交通機関のなかで少し不便なのは地下鉄です。どこの駅にも地下まで下りるエレベーターはありますが、地下鉄の車両にはベビーカーや車いす優先のスペースがあまり多くありません。朝や夕方のラッシュ時には、大きなベビーカーを押して乗ることが難しいときもあります。そういう時は、何本か見送ってから乗るようにするママさんもいるそうです。それでも大きなベビーカーを持って地下鉄に乗るお母さんに対する非難の意見は、ほぼ聞いたことはありません。また新聞紙面等で議論になっているということも私が知る限りではありませんでした。

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お姉ちゃんやお兄ちゃんは付属の台車に乗って一緒にお出かけ ©www.barnvagnsblogg.com

東京のベビーカー事情

今年の5月には東京へ行く機会がありました。改めて街の様子を見ると、東京の地下鉄・バスなどではベビーカーを持ったお母さんの姿を目にすることがあまりないように思います。歩けない赤ちゃんは、抱っこひもでお母さんに抱っこされているし、少し大きな子どもはみんなしっかり歩いています。日本の友人に聞くと、近年は交通機関におけるベビーカーの使用に関してたくさんの議論がされているようですね。東京のような大都市では交通事情が違ってくるのは当然でしょうが、行政の対応を含めて、思いやりのある柔軟な対応が必要だと思います。


※ベビーカーの写真は、権利者の許可を得て転載させていただきました。

筆者プロフィール
下鳥 美鈴

東海大学文学部北欧文学科卒業。ストックホルム大学で修士課程を終え、ウメオ大学(スウェーデン)で博士課程を修了。言語学博士。現在ストックホルム大学勤務。
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