CHILD RESEARCH NET

HOME

TOP > 論文・レポート > 子育て応援団 > 【ベルギー子育て奮闘記】 第2回 幼稚園生活の始まり

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文・レポート

Essay・Report

【ベルギー子育て奮闘記】 第2回 幼稚園生活の始まり

奥村 沙織

2013年10月 4日掲載
幼稚園の一日の流れ

二人の娘が通っている幼稚園は8時40分から15時半までが就園時間です。

共働きの人も多いため、7時半から幼稚園への登園が可能です。始業時間になると日本のようにチャイムではなく、先生が拡声器で何かを叫び(オランダ語なので残念ながらわかりません)、子どもたちはクラス毎に分かれ各教室へ入ります。

report_09_106_01.jpg
始業時間まで中庭で遊ぶ園児たち

子どもたちは、午前保育の水曜日を除き、毎日幼稚園へお弁当を持っていきます。お弁当と言っても日本のようなお弁当ではなく、サンドウィッチです。このサンドウィッチというのが、パンにハムを挟むだけ、チョコレートペーストを塗るだけといった、日本人からすると、極々簡単なもので、朝の3分もあれば出来上がります。これはベルギーが共働きの家庭が多いせいでしょうか。うちの子どももほとんどそういったものを持っていきますが、たまに「飽きた」と言って、日本のお弁当を持っていくことがあります。その日は幼稚園のお友達がしげしげとお弁当を見に来て、少し恥ずかしい思いもするようです。

幼稚園では給食も選択できます。当日、お弁当を用意できなかった子は、朝先生に伝えれば一食3.5€(約462円)で、給食を準備してくれます。メニューは毎日異なりますが、主にスープとお肉、ポテト、そしてデザートの、温かい給食を食べることができます。

午後3時半。お迎えの時間です。中庭で自分のパパ、ママが迎えに来てくれるのをまだかまだかと待っている子どもたちの様子は、とても微笑ましいものです。"パパ"と書きましたが、びっくりするのはパパの送迎率がとても高いこと!毎日幼稚園の送迎でたくさんのパパを見かけます。日本でも近年"イクメン"が頻繁に話題にのぼるようですが、まだまだ幼稚園の送迎などで父親を見かけることは少ないのではないでしょうか。しかしなぜ、父親が送り迎えをすることができるのでしょう。

友人に聞いたところによると、ベルギーでは家事はもちろん子育ても夫婦で役割を分担している家庭がほとんどだそうです。ベルギーは、共働き家庭が多いのですが、例えば、ママが朝早く仕事に出かけ、パパは子どもを学校に送った後、仕事に行きます。そして午後は母親が子どもを迎えに行く、といった具合に、子育てを夫婦で完全に分担している家庭が多くみられます。そして、勤務時間をコントロールでき、それを可能にできる社会でもあります。

このように"イクメン"を目の当たりにすると、日本ではまだまだ、子育ては母親がするもの、というような暗黙のルールがあるように感じさせられます。社会全体が子育てに寛容で、夫婦そろって子育てできる環境にあるということはうらやましいことですね。

子どもの反応

全くオランダ語に触れたことのなかった子どもたち。幼稚園に通い始めた最初の2週間は、送っていくと下の子は別れるときに毎日大泣きでした。上の子は気丈に振る舞ってはいましたが、たまにパンクして夜寝る前に泣いてしまう状況が続きました。

下の子は最初の1か月半は、週末になると40度の高熱が出ました。風邪症状もなく熱だけでしたので、いわゆる"知恵熱"だったと思います。子どもにしたら、親の都合で未知の世界に放り込まれ、言葉も分からない、お友達もいない、味方になってくれるはずの先生の言葉すら分からない。大人でも相当に過酷な状況ですよね。それだけ子どもにストレスを与えている、辛い思いをさせていると思うと、やるせない気持ちでいっぱいでした。とにかく早く慣れてほしい、そう願うばかりでした。カレンダーに毎日"頑張ったね"シールを貼り、一週間頑張れたらご褒美にワッフルを食べに行く、毎日幼稚園から帰ってきたらとびっきりのハグをする。そういうことをしながら、少しずつなんとか乗り切りました。

上の子は1か月が過ぎると、お友達の名前も覚えて、色々な話をしてくれるようになりました。言葉は分からないけど、「鬼ごっこをした」とか「サッカーをした」と笑顔で話してくれる回数も増えていきました。元々、活発な上の子は、遊びや運動を介して友達とのコミュニケーションをはかっていたようです。それに下の子がコバンザメのようにくっついて回って上の子のお友達に遊んでもらうようになり、少しずつ下の子も笑顔を見せてくれるようになりました。さすが子どもの脳はスポンジのごとく言葉を覚え、新しい環境への適応力の早いことに、また親はビックリさせられるのでした。

私は先生と英語での会話になりますが、先生方はとても優しく、私のつたない英語にも辛抱強く付き合ってくださいます。 私が一番心に残っている先生の言葉は、 「○○(上の子の名前)はとても早く幼稚園に馴染み、そして仲良し5人組のグループに入り、今は仲良し6人組になった。これは、幼稚園のすべての先生がびっくりしているのよ。」

これは私にとって最高にうれしい言葉でした。言葉も分からずにどうやってそのグループに入ったのか。それはいまだに分かりませんが、現地の子と何か通じ合えるものがあった、言葉を超えた何かが芽生えた!そう思いました。このとき「この子はここベルギーで絶対やっていける!楽しい海外生活を送ることができる!」と確信したのでした。 そして、今もその5人とは大の仲良し!お家に遊びに行ったり来たり。そのおかげで、私たちも家族ぐるみの付き合いをさせてもらっています。

幼稚園参観

私が今回、このレポートを書かせていただくことになり、幼稚園での生活を写真に撮らせてもらいたいと幼稚園にお話ししました。先生方はすぐに対応してくださり、年中さんにあたる下の子のクラスを参観させていただくことができました。

report_09_106_02.jpg
教室の様子

通常、親が幼稚園での子どもの過ごし方を直接見る機会はありませんので、貴重な機会を得ることができました。

ちなみに、私がお邪魔した日はこんな感じでした。 まず日本のように、朝の会があります。みんなで先生を囲むように座り、今日のお当番さんをくじで決め、その子が今日の日付け、お天気などの確認をし、先生が出席を取ります。面白いと思ったのは出席の取り方です。「今日は○○(うちの子の名前)のママが来ていますよ。○○はどこの国の人?そう、日本だね。挨拶はどうするんだっけ?」と聞くと何人かが「おはよ~!」と私に向かって日本語で言ってくれました。そして、「今日の出席のお返事は"おはよう"でしましょう」と先生が言うと子どもたちは喜びます。名前を呼ばれるとみんな少し照れながら日本語で先生に「おはよう」と言います。あとから娘に聞くと、日によっていろんな国の挨拶をするそうです。これも子どもたちが多国籍だからこそだと思います。子どもたちにとって小さいころから色々な国の人と触れ合うことは、将来外国語へのとっつきにくさを排除してくれることでしょう。

report_09_106_03.jpg
朝の会

そして、朝の会が終わると、午前中はほとんど各自がしたいことをします。例えば、パズルをする子、お絵かきをする子、おままごとをする子もいれば、塗り絵をする子も。教室にはパソコンが2台あり、先生に教えてもらいながら言葉ゲームやお勉強もするようです。(取り合いになるようですが・・・)

report_09_106_04.jpg
それぞれ好きなことをする

午後はみんなで体操をしたり、ゲームをしたり、お歌を歌ったり、と集団行動もするようですが、私の印象としては、日本と比べかなり自由な雰囲気のようです。ピシッと並んで移動、先生の話はちゃんと座っておとなしく聞く、お弁当の前、後の挨拶はみんなで声を合わせて、歌もみんな揃って大きな声で!という日本の教育とは多々違うものがありますが、個性を伸ばす、得意分野を伸ばすといった面ではこういう教育の仕方もいいのかな、とこちらに来て考えさせられました。

ちなみに、幼稚園で手洗い・うがいを指導することはありません。もちろん歯磨きセットを持たせるなんてこともありません。冬にはシラミ発生の手紙をもらってきたりもします。お風呂も毎日は入らない子が多いそうです。この習慣の違い、幼稚園の指導の違いに最初は驚きました。冬になると風邪をひく子がとっても多いのは、やはり手洗いうがいの指導がないからだと思うのは私だけでしょうか?

report_09_106_05.jpg
教室に貼ってあったクラスメートとの写真

落第と飛び級

幼稚園に通い始めた矢先、先生にあることを聞かされました。それは幼稚園から"落第" があること、でした。

語学力、計算能力、友達関係、生活態度など、色々な理由で落第させられます。その代り(と言ってはなんですが)、小学校からは"飛び級"もあります。要は子どもたちの能力・努力次第ということでしょうか。初めは幼稚園から留年はちょっとやり過ぎじゃないかなぁと思いましたが、色々な国籍を持つ子どもたちが通っている以上、年齢だけで学年を縛り付けることは難しいことだと思います。

ということは、うちの子どもたちにもこの試練が待ち構えているということです。上の子は1月に入園し、予定では9月から小学校に上がります。夏休み2か月、それまでにもちょこちょこと3週間ほどのお休みがあります。ざっと通園期間5か月!はたして小学校に上がることができるのでしょうか。

筆者プロフィール
奥村 沙織: 2011年より、夫の転勤に伴い二人の娘とともにベルギーのルーヴェンに在住。
このエントリーをはてなブックマークに追加

TwitterFacebook

遊び

メディア

特別支援

論文・レポートカテゴリ

所長ブログ

Dr.榊原洋一の部屋

小林登文庫

PAGE TOP