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【ネットジェネレーションの教育】 第2回 親子インターネット利用調査の日米比較 (1)

加納 寛子 (山形大学基盤教育院 准教授)

2008年3月27日掲載

要旨:

日本の子どもは米国の子どもに比べて、インターネット利用時間が短く、IM(インスタントメッセンジャー)、SNS(ソーシャルネットワークサービス)、ダウンロードミュージックなどはあまり利用していないことがわかった。知らない人からの誘いや、性的な内容を含んだeメール、ポップアップ広告に関して、米国では親子に認識の差はないが、日本は子どもが見ていても親はそれを知らないことが多く、この点が今後の課題として指摘される。

 

第1回では、PISAの国際学力調査の問題を、情報リテラシーという切り口で横断的に教科の枠を超えて紹介した。第2回は、親子インターネット利用調査の日米比較を紹介する。

 

1.インターネット利用時間と内容

 

図1に子どものインターネット利用時間(1日平均)の日米比較を示した。図1を見ると、日本の子どもは、1時間未満が55.4%で最も多く、1時間以上3時間未満の34.2%が続き、およそ9割の子どもが、3時間未満の範囲で利用していることがわかる。一方、米国では、1時間未満は11.3%にすぎず少数派である。1時間以上3時間未満が41.2%で最も多く、3時間以上5時間未満の23.7%が続く。5時間以上7時間未満、7時間以上もそれぞれ1割程度おり、日本の子どもより長時間インターネットを利用している。

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図1 子どものインターネット利用時間の日米比較

子どもたちはインターネットを使って何をしているのか、利用内容に関しては、図2に示した。ネットショッピング、チャット・掲示板、ブログ、勉強、オンラインゲームに関しては、日米に差はない。だが、ダウンロードミュージックに関しては、米国の8割の子どもが利用しているが、日本では利用している子どもは5割に満たない。インスタントメッセンジャー(以降IMと略す)に関しても米国は8割の子どもが利用しているものの、日本では利用している子どもは2割程度にとどまる。ソーシャルネットワークサービス(以降SNSと略す)に関しても、米国は7割の子どもが利用しているものの、日本では利用している子どもは1割程度にとどまる。

 

米国では、MySpaceなどのSNSが子どもたちの間で流行っており、頻繁に利用されているが、日本のmixiは18歳以上と年齢制限があるほか、子ども向けの類似のサービスはあるものの頻繁に利用されているサービスはないことが、利用割合に影響を与えているのではないか。また、ダウンロードミュージックやIMなどのサービスもSNSを通して利用する可能性があり、日本では、子どもたちの間でSNSがあまり流行っていないことが、その他のサービスの利用者の少なさにも影響を与えているのではないか。


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図2 子どものインターネット利用内容
(黄色 日米に違いがあった項目)

 


2.インターネット上での危険

 

日本の子どもは米国の子どもに比べて、インターネット利用時間は短く、IMやSNSやダウンロードミュージックなどはあまり利用していないことがわかった。だが、ネット上には様々な危険があり、それは親にとって心配の種である。図3、図4、図5は、親に対しては「この一年間にあなたのお子様はインターネットで下記の経験をしていますか」、子どもに対しては「あなたはインターネットで次の経験がありますか」、という質問項目によって尋ねたものである。このうち図3は、ネットいじめ(E-メール、チャット、インスタントメッセンジャーでのいじめを受けたことがある)に関する結果を示している。親は、自分の子どもに経験があると思うかどうか回答している。日米とも、親よりもはいと答えている子どもの数値が高く、子どもがネットいじめを受けていても親は知らないこともあることがわかった。また、米国では17.4%の子どもがネットいじめを受けているが、日本では3.3%にすぎず、日本ではまだネットいじめを受けている子どもは少ないことがわかった。


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図3 ネットいじめ

 

図4は、知らない人からの誘いを受けたことがあるかどうかに関する日米・親子の比較である。米国では18.8%しか誘いを受けていないが、日本では22.3%の子どもが誘いを受けている。その一方で、日本の親は4.6%しか誘いを受けているとは認識しておらず、米国の親の6.1%よりも低い実態である。つまり、知らない人から誘いを受ける子どもは米国よりも日本の子どもの方が多いにもかかわらず、それを認識している親は米国よりも少なく、日本の親は知らない人から子どもが誘いを受けていてもそれを知らない場合が多いことがわかった。


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図4 知らない人からの誘い

 

図5は、性的な内容を含んだeメールやポップアップ広告を見たことがあるかどうかに関する結果である。見たことのある子どもは、米国は37.2%、日本は33.8%で、日米間にあまり違いはないが、親に関しては米国では約3割の親がそれを知っている一方で、日本では1割の親しか知らないことがわかった。


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図5 性的な内容を含んだeメールやポップアップ広告

 

知らない人からの誘いや、性的な内容を含んだeメールやポップアップ広告に関して、米国では親子に認識の差はないが、日本は子どもが見ていても親はそれを知らないことが多く、この点が今後の課題として指摘される。

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