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論文・レポート

【ジャカルタ子育てジャーナル】 第8回 ジャカルタの交通事情

岸田 佐代子

2017年7月 7日掲載

これまでも何度か触れましたが、ジャカルタの渋滞は世界でもワーストクラスと言われています。私たちをはじめ、ジャカルタで生活している人々がどのようにこの渋滞と付き合っているか、今回はジャカルタの交通事情をリポートします。

運転手さん

こちらに駐在している日本人は、各会社の規定にもよりますが、ジャカルタでの運転を禁止されていることが多くあります。しかしジャカルタで車を使用できないと、タクシーやバスを使うことになり色々な面で不便です。特に子どもがいるとスクールへの送迎や習い事などお出かけの機会も増えます。そこで運転手さんに運転をお願いしている家庭が多くあります。会社から車が支給されている人もあれば、個人で車や運転手さんの手配をすべてしている人など様々です。

我が家の場合も、運転はすべて運転手さんにお願いしています。夫の会社から支給されている車を私たち家族も使わせてもらっています。息子のプレスクールがある日は、朝夫を職場に送った後に戻ってきてもらったり、土日は前もって依頼し、運転手さんに来ていただいたりしています。ジャカルタ生活を快適に過ごせるかどうかは運転手さんにかかっていると言っても過言ではありません。ジャカルタは渋滞の街、必然的に車に乗っている時間が長くなります。例えば、何か運転手さんに対して不満があると、コミュニケーションがうまくいかず、渋滞も重なって、車に乗っていてもイライラするだけかもしれません。その点、我が家は運転上手で子どもに優しくしてくれる人に来てもらっていて、とても助かっています。

運転手さんの信仰上、イスラム教のお祈りの時間に配慮したりする必要はありますが、どうしても時間が重なるときは柔軟に対応してくれています。金曜はイスラム教の男性にとって特に大切で、お昼の集団礼拝は欠かせないそうです。そのため、我が家の運転手さんにもなるべく午後0時から午後1時ごろまでは運転をお願いしないようにしています。

ジャカルタの道路

ジャカルタの道路は、特に細い道になると、舗装されていてもガタガタとした悪路が多いです。そして歩行者用のスペースがあまりないので歩くことが困難です。歩行者用スペースがあったとしても驚くほどデコボコしていて、ベビーカーを押して歩くのは至難の業です。大雨の後は幹線道路でも冠水します。私も大雨のなか車に乗っていた際、道路が冠水してしまい、車のトラブルで動けなくなってしまったことがあります。なんだかジャカルタの道路の悪口ばかり書いてしまいましたが、もっと道路を良くして整備をしたら観光客がやってくる街になるのではないかと思うと残念です。

ジャカルタの代名詞のようになっている渋滞ですが、車やバイクの多さに加え、道路のつくりも関係しているようです。ジャカルタにはほとんど交差点がありません。日本では考えられないことです。例えば目的地が道路を挟んで向かい側だとします。しかし大抵近くには交差点がありません。どうするかと言うと、遠く離れた交差点、又は、Uターンできる場所まで行ってUターンをします。そのUターンの場所は大抵車やバイクの長い列ができていて、1車線又は2車線を占領することになり、それがまた渋滞を引き起こしています。しかし、たまにある交差点でも、信号を守らずに走ってしまう車やバイクが多く、交差点が事故の元になる恐れがあるので、それはそれで危険です。

この渋滞を逆手にとって商売している人たちがいて、面白いのでご紹介します。渋滞中お腹が空いた、喉が渇いたという人のために、どこからともなく水売りやお菓子売りのおじさんたちが現れて、各車を回って売り始めます。なかにはおもちゃを売っている人もいて、子どもが車内にいることを確認すると、窓の外からおもちゃを見せて子どもの気を引き、必死に買うよう促します。こちらは子どもの目を外に向けないように必死です。

また、渋滞の引き金になるUターンの場所に立って、交通整理をしている人もいます。警察官ではなく、一般の人です。Uターンする人からのチップをもらうことを生業にしているようです。一台ずつしか通れない所に、我先にと2台、3台同時に押し寄せてくる車を上手に誘導していて感心します。

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交通整理するお兄さん

車内での過ごし方

渋滞中、子どもは飽きてしまいます。日本と同じかもしれませんが、DVDを観せてみたり、本を読んだり、おしゃべりをして過ごします。我が家は車にチャイルドシートを取り付けていますが、タクシーには取り付けられていませんし、家庭によっては取り付けていない場合もあります。こちらではチャイルドシートは義務化されていません。堂々と子どもが抱っこされて助手席に座っていたりします。日本人はそこまではないにしても、後部座席に座らせたり、後部座席でお母さんが抱っこしているご家庭もたくさんあります。危険とはわかりつつ、規制の緩い環境に甘えてしまう部分があるのだと思います。実際我が家も、次男が生まれる前は長男がチャイルドシートを嫌がったため、後部座席に私と長男で一緒に座っていました。

子どもと車に乗っていて困ること、それはトイレです。日本ではコンビニに停めてトイレを借りるなどよくあることかもしれません。こちらでは大渋滞に巻き込まれると全く動かないため、トイレがある場所に行くことが困難になります。そこで我が家で常備しているのは簡易トイレです。なるべく車に乗る前にはトイレに連れて行っていますが、万が一に備えています。

現在イスラム教の断食が始まっています(2017年は5月27日〜6月24日)。イスラム教の人々は、約1カ月間日の出から日没まで飲食を一切しません。その為、日没の6時ごろに断食明けの食事をとるために家路に急ぐ人、レストランに行く人など、4時ごろから一斉に移動が始まるので、その時間帯の渋滞が激しいのが私にとっては憂うつのタネです。我が家の車を運転中に渋滞にはまり、断食明けの時間が来てしまうと、運転手さんに申し訳ない気持ちになります。とにかく水を飲んでもらって、何か口にしてもらうとか、屋台などある場所なら近くに停めて、短い時間で何かしら食事を取ってもらうなどの対応をします。そうならないためにも、急ぎの用事がない限りその時間に出かけるのを避けています。

断食月が終わるとレバラン休暇(断食明け大祭)が始まり、ジャカルタは閑散とします。いつもの渋滞が嘘のように、スムーズに目的地までたどり着きます。なぜなら日本のお正月に少し似ていて、多くの人々がインドネシア国内のそれぞれの地元に帰省してしまい、ジャカルタ市内にあまり人が残らないためです。その代わり休暇の前後は帰省ラッシュがひどく、ニュースになります。

余談ですが、レバラン休暇中は、交通状況とはうって変わってジャカルタのホテルは大混雑します。なぜなら、地方からの観光客に加えて、お手伝いさんが帰省してしまっている富裕層の家族連れなどで賑わうからです。家にいると家事をしなければならないためホテルに滞在するそうです。なんだか面白い発想ですね。

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渋滞

車以外の交通手段

ジャカルタに来て、車の数にも驚きましたが、それに加えてバイクの多さにも圧倒されました。そして、バイク運転手の車を恐れない運転に肝を冷やすこともしばしば。車の間をすり抜けてぶつかることなく走っていく姿はレーサーさながらです(たまにコツンと当たって車とバイクの運転手が揉めていることもありますが・・・)。また、2人乗りならぬ3人、4人乗りのバイクを見かけて驚くことがあります。お父さんが運転をして小さい子ども1人を前に置き、もう1人を後ろに挟んでお母さんが最後部。子どもはヘルメットを被っていないことがほとんどで、何かあったときのことを考えるとぞっとします。また、まだ小学生のように見える子どもがバイクを運転している信じられない光景を見ることもあります。

こちらには車のタクシーの数も多いのですが、運転手さんと2人乗りをするバイクタクシーも盛んです。私は試したことはありませんが、渋滞中はバイクの方が早く目的地までたどり着けるようです。車のタクシーもバイクのタクシーも、スマホのアプリで呼び出すことができるシステムが主流になりつつあります。

バスはバス停に止まる大きなものから、小さな乗り合いバスなど様々な種類があります。小さなバスはスリや犯罪に巻き込まれたらと思うとためらわれ、今まで乗ったことはありません。インドネシア人も、「乗らない方がいい」と奨めません。基幹道路を走る大きなバスには乗ったことがあります。混雑はしていましたが、エアコンもついていて問題ありませんでした。ただし、スリなどが多いようなので、やはり1人で乗るのは怖いなと思います。

電車もあります。南の方から仕事に来てくれる我が家のお手伝いさんや運転手さんは電車を使って出勤しています。渋滞がない分、バスよりも良いと言います。最近はほとんどの電車にエアコンがついていて快適になったそうです。電車と言えば、インドネシアを走る電車は日本で走っていた日本製の中古車両が多く利用されています。私は電車のことはよく知りませんが、見覚えのある車両を見かけます。日本で役目を終えた電車がジャカルタで活躍しているなんて素敵ですね。

この電車は通勤電車で、郊外から中心部への交通手段としては有効ですが、中心部の鉄道網は発達していません。東京都心の山手線や地下鉄がない状態を想像してみてください。そこで現在ジャカルタでは日本のODA支援によりMRT(Mass Rapid Transit、地下鉄)の建設が進められています。そこでは日本企業が工事を請け負い、また車両も日本企業が受注しています。日本人の活躍によりジャカルタで人々が快適に暮らせる日が来るのかと思うとワクワクします。インドネシア人である我が家のお手伝いさんも心待ちにしていると言います。ただし、いつ完成するかは気長に待つと言っていました。今のところ2019年に開業予定です。そのころには私はジャカルタにいないと思いますが、さらに近代化された渋滞の少ないジャカルタをいつの日か見に来てみたいです。

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MRT工事現場

筆者プロフィール

岸田佐代子(きしださよこ)
メーカー勤務から地方局契約アナウンサーを経て結婚と同時に夫の赴任先のアメリカ・ジョージア州へ転居。
帰国後フリーアナウンサーとしてリポーターや司会の仕事を行い、2012年夫の転勤に伴いインドネシア・ジャカルタへ渡航。現在に至る。
2児の母。趣味はテニス、ヨガ。
愛犬はトイ・プードル。
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