CHILD RESEARCH NET

HOME

TOP > 論文・レポート > 子育て応援団 > 【ベルギー子育て奮闘記】 第1回 極寒の中、ベルギーの生活が始まる

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文・レポート

Essay・Report

【ベルギー子育て奮闘記】 第1回 極寒の中、ベルギーの生活が始まる

渡白(白耳義=ベルギー)に至るまで

私は今、ブリュッセル空港から東へ約20キロ、人口約9万人のルーヴェンという街に、主人と娘二人と住んでいます。

最初にルーヴェンに住むことになった経緯について簡単に触れておきます。2011年の冬、主人の転勤に伴い、家族そろってベルギーで生活することが決まりました。まず私が取った行動は、世界地図でベルギーの位置を確認することでした。そして、ベルギーについて情報を集めました。ベルギーは四国の約1.7倍の面積で、人口は約1,045万人と、私の予想より小さな王国でした。そしてなんと、ベルギーには言語境界線なるものがあり、国の北半分のフランドル地方は公用語がオランダ語(フラマン語)、南半分のワロン地方はフランス語が公用語になります*1

report_09_102_03.gif
© Vascer, Knorck
オランダ語共同体(黄)とフランス語共同体(赤)、ドイツ語共同体(青)

そして、ルーヴェンはフランドル地方に含まれるので公用語はオランダ語です。ただし、首都ブリュッセルは、フランドル地方に含まれますが、主にフランス語が公用語として使われている、少し変わった国です。

report_09_102_01.jpg
ルーヴェン旧市庁舎

主人の転勤が決まった当時、5歳と3歳だった娘二人は、日本で幼稚園に通っていました。ベルギー駐在の予定期間は2年。その間に上の娘はベルギーで小学生になります。そのため、日本人学校やインターナショナル校*2のあるブリュッセル、主人の勤務地であるルーヴェン、どちらに住むかという問題にぶつかりました。

report_09_102_02.jpg
聖ペテロ教会

ルーヴェンにはたくさんの幼稚園がありますが、すべて公用語のオランダ語での教育になります。オランダ語だなんて今まで聞いたこともない未知の言語でした。その中で子どもたちがやっていけるのか、私は親としてちゃんとサポートできるのかという不安はありましたが、2年間という期間限定の海外生活の中で、子どもたちが外国語に触れ、異文化交流を経験できる、良い機会ではないかと思いました。また、私たちより二か月先に渡白していた主人から、ルーヴェンという街はとても治安もよく、人々が温かい街であることを聞いていたので、オランダ語での教育ということに一抹の不安はありましたが、自分たちの判断を信じルーヴェンに住むことに決めました。

ベルギーに来て思ったこと

私たちが渡白したのは12月のクリスマス真っ只中。時差ボケでふらふらしながら次の日からルーヴェンの街に散策へ出かけました。一番に思ったのは、「寒い!」マイナス10度の日が何日も続いて、子どもたちも外に出るだけで「顔が痛い、ピリピリする」などと言っていました。でも、見たことのないヨーロッパの街並み、クリスマスのイルミネーション、おいしいワッフルに魅せられ連日散策に出かけました。

ベルギーの冬は長く、寒く、すぐにホームシックにかかりました。子どもはもちろんですが私もそうです・・・子どもたちは寝る前には必ず「日本に帰りたい」と言って泣きました。「お友達に会いたい、おじいちゃんおばあちゃんに会いたい」と・・・。それを聞いている私も辛くて、子どもたちが寝た後に何回も泣きました。

昼間は太陽が見えることも少なく、夜はとても長いです。そのせいもあってか、気分もいつもどんよりした感じが続きました。あとから聞いた話ですが、ベルギーの現地の方でも冬にうつ病にかかる方が多いそうです。そして、太陽が見える日が増える春、この日を待ちかねていたかのように人々が広場やカフェに集まってきます。主人はその様子を見て「アリが巣から出てくるようだ」と言いました。本当にそんな感じで、ワラワラと人がお家から出てくるのです。とても奇妙な面白い光景でした。

そして、短い夏が来ると、タンクトップにショートパンツといった格好の人たちが街中にあふれかえります。公園には水場もないのに、芝生の上でビキニになって日光浴をしています。日本ではありえない光景に、初めはビックリしました。 でもやはり日光に当たるのは気持ちよく、「人って本当に太陽が必要なんだぁ」と実感させられました。そして、私たちも子どもと一緒に、毎日のように公園へと足繁く通うのでした。

幼稚園探し

ルーヴェンでの幼稚園探しは、先にルーヴェンでの生活を開始した主人が頼りでした。幼稚園にアポを取り、たくさんの幼稚園を実際に見て回って、話を聞かせてくれました。一人での慣れない海外生活、職場に加え、本当によくやってくれたものです。

そして、ルーヴェン市内の真ん中に、外国人に人気のある幼稚園があることを知りました。人気の秘密は、立地条件に加え、外国人の子どもたちのためにオランダ語の授業が特別に設けられているためです。

ルーヴェンにはベルギー最大の総合大学*3、大学病院、そして民間の研究所などがあり、様々な国の方が住んでいます。そのため、その幼稚園は人気が高く、ウェイティングリストは常に一杯で、私たちの子どもたちが入れるのは早くて1年後と言われました。

早く現地に溶け込みたい、子どもたちにもたくさんの友達を作ってほしいということで、私たちは違う幼稚園に入れることに決めました。家から歩いて10分ほどのところにある幼稚園です。この幼稚園にもたくさんの国の子どもたちが通っていて、家では英語、イタリア語、アラビア語などオランダ語以外の言語を話す子が多いのですが、子どもたちは幼稚園ではすべてオランダ語での生活になります。 ですが、ほとんどの先生が英語を話すことができるので、私は先生と英語での会話になります。

さて、この幼稚園で、子どもたちの2年間の未知の生活が始まります!!



  • *1: 少ないですがドイツ語圏もあります。
  • *2: 2013年9月よりルーヴェンにインターナショナル校が開校します。
    詳しくはウェブサイトで。
  • *3: 2万7千人が通う大きな大学。日本語学科もあります。街を歩いているとたまに日本語学科の学生さんに話しかけられます。外国の方に日本語で話しかけられるのはうれしいものです。
筆者プロフィール
奥村 沙織: 2011年より、夫の転勤に伴い二人の娘とともにベルギーのルーヴェンに在住。
このエントリーをはてなブックマークに追加

TwitterFacebook

インクルーシブ教育

社会情動的スキル

遊び

メディア

発達障害とは?

論文・レポートカテゴリ

アジアこども学

研究活動

所長ブログ

Dr.榊原洋一の部屋

小林登文庫

PAGE TOP