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【ドイツの子育て・教育事情~ベルリンの場合】 第23回 学級崩壊(前編)

シュリットディトリッヒ 桃子

2017年1月20日掲載

要旨:

小学校3年生になった息子のクラスで学級崩壊が起こっていたことが判明した。1-2年生時の合同クラスから担任の先生および学童保育の先生が変更になり、共に着任したばかりの若い先生方になったことも理由の一つらしいが、複数の男子児童たちが中心となり、クラスの半分の児童が教室を歩き回り、文房具を投げたり、騒ぎまくっているとのこと。新学期が始まって程なくして行われた保護者会では、既にとっている対応策や、事態が好転しなかった場合のさらなる策が伝えられた。

Keywords:
ドイツ、ベルリン、小学校、学童保育、学級崩壊、シュリットディトリッヒ桃子
やんちゃボーイズが授業妨害?!

前回は小学校3年生になった息子が大きな変化に戸惑っていた様子をお届けしましたが、実はその戸惑いにはもう一つ大きな理由がありました。なんと彼のクラスで学級崩壊が起こっていたことが判明したのです。

1-2年生の担任の先生および学童保育の先生はそれぞれキャリア20年、40年以上のベテランで、どんな子どもに対しても悠然と構えて、時に厳しく、時に優しく臨機応変に対応していた様子でした。一方で、今年度から担任も学童保育の先生も変わり、二人ともキャリア3年から5年程の若い顔ぶれになりました。

特に担任の先生に関しては、今年度から息子の通う学校に異動してきたばかりで、若くて優しげな女性。ある特定のやんちゃな男子たちにとっては、格好の標的になってしまった模様です。ですから、息子によると、その男子たちは新学年が始まった当初から先生の言うことを聞かずに、教室を歩き回り、文房具を投げたり、騒ぎまくっているとのこと。一方、中年で体格のいいとても厳しい男性の先生が担当する体育の時間になると、彼らはとたんに静かになるというのです。

そんな状況なので、体育以外の授業は全く進まず、45分の授業時間のうち、子どもたちを静かにさせるのに30分もかかっていた様子です。息子は3年生から始まった英語の授業をはじめ、算数やドイツ語の授業も好きで楽しみにしていたので、大きなフラストレーションを感じているようでした。

さらに、「やんちゃボーイズ」の一人とは1-2年生の合同クラスの時から一緒で、3年生になっても席が近いため、ワークブックなどに取り組む時間では、鉛筆で息子をつついてきたり、消しゴムを投げつけてきたりなどの、ちょっかいを出してくるとのこと。「やめて!」などと言っているうちに、お互いエスカレートしてしまい、結果、二人とも先生に怒られるという始末。「僕悪いことしてないのに、なんで怒られなきゃいけないんだよー!?」と毎日泣きながら帰ってきました。

元々陽気な息子が、連日、泣いたり、落ち込んで帰宅するのを目にするのは、親としても辛いものがありましたし、ベルリンでは5年生からギムナジウムなどの上級学校に進級することが可能ではあるものの、基本的に小学校は6年間通学。さらに、息子が通学している小学校では、3年生から6年生までクラス替えおよび担任の先生の交代はないので、「このままの状態が続いたらどうしよう」と私たち夫婦も気をもんでいました。

そんな状況で始まった新学年でしたが、初日から2週間ほどたった日、3年生に進級してから初めての保護者と教師(担任教師、算数の教師、学童の保育士)の集まりが予定されていたので、夫と相談して、その時に担任の先生に事情を伺おうということになりました。

保護者会で明らかになったクラスの様子

夫に出席してもらった保護者会は2時間にもわたる白熱した会合となったとのことで、やはり学級崩壊が起こっていることが判明しました。3年生は全部で3クラスあるのですが、運悪く息子のクラスでのみ、このような問題が発生しているとのこと。そして、問題を起こしているのは全て男児で、少なくとも3名いる、ということも先生が明らかにしました。

息子の通う小学校では、元々、1-2年生の合同クラスは6クラスあったのですが、各クラス1年生約10名、2年生約10名の約20名編成で、そこから2年生が3年生に進級したときに、2クラスずつ合わさって、現在の3年生の1クラス(約20名)を形成しています。

3年生に進級した時、クラス内で問題を起こしている男児たちにおいては、変なテリトリー争いが発生したらしく、自分たちの強さを誇示するために、先生の話には耳を貸さず、授業中に席を立って、勉強している他の生徒の邪魔をしたり、文房具を投げつけたりする、という行動に出てしまっている、とのこと。さらに、そのような行為は、他の児童にも伝染してしまい、遂にはクラスの半分の児童が同様の行為に走ってしまっていることもわかりました。

これまでに校長先生を含む教師三人が常にクラスに入り、授業を試みているものの、残念ながら効果は薄い模様。そういえば、この頃、息子のお迎えに行ったときに、校長先生、算数の先生、担任の先生と三人の先生が教室にいたので、不思議に思ったのを思い出しました。さらに、別のお迎え時には、校長先生が一人の男子生徒と一緒に出てきて「あなたの両親が今、校長室にいるから、これから私たちはミーティングをしますよ!」と厳しい口調で言っていたので、「もしかしたらこの子が授業中騒いでいるのかしら?」とも思ったりしていたのですが、そういう事情だったのだ、と話を聞いて腑に落ちました。

担任の教師によると、既にこれらの問題児たちの親たちは全員、学校に呼ばれ、校長および担任教師から個人的に注意を受けたとのこと。しかし、それでもまだ改善が見られないので、翌週から学校内に常駐しているソーシャルワーカーに加え、学外からもソーシャルワーカーおよび心理相談員を招き、彼らの行動観察および指導が始まる予定だという説明を受けました。

そして、それでも状況が改善されない場合は、彼らを現在のクラスから離籍させることも考慮に入れているとのこと。当地では小学生でも留年・落第があるので、2年生に降級させる可能性もあるし、また、より少人数で授業が行われる特別な学校に転校させることも視野に入れているとのこと。

いずれにせよ、先生方が深刻に受け止めており「学ぶ意欲のある子どもたちの邪魔をする生徒には、断固たる指導を行っていきます」と強固な態度を示し、対応策を実施中とのことがわかり、親としては安心しましたが、同時に「クラスでそんなことが起っているなんて、全く知らなかった」という保護者もいたということで、保護者の間でも温度差があることが窺い知れました。

保護者会から帰宅した父親が息子にこのことを話すと、安堵の表情をみせていましたが、実際はその後もなかなか状況が好転することはなかった模様。泣いて帰宅することはなくなったものの、「今日も○○君がうるさくて、授業がなかった」というコメントが続きましたし、その頃、既に新学年が始まって1か月程たっていましたが、ワークブックが真っ白のままで、授業が進んでいない様子が窺えました。保護者会に参加できなかったこともあり、私は直接先生から情報を得たいと思い、思い切ってメールを出してみました。すると、すぐに返信があり、「直接お会いして、お話しした方が伝わりやすいですから」と個人面談の予約を入れて下さいました。その様子は次回お伝えしたいと思います。

筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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