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所長ブログ

Director's Blog

誰もマスクをしていない! 驚きのアテネ~ OMEP国際学会に参加して その1

すでに本サイトでご紹介したように、私たちは昨年度アジア8カ国で子どものウェル・ビーイングとレジリエンスに影響を与える様々な因子について、アンケート調査を行いました。その結果の一部を、7月13~15日に欧州ギリシャのアテネで開催されたOMEP国際学会で発表してきました。新型コロナウイルス感染症の成り行きが不透明であった今年の春の段階では、発表はオンラインあるいはオンサイトの両方での発表が可能な、いわゆるハイブリッド形式で行うことになっていました。オミクロン株の感染者数に増加傾向があったために、私はほぼオンサイトでの発表は諦め、オンラインで発表する準備をしていました。ところが、5月頃に学会はオンサイト(のみ)で行うという発表があったのです。

私は、すでに欧米の国々の多くではマスク着用の義務が撤廃されていること、またオミクロン株による感染者数は多いが重症者は少ないことなどから、日本の新型コロナ対策は厳重すぎると思っていましたので、躊躇なくアテネ行きを決めました。欧州に渡航するために、急いで英文の予防接種証明書を作成しましたが、出発日の7月12日にはすでにEUの一部であるギリシャへの渡航には、その提示の必要はなくなっていました。羽田空港では検疫、通関もコロナ前と全く同じでした。さすがに飛行機の中ではマスクの着用を求められましたが、アテネへの中継地であるドイツのミュンヘン空港でも、検疫はフリーパスでした。ミュンヘン空港に降りて、まずびっくりしたのが、空港の職員やレストランの店員以外は、空港内を往来する旅行客でマスクをしている人がほぼ皆無であることでした。空港レストラン内も、お客さんは誰もマスクをしていません。ヨーロッパでは本当にコロナ前に戻ったんだ、と実感した瞬間でした。昼過ぎに着いたアテネのホテルは有名なアクロポリスのすぐそばで、チェックインまで2~3時間あったので、アクロポリスまで行ってみました。

chief2_01_115_01.jpg 有名な観光地であるアテネの街は、夏休みシーズンの初めであったこともあり、世界中(特に欧米)の旅行者で賑わっていました。多分コロナ前と違うのは、世界中の観光地を席巻していた中国からの旅行者がほぼ皆無ということでした。もちろんこうした観光客は、ほぼ誰もマスクをつけていません。レストランの中も例外ではありません。

chief2_01_115_02.jpg 写真はアクロポリスのそばを歩く観光客です。
ギリシャはオミクロン株の感染者がすでに減っているのかと思い、データベースで当日のギリシャのオミクロン株による新規感染者数を調べたところ、ギリシャでは人口百万人あたり1,500人ほどであり、一方の日本は700人でした。つまりギリシャでは、新型コロナウイルス感染の状況は日本と変わりなかったのです。

OMEPの学会場でも、マスクをしている人は10人に1人位であり、観光客が気を緩めているわけでもなさそうでした。

OMEPの国際会議への参加は2回目ですが、学会運営はのんびりしたもので、口述発表の会場に行っても司会者がまだ来ていなかったり、突然予定していなかった演者が話をしたりと、とても緩い運営でしたが、プログラムはとても充実しており、その内容も日本国内の保育関連学会とは大きく異なっていることが印象的でした。

学会の内容については、次回のブログで紹介したいと思いますが、今回は新型コロナへの対応の違いについて、成田に帰国するまでの体験について続けてお話しします。

アテネでは気温は高いのですが、乾燥していて夕方は長袖がいるほどひんやりして気持ちがよく、またマスクから解放された清々しい街の雰囲気に後ろ髪をひかれながら帰路につきました。

ただ、清々しくないあることをしないと帰路につけないのです。それは現在も続く日本への帰国者に課せられる「72時間以内のPCR検査の陰性証明書の取得」です。日本からアテネへ来ていた数少ない参加者の中に、CRNのプロジェクトである「ひとめでわかる世界の幼児教育・保育~各国・地域のECECのマトリクス2020~」の作成にご協力いただいた森眞理先生がおられました。海外経験の豊富な森先生は手際良くアテネ市内でPCR検査をしてくれるクリニックを見つけておられ、私もそれに便乗させていただいて、帰国の前々日に7~8人の日本からの参加者とともに検査を行うことができたのです。

大混雑でチェックインまで2時間もかかったアテネの空港を無事に飛び立ち、憧れのチロル地方の氷河を抱くアルプスを飛び越えてスイスのチューリヒ空港に到着。マスクのない清々しい雰囲気を短時間堪能したのちに、14時間のロングフライトで成田に到着しました。通常ならロシア上空を最短距離で飛び越える飛行ルートですが、ウクライナへのロシアの侵攻のために、ロシア国境のすぐ南側を縫うような空路(スイス→ルーマニア→黒海→ジョージア→カザフスタン→中国→韓国→日本)で成田に無事到着。

ところが晴れて日本の土を踏むまでに、通常の検疫ではなく空港内を大きく迂回する列に並んで、指定されたアプリをダウンロードしたり、意味のわからない数回のチェックポイントを1時間近くかけて通過して、やっと入国できました。

アテネの街や、ヨーロッパの空港での経験からすると、新型コロナ感染の状況がそれほど違わない日本がおとぎ話の国のような気がしました。

なお日本のオミクロン株による新規感染者数は世界一だから仕方がない、と思われる読者の方がいると思いますが、世界一を記録した当日でも、人口比で比べると世界で14位であったことを付け加えたいと思います。

筆者プロフィール
sakakihara_2013.jpg榊原 洋一 (さかきはら・よういち)

医学博士。CRN所長。お茶の水女子大学名誉教授。ベネッセ教育総合研究所常任顧問。日本子ども学会理事長。小児科医。専門は小児神経学、発達神経学特に注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群などの発達障害の臨床と脳科学。趣味は登山、音楽鑑賞、二男一女の父。

主な著書:「オムツをしたサル」(講談社)、「集中できない子どもたち」(小学館)、「多動性障害児」(講談社+α新書)、「アスペルガー症候群と学習障害」(講談社+α新書)、「はじめて出会う 育児の百科」(小学館)、「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」(講談社+α新書)、「子どもの発達障害 誤診の危機」(ポプラ新書)、「図解よくわかる発達障害の子どもたち」(ナツメ社)など。
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