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【ドイツの子育て・教育事情~ベルリンの場合】 第11回 夏休み前のバーベキューパーティ

要旨:

小学校生活初年度が終わりつつある夏休み前、ベルリンでは学校の内外問わず、様々なイベントが行われる。サッカークラブでも最後の練習の後に、バーベキューパーティが開催された。準備段階から、父親たちの参加率が高く、バーベキューが終わってからの子ども対パパの試合では、子ども相手にも手を抜かず、真剣になっていた。暗くて長い冬とは対照的に、ドイツの夏は短い期間ながらも、夜10時頃まで明るく天気が良いので、人々は屋外パーティを好んで催すが、今回はそういったドイツでの夏の典型的な過ごし方を経験できた。

Keywords:
ドイツ、ベルリン、学年度末、バーベキューパーティ、サッカー、シュリットディトリッヒ桃子

早いもので、息子の小学校1年生としての生活は終わり、2年生となりました 。保育園からのお友達が一人もおらず、初めての学校生活に当初は緊張していた息子ですが、1年生が終わる頃には多くのお友達に恵まれて、小学校生活を満喫していたようです。

かくいう私も、小学生の母親としては「1年生」。遠い昔に経験した日本での小学校生活とは異なる当地でのそれに、戸惑いが多かったことは否めません。ただ、先日、保育園時代のドイツ人のママ友と1年ぶりに再会した時に「最初の1か月は息子よりも私の方が緊張していたわよ!」と彼女が言うのを聞いて、「ああ、私だけではなかったんだ!」と胸をなでおろしたのも事実です。今は、無事に初年度が終わったことに感謝しています。

さて、そんな親子たちをねぎらうかのように、学年末を迎える夏休み前、ベルリンでは様々なイベントが数多く行われました。例えば、小学校ではサマーパーティ、通っていた保育園では初めての同窓会、サッカークラブでは最後の練習の後に、バーベキューパーティが開催されました。

その中でも、特にバーベキューパーティは父親たちの参加率も高く、ベルリンらしいなあ、と思ったので、今日はこのパーティについて、スケジュールに沿って振り返ってみたいと思います。

午後4時半:パーティ準備開始!

練習開始に合わせて、保護者は子どもたちをサッカー場へ送り出し、パーティ準備を開始しました。会場はサッカー場と同じ敷地内の公園です。ベンチやテーブルをセットアップしたり、バーベキューの火をおこしたり、食料を買い出しにいったりと、皆で分担しあっての準備となりましたが、驚いたのは、父親の参加率の高さ!我が家のように夫婦で参加している方々も多かったのですが、平日の午後4時半と日本の感覚からすると比較的早い時間であるにも関わらず、保護者の半分以上は父親たちで占められており、力仕事やグリルマイスターとして大活躍です。

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パパたち大活躍のバーベキュー

午後5時半:子どもたちの到着

グリルに火をおこして肉を焼く準備ができた頃、年度最後の練習をいつもより30分早く切り上げ、お腹をすかせた子どもたちがコーチと一緒にバーベキュー会場へやってきました。いよいよパーティ開始です!

といっても、子どもたちはソーセージや肉をすごい勢いで平らげたかと思うと、パーティということで興奮状態に陥っているのか、サッカーボールを追いかけ始めたり、木に登ったり、またテーブルに戻ってきて、今度はマフィンを食べたり、とじっとすることなく、せわしなく動いています。その間、保護者たちは、子どもたちの相手をしつつ、バーベキューを堪能し、また肉を焼いたり、他の保護者との情報交換にいそしんだりと、こちらもバタバタしていました。

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緑のあふれる公園でのバーベキューは最高!

午後6時半頃:パパとキッズのサッカー対決

パーティ開始から1時間もたつと、保護者たちのお腹も満たされてきます。小さなグループでサッカーの練習をしていた子どもたちに、お腹いっぱいになった父親が合流し、自然と試合形式の練習となり、ついには、コーチも交じって、大人対子どもチームの試合開始となってしまいました!ちなみに、この場所はあくまでも公園であって、サッカー場ではないのですが、敷地が広大なので、遊びのサッカーをするには十分な広さがあります。

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子どもとほぼ同数の父親が参加した「パパとキッズのチーム対決」

ここでのパパさんたちのハッスルぶりに、私を含めママさんたちは皆、驚きを隠せませんでした。なんといっても、パパたちの目が真剣そのもの!子どもたちの試合中も、時に当のプレイヤー以上に熱くなっていたことは前回お伝えしましたが、自分たちがプレイするとなると、同じくらい、いや、それ以上に興奮度がUP!もはや、子どもが相手であることは関係ないようで、バーベキューで膨らんだお腹を抱えながら、大声を出してパスを送ったり、ゴール前では体当たりで競り合ったりしています。かくいう私の夫も、その中の一人でしたが・・・

対するちびっこだって、負けません。体格(恰幅?)の良いパパたち相手に、全身でぶつかっていきます。我が息子も大好きなバーベキューにも関わらず、それ以上にサッカーに夢中で、食事もそこそこ、 試合となると、パパ以上にハッスル!通常の試合と同様、真剣な表情で試合に臨む子どもたちの様子から、20年後、30年後に父親になっても、今のパパたちのように、こんな風に子どもたちとサッカーを楽しむのかしら、と想像してしまいました。

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大人相手だって負けないぜ~!

夜7時といっても昼間同様の明るさの中、ドリンク片手に他のママたちと木陰の涼しいベンチから観戦しながら、「これってある意味、典型的なドイツの夏の過ごし方かもしれないなあ」と思いました。

午後7時半:試合終了、片づけ、撤収

この日は平日だったので、翌日は通常通り学校の授業があります。多くの子どもたちは普段、8時に就寝するので、7時半には試合終了のホイッスルが鳴りました。それでも物足りないのか、子どもたちからは不満の声も聞こえましたが(子どものエネルギーには感服です)、そこは親たちが事情を説明し、片づけを開始します。一斉に片づけをしたので、あっという間に撤収となりました。

午後8時頃:帰宅→シャワー後、 即爆睡

汗まみれの息子&パパは、帰宅するなり、バスルームへ直行!大急ぎでシャワーを浴びると、今度はそのままベッドへ倒れ込み、一瞬で眠りに落ちていきました。

ドイツの夏は日が長く、夜10頃まで明るいこともあります。そんな環境ですから、夜8時でもまだまだ日が照っており、去年までの息子は「なんで、こんなに明るいのに寝なくちゃいけないの?」と不思議がっていた位です。暗くて長い冬の憂さを晴らすように、短い夏のうちにこの長く明るい日を思い切りエンジョイしよう、ということで、このような屋外パーティがしばしば催されます。今回は、そういったドイツ人の姿勢、そして、サッカーに対する情熱に触れることができたひと時でした。

筆者プロフィール
シュリットディトリッヒ 桃子

カリフォルニア大学デービス校大学院修了(言語学修士)。慶應義塾大学総合政策学部卒業。英語教師、通訳・翻訳家、大学講師を経て、㈱ベネッセコーポレーション入社。2011年8月退社、以来ドイツ・ベルリン在住。
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