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ソーシャルメディアが媒介する社会-世界の利用分布と分類

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1.ソーシャルメディアの影響力

震災時にも注目を集めたTwitterをはじめとするソーシャルメディアは、国内外で多くの人に利用され、多様化し、用途に応じて使い分けがなされている。Twitter のつぶやきを利用したTrendsmap(図1)を見ると、世界のどこで誰が話題を提供しているのか、どんなことが話題(Hot Topics)になっているのかが一目でわかる。たとえ特定権力により公共メディアが操作されたとしても、インターネットの規制を行わない限り、個人のつぶやきはネット上に溢れ、多くの人が同じ思いをつぶやけば、Hot Topicsとしてヒットすることになる。個人のふとしたつぶやきが遠く離れた国の人々の共感を呼ぶこともある。それ故ソーシャルメディアは、紙媒体の新聞・雑誌や、ラジオ・テレビなど既存の公共メディアを超える影響力をもつ可能性がある。

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図1 Trendsmap(http://trendsmap.com/より)


2.どのようなソーシャルメディアが利用されているのか

2011年の世界のソーシャルメディアの利用分布図(World Map of Social Networks)を図2に示した。これは、それぞれの国々で、どのソーシャルメディアが最も利用されているかを示した分布図である。図2を見ると、日本は依然としてmixiが強いことがわかる。最近ではtwitter やfacebookの利用者が増えてきたようだが、若者の利用方法を観察すると、これまで利用してきたmixiと連携させるツールを利用してtwitterでも情報を発信しているようである。連携ツールを利用すると、mixiでつぶやいたことをtwitter等でも同時につぶやくことができる。

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図2  World map of social networks 2011
http://pbdspace.kj.yamagata-u.ac.jp/world_map_of_social_networks.html

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図3  World map of social networks 2009
http://pbdspace.kj.yamagata-u.ac.jp/world_map_of_social_networks.html

図3は、2009年の世界のソーシャルメディアの利用分布図である。2011年には、2009年(図3)と比較して世界全体の傾向として、欧米やオーストラリアを中心にfacebookの利用者が優勢となっている地域が増加している。ロシアではVKontakte、中国ではQQ(QZone)、ブラジルと2009年までのインドではOrkut、キルギス、ウズベキスタン、そして、少しとんだところにあるグルジア、アゼルバイジャン、そして、モルドバではOdnoklassniki、ベトナムではZing、ラトビアではDraugiemが流行っていることがわかる。 2009年段階では中米、ペルー、タイではhi5、韓国ではCyworld、中東やリビアではMaktoob、フィリピンではFriendster、また韓国語やアラビア語圏などでは、それぞれ独自の言語のソーシャルメディアが流行っていたが、2011年にはそれらの国々すべてでfacebookが優勢になってきている。それぞれの国のソーシャルメディアでは、主に国内の人同士だけがつながることができるというメリットの反面、国を超えた交流が難しいというデメリットがある。それ故、独自のソーシャルメディアから、複数の国の人々が利用しているfacebookへの乗り換えが進んでいるのであろう。

表1は世界で優勢となりつつあるfacebookの利用者人口を示したものである。2011年11月16日現在、利用者数は米国に次いで、インドネシアやインド、イギリス、トルコ、ブラジル、メキシコ、フィリピンと続いて多くなっている。日本は、パキスタン、オランダに次いで27位である。


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表1  facebookの利用者人口Top30
(2011年11月16日現在、http://www.socialbakers.com/facebook-statistics/より)


また、facebookよりも優勢な利用者数を占める国はないものの、twitterは主なソーシャルメディアの一つである。twitterの利用者割合は表2に示した。2011年11月16日現在、facebookの利用者数同様米国がトップであるが、twitterの日本の利用者割合はfacebookよりも国別でみると順位が高く、インド、南アフリカに次いで11位である。日本で優勢なソーシャルメディアはmixi*1であるため、facebookやtwitterの利用率が高い国とはいえないが、今後の情報社会の動向としてソーシャルメディアの存在は避けては通れない存在となりつつあるといえるだろう。


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表2  twitterの国別利用者人口割合Top15
(2011年11月16日現在、http://www.sysomos.com/insidetwitter/より)


3.ソーシャルメディアの分類

世界では優勢なソーシャルメディアが単一化していく一方で、日本をはじめ独自のソーシャルメディアがまだ優勢を占めている国もある。また、小規模なソーシャルメディアも多数併存しているため、多様化している。主なソーシャルメディアを分類した(図4)。

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図4 主なソーシャルメディアの分類

主なソーシャルメディアにはモバゲーのようにゲームが中心で、ゲームの付属としてメールや日記機能等が付随している娯楽性の高いものから、Google+のようにあまり娯楽要素をもたないもの、機能が少ないtwitterのようにつぶやくことに特化しているものから、mixiやfacebookのように、多様な機能が搭載されているものまで、様々なものがある。娯楽的要素は利用者の利用の仕方によって左右される部分もあるが、図4は、搭載されている機能・利用者の利用の仕方両面から判断し、作成した。ソーシャルメディアは、図4に示したもの以外にも数多く存在する上、流動性も高い。複合型のプラットフォームを用意し、多様なジャンルや用途による利用をねらう方向に進化していくソーシャルメディアもあれば、特定のジャンルや年齢層に利用者を絞り込むことで生き残ろうとするソーシャルメディアもある。まだまだ成長過程のメディアであり、今後も多様な進展を遂げるであろう。


4.子どもたちのソーシャルメディアに対する関わり方

子どもの世界が大人の世界の縮図である構図は、時代が変化しても大きく変わらない。国内外でソーシャルメディアが人と人を結びつけ、発信するツールとして、重要な位置を占め始めている以上、今後はソーシャルメディアを有効に利用した教育へと向かうことになるだろう。テレビやビデオデッキ、ゲーム、ネット、ケータイが登場したときに、必ず子どもにはまだ早いと禁止する動きが見られるが、新しいツールに議論が移ると、古いツールに対する禁止論は徐々に消えていく。ソーシャルメディアは利用させない方が良いという意見もしばらくは出てくるだろうが、新しいツールをいかに有効に使い、新しい時代を切り開いていく子どもたちを育成していくかということこそが、これからの教育者の使命ともいえよう。

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図5 フランスlemonde社による2008年の各ソーシャルメディアの世界分布


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*1 http://www.rbbtoday.com/article/img/2012/01/12/84977/175084.html
2011/12/20~12/27に実施されたモバイルサーチによる調査.1,000サンプル(男性:500サンプル、女性:500サンプル)(10代:20%、20代:20%、30代:20%、40代:20%、50代以上:20%)において、mixi38.8%、twitter23.9%、facebook10.2%と報告されている。
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