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【ニュージーランド子育て便り】 第13回 発表会シーズン

要旨:

ニュージーランドでは、習い事もスクールターム制をとっている。小さな子どもたちに特に人気のある習い事は水泳やジムナスティックスであるが、娘は1年前からバレエを習い始めた。ニュージーランドの習い事事情や、11月末に参加したバレエの発表会について紹介したい。

ニュージーランド(以下、NZ)の学校は4ターム(学期)制を取っており、各ターム10週間です。1月末~2月初旬に1ターム目が始まり、12月の前半に4ターム目が終わります。学校が休みになるのは、各タームの間の2週間のスクールホリデー期間と、12月後半から1ヶ月半ほどの夏休み期間です。子どもの習い事もだいたいこのターム制に則っており、1ターム(10週間)あたり100ドル(約8,300円 2014年2月現在)程度が習い事の相場です。私の知る限り入会金のようなものはなく、タームの初めに1ターム分の支払いをして10回通うというところが多いようです。ですから、新しいタームになると続けない子どももいれば、新しく入ってくる子どももおり、習っている子どもたちの出入りがかなりあります。また、スクールホリデーの間だけ行われるような短期集中の習い事もあります。

娘は、1年ほど前からバレエを習っています。NZに来た当初は、私はこちらの強い日差しに当たるとその後2-3日はひどい頭痛がしてしまうという症状に悩まされていました。そのため、室内で娘を運動させて体力をつけてあげたいという思いが大きなきっかけとなり、始めました。私自身も習っていたことのあるバレエは、異国での習い事であっても、私にはとてもとっつきやすいものでした。小さな子ども向けバレエ教室はとても限られており、通う教室はすぐに決まりました。なお、小さな子どもの習い事で圧倒的に流行っているのは水泳です。ベビークラスからあり、男女問わず習っている子どもが多いようです。水泳の次に人気なのはジムナスティックス(体操)のようです。バレエを習っているのは、9割以上は女の子です。そして、バレエなど発表会があるようなものは、大体4ターム目の終わり頃に発表会が開かれることが多いようです。今回、娘もバレエの発表会に参加してきました。

通常のバレエのレッスンは、娘はやる気のある日もあれば、やる気のない日もあります。2-3歳児のクラスにいるので、お母さんと離れられない子も多く、20人ほどの子どもたちのうち3分の1ほどの子どもは、お母さんと一緒に踊っています。娘もその一人なので、私はずっと付きっきりです。他のお母さんたちは教室の端に座って見学しています。日本では、バレエの教室は子ども相手でも、できていない部分はきちんと教えてくれたように記憶していますが、娘の通っているバレエ教室はできていないことを指摘するのではなく、できたことを褒めて伸ばしていきます。やる気のない日の娘が叱咤激励されることもなく、始めた頃はただ見ているだけで30分のクラスが終わってしまうようなこともありました。そして少しやる気になって参加すると、先生が褒めてくれるという具合です。習い事に限らず、どんな子もきちんと参加させて伸ばしていく日本に比べたら、もしかしたらある意味NZの方がシビアかもしれませんが・・・。小さな子どもたちが緊張感もさほどもたず、自由にバレエに親しんでいる姿はとてもかわいらしいです。ちなみに、あるジムナスティックスの習い事をしている知人のお子さんは、才能のある子どもだけを対象としたクラスへの招待状がきたのだそうです。こうした才能のある子どもたちに対しての指導法は、もしかすると異なるのかもしれません。当然、私にべったりの娘はそんな招待状を受け取ることもなく、マイペースにやっています。

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レッスン中の娘


肝心の発表会ですが、練習開始がとても遅くて驚きました。ターム4の始まり(10月末)に「発表会があるけど出る?」という出欠確認がありました。日取りは11月3週目の週末だそうです。つまり5週間後!練習のチャンスはあと5回になります(日本ではだいたい3ヶ月前くらいから練習を始める教室が多いように思います)。娘はNZに来てから、大勢の人の前で発表をするという体験は、一度もしていません。そんなことを考え、せっかくなので発表会に参加することにしました。そして発表会4週間前に、ようやく練習開始です。まずは、普段のクラスの終わりごろに曲の半分ほどの振り付けを試しにやってみるという感じで終わりました。発表会3週間前は、前の週の復習と少しだけ振り付けを進めただけでした。発表会2週間前に曲の後半部分の振り付けをし、最初から通して4回ほど踊ったでしょうか。最初から最後まで通して踊れた子は半分いないのでは・・・という状態だったと思います。それでも「よくできました!」と練習時間もさほどオーバーすることなくクラスは終了しました。

いよいよ発表会のある週になりリハーサルのために本番の会場にいくと、10歳くらいのお姉さんが2人、同じ衣装を着て、同じ振り付けで踊ってくれることになっていました。この2人のリーダーとなるお姉さんの存在が大きいのか、ぎりぎり最後の練習で振り付けを覚えたばかりの2-3歳児が舞台の雰囲気に背中を押されて、最後まで踊れたことに感心してしまいました。お姉さんにくっついて真似をしながら踊っている娘の姿に、ただただ感動でした。本番もこんな調子で踊れてしまった2-3歳児たちは、本当にかわいらしかったです。なお、2-3歳児クラスだけはあまりにも小さいので特別扱いで、主役級の出演者たちは数か月に渡り練習を重ねたのかと思いましたが、彼女たちもまた、ターム4が始まってからの練習スタートだったようです。子どもたちは、この短期間に4時間にも及ぶ舞台の振り付けを覚えて見事にこなしており、本当に素晴しい発表会でした。

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娘の着たラビットの衣装


ところで舞台を作るというのは、どうしてもお金がかかるものです。日本では発表会参加費用、衣装費用などで、普段のレッスン費に加えて参加者には多くの費用がかかったと記憶しています。一方の娘の発表会で必須だったのは、衣装代の3000円程度だけでした。オプションとしてDVDや写真を購入することができますが、それらも日本と比べたら求めやすい価格でした。では今回の舞台のコストはどのように賄われているのかと考えると、主には発表会のチケットなのだと思います。チケットは有料で、例え参加者であっても、小さな子どもでも、舞台を見るためにはチケットを買う必要があるというシステムになっていました。チケットはどんどん売れていき、ぼんやりしていた私たち家族のチケットは、売り切れ寸前という状態で確保しました。そして好評につきということでしょうか、本番の1週間前にリハーサルとして確保されていた日が急きょ本番の追加公演に変わり、全4日6公演!にも及ぶ発表会になったのでした。(2-3歳クラスだけは夜の講演を免除され、2回のみ参加しました。)日本では、発表会と言えば1回のステージのところが多いと思います。全ての子どもが6回踊るというのは、一大イベントです。

NZでの習い事は、ターム毎に終わりが来るので、親としても気楽に始めることができます。向き不向きが分かりにくい小さい子どもでも「とりあえずやらせてみよう」「向いていなければ今タームだけにしよう」、子どもの様子を見て「次のタームは別の習い事を探してみよう」などと思えるところはとても良いと思います。バレエの発表会に向けた練習も短期集中ですし、参加しやすい料金体系になっており、とても魅力的です。長年子どもを習わせているたくさんのお母さん方が、プロのように子どもたちを誘導し会場を取り仕切っていることも、短期間での練習を可能にしているのかもしれません。こうして、様々なことに感心しながら娘の初の発表会は終了しました。娘自身もとても楽しい経験になったようです。2013年は1年の終わりに良い体験ができたと思っています。

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コンサートで踊り終えた後、サンタパレードを見学

筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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