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【双子のいる生活】 第5回 生まれたばかりの双子たち

持田 聖子 (ベネッセ次世代育成研究所 研究員)

2009年3月 6日掲載

要旨:

約2,500gと双子としては大きく生まれた娘たち。一卵性双生児だから全てがそっくりかと思いきや、顔は案外違う!初めて会った瞬間から母親には分かる二人の違い。別室に居た娘たちが同じタイミングでうんちをして、オムツ替え中におしっこを飛ばした、一卵性双生児の神秘を垣間見た瞬間である。双子の授乳は、二人同時に行う方法を教わる。退院後、小さいけれど確かな生命力を放つ二人と初めて三人で一緒に眠った夜は一生忘れられない。子育ては最初から上手くなんて出来なくていい。一歩一歩お互いに育って行けばいい。「あせらない、あわてない、あまえ上手になろう」を育児のスローガンと決めた。

約2,500gと、双子としては大きく生まれた娘たち。お蔭様で、NICUにも、保育器にもお世話にならずにすみました。「お腹で大きく育てて産んでくださってありがとう。」と、新生児科の医師にお礼を言われました。病院のNICUは常に一杯だったようです。昨今、出産を取り巻く医療体制の慢性的不足がニュースで騒がれていますが、それを実感した経験でした。


出産した病院では、出産初日から母子同室と母乳育児を推奨していましたが、一ヶ月の安静生活の後に帝王切開で出産した私には、さすがに強要はされませんでした。術後、二日目から、一人ずつ部屋に連れて来て、短時間の世話から始めることになりました。

赤ちゃん達の第一印象。"so tiny!"顔も手も足も、全てがちいちゃい!頭は片手で包めるくらい。脚は、まるで鳥の足みたい。細すぎて、足首につけているIDバンドが抜け落ちてしまいました。病院の産着も大きすぎて、産着に身体がうずもれていました。一卵性双生児だから、全てがそっくりなのかと思っていたら、お顔は案外違う!初めて会った瞬間から、母親の私には二人の違いが分かりました。

身体が小さいゆえか、おっぱいを飲ませようとしても、うまく乳首に吸いつけず、ミルクをあげてもなかなか上手に飲めません。飲む量も他の赤ちゃん達に比べて少ないよう。ミルクは一度に20ml飲むのが精一杯。飲みながらも、飲み疲れて眠ってしまいます。小さな足の裏をくすぐって起こして飲ませますが、なかなか上手くいきません。授乳室で、おっぱいが足りないと大きな声で泣き叫ぶ他の赤ちゃん達を見ては、つい比べてしまいました。

でも、こんなに小さいのに、ちゃんと人間。お腹がすけば泣きますし、おしっこもうんちもします。うんちが出てオムツを替えるたびに、「うんちもでたの、えらいね」と感動しました。

一人ずつ部屋に連れてきて世話をしていた時のエピソード。部屋にいた次女が、夜中にうんちをしました。オムツを替えていたら、おしっこを飛ばされて肌着を汚しました。着替えの肌着を新生児室にもらいに行ったら、新生児室の助産師さんが驚いた顔。なんと、同じタイミングで、新生児室の長女もうんちをし、オムツ替えをしている時におしっこを飛ばしたそうです。一卵性双生児の神秘を垣間見た気がして、少し、鳥肌が立ちました。

産後7日目くらいから、ようやく二人を一緒に部屋に連れてきて、終日お世話をすることになりました。いよいよ、双子育ての始まりです。育児は二度目の私ですが、緊張!助産師さんから、二人に同時に授乳する方法も教えてもらいましたが(「育児編」で書きます)、首もグラグラの二人を前に、パニックになりそう。個室に一人でいるとかえって緊張するので、二人を寝かせた2台のコットを押して、授乳室へ。授乳室に双子を連れて行くと、授乳中のママ達の注目の的でした。授乳がうまくできなくて涙ぐんでいる新米ママさんも、二人への授乳に悪戦苦闘する私を見て、ほっとしたかもしれません。それでも私は、誇らしかった。「がんばって。」と励まされて、とても嬉しかったです。

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母子同室のため、息子がちょっと緊張しながら、二人の妹を部屋に連れてきた。
コット2台を置くと、狭い個室はいっぱいに。

新生児は、「生理的体重減少」といって、出生体重の5%程度は体重が減ります。それは自然なことですが、長女も次女も、10%を超えて体重が減り、長女は2,100g台、次女は2,300g台になりました。出産した病院は、体重が2,300g以上ないと退院させない方針でした。多胎の場合は、全員が2,300gを超えるまで退院させないということでした。医師と相談し、積極的にミルクも与え、体重減少が底を打ち、上昇に転じるのを待ちましたが、残念ながら、私と一緒に退院することは出来ませんでした。

出産日から10日目、後ろ髪をひかれる思いで、私だけ先に退院しました。淋しくて、涙が出そうになりました。たった10日間一緒に過ごしただけなのに、二人がいない生活は、私にはもう考えられなくなっていました。私は、病院の近くにある助産院に泊まり、3時間ごとにせっせと搾乳し(まだ一回50mlがせいぜい)、冷凍母乳パックを病院に届けました。

11日目、二人とも体重がいきなり増加。主治医も驚くスピードで、あっという間に長女も2,300gを超え、12日目には、二人そろって退院することが出来ました。「ママ、助産院で一日ゆっくり休んでね」と二人が計画していたのかな、と思ってしまいました。

助産院に連れ帰り、ダブルサイズの布団に、初めて3人で一緒に寝ました(病院では、添い寝は禁止でした)。小さいけれど、確かな生命力を放つ二人と初めて一緒に眠った夜は、一生忘れません。どういうわけか、心の中に祈りが湧き上がってきました。「ひとつの命の素は、二つに分かれて双子となり、その二人の娘たちは、私を母と選んで生まれてきた。私は、二人に選ばれたからには、たとえ大変でも、二人を幸せに育てよう。神様、どうか、私に力をください。」そんな思いでした。

最初から、うまくなんて出来なくていい。一歩一歩、お互いに育って行けばいい。「せらない、わてない、まえ上手になろう」育児のスローガンを決めました。

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  友人から贈られたお花はピンクが
 多かった。
 女の子のママになったのだなと、
 嬉しかった。

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  育児と緊張で眠れなかった朝。
 病室から外を眺める。
 入院した時は真冬だったのに、
 桜が満開。 

report_09_06_4.jpg 


  双子を並べてみる。小さくて肌着に
 うずもれている。






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