はじめに
算数・数学的概念は、基本的に二つの数学的知識のカテゴリに分類できる。一つは、概念的知識(conceptual knowledge)、もう一つは手順としての知識(procedural knowledge)である。概念的知識は、数学的概念を解釈したり、様々な考え方と概念や技能を関連付けたり、数学的考えを発見することである。手順としての知識は、事実に関わる知識、数学的象徴、規則ややり方である。授業者はこれらの数学的知識を基に、授業の中では、主として二つの種類の情報を利用する。一つは、問題を解決するための概念的基礎を理解することやまとめ方(方式-formula-)を導く情報としての「概念的情報」である。もう一つは、問題を理解するために必要な情報としての「手順としての情報」である。この二つの情報のうち、算数・数学的教育の授業で、問題の解決やまとめ方に必要とされる情報は、概念的情報である。これに対し、問題を理解するためのスキルや方法の知識(ノウハウ)に必要な情報は、手順としての情報である。
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算数・数学教育における子どもの概念形成と思考方略
-イラン、アメリカ、日本の比較授業分析- [PDF: 6.81MB]
注) 「中等教育研究部 紀要 第2巻 2009年度 (学校法人 名古屋石田学園 発行)」より転載いたしました。