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論文・レポート

Essay・Report

チルドレンズ・ミュージアム -博物館からはじまる創造的な学び-

佐藤 優香 (国立民族学博物館 講師)
上田 信行 (甲南女子大学 教授)

2004年2月 6日掲載

要旨:

人がどのような状況にある時にその人の学びというものが成立しているのだろうか、また、博物館での学びとは一体何だろうか。これはとても大きな問題で、すぐには答えが出せるようなことではないとは思うが、「関わり」という言葉が手がかりになるのではないか、と思っている。博物館にやって来た人が、そこにあるものと自分とがどう関わるか、そこにいる人とどう関わるか、ということを意識しながら企画を考えている。また、いろんなかかわりがうまく成立した時が、学びの成立している時であって、またそんな関わりが上手くいくような場を用意することが教育の役割ではないかと考えている。

I. ミュージアムとわたし(佐藤優香)

今日は、実際に私が博物館の中で、どのようの実践をしているかということを、ご紹介させていただきたいと思っています。始めに、私自身がどのような関心をもとに、ミュージアムを対象にしてこれまで取り組んできたのかということを、チルドレンズ・ミュージアムの歴史を少し紹介しながら、お話したいと思います。そして次に、ふたつの事例を、ビデオで見ていただきながら紹介させていただきます。ひとつめは、博物館に来た人に博物館の中で充実した時間を過ごしていただくために行っているワークショップです。もうひとつは、博物館がどのようなところかを知ってもらうために博物館の外で行ったワークショップです。


私がミュージアムというものに関心を持ったきっかけは、今日のタイトルになっているチルドレンズ・ミュージアムとの出会いでした。私がチルドレンズ・ミュージアムを知ったのは、大学3年生のおわり、卒業論文のテーマを決めるのに悩んでいたころでした。ちょうどそのころに、図書館で見つけた洋雑誌にチルドレンズ・ミュージアムの様子がカラー写真で紹介されていました。また、大学図書館のフィリオというニュースレターの第6月号に、上田先生が「チルドレンズ・ミュージアムと未来の図書館」というタイトルでエッセイを書いておられました。エッセイを読んだときに、雑誌で見た子どもたちの写真を思い出し、このように子どもたちが楽しそうに遊びながらいろんなことを身に付けていけるような、そういうミュージアムというものをもう少し調べたいな、と思ったのが始まりです。そのころ、私はチルドレンズ・ミュージアムというものが一体どれくらいあるのか、またどこにあるのか、どんなことをしているのか、誰が経営しているのか、何も知りませんでした。当時指導教官だったのが、ここにいらっしゃる佐藤先生なのですが、先生にチルドレンズ・ミュージアムをテーマに取り上げたいとお話したら「それならボストンにあるチルドレンズ・ミュージアムですよ」とおっしゃいました。佐藤先生からボストンということを聞きましたし、上田先生が書いておられたエッセイの中にもボストンのチルドレンズ・ミュージアムが紹介されてました。それと、当時、日本経済新聞に「子どもワールド」という連載があり、そこでもボストンのチルドレンズ・ミュージアムが紹介されていました。この記事から、ボストンのチルドレンズ・ミュージアムができたのは1913年で、アメリカの中で2番目に古いということが分かりました。また、そこには、1962年にマイケル・スポックという方が館長になられたことで、革新的な事業を行い、チルドレンズ・ミュージアムが非常に注目されるようになったことも紹介されていました。このようなことを知って、私はどうしてもボストンのチルドレンズ・ミュージアムを実際に見てみたいなと思いました。

4年生の夏休みにはゼミで一緒だった友人とアメリカに行き、その際にボストンのチルドレンズ・ミュージアムを訪問しました。当時はまだ、ミュージアムというところがどのような場であるかということを、あまりわかっていませんでした。それに、自分にとってミュージアムがすごく魅力的な施設であるということにも、まだ気付いていませんでした。ところがボストンに行く前に、ニューヨークでメトロポリタンミュージアムを見て、こんなに立派で大きくて、それですごく楽しそうで、いろんな展示物があって、展示物に関連したグッズがいろいろ売られていて、ミュージアムというところはかっこいい場所なのだなあと驚きました。まずニューヨークで、ミュージアムというものにすごく刺激を受けたのです。そしてボストンのチルドレンズ・ミュージアムでは、展示物というのはただ見るだけではなくて、触って見るとか試してみるとか、「見る」以上の活動ができるような形で構成されていて、また驚きました。今日は「卒論ノート」を持ってきました。ここに、先ほどの日経新聞の記事や上田先生のエッセイも貼ってあって今も残しているのですが、そのときに「科学館でもない、自分が知っている博物館でもない、かと言って遊び場というのもちょっと違う、一体ここは何だろう」とメモしています。日本ではこんなの見たことないと驚き、チルドレンズ・ミュージアムが持っている役割や雰囲気などにすっかりひきつけられていたのです。

卒論を書くにあたって、日本には子どもが楽しむためのミュージアムのようなものはどこにあるのだろうということと、アメリカでのチルドレンズ・ミュージアムにはどのようなものがあるのだろうか、ということを調べてみました。卒論を書いたのは1991年なのですが、当時調べた限り日本には「子ども博物館」と名前が付く施設はありませんでした。アメリカでは、その3年前の1988年にDoinig Children's Museum という本が出版されたいて、そこではアメリカ国内に255のチルドレンズ・ミュージアムがあると紹介されていました。


II. 日本のチルドレンズ・ミュージアム(佐藤優香)

アメリカではこんなにたくさんあるのに、日本ではまだひとつもなく似たものが考えられ始めているぐらいだと知り、ならば日本の博物館では、どのようにして教育というものが考えられてこられたのだろうかということに関心を持ちました。そこで、大学院に進学してからは、日本の博物館の歴史について勉強をはじめました。今も、日本の博物館が、どのような教育機能を持ってきたのか、どのようにしてそういうことをはじめたのか、ということを調べています。

先程、アメリカで最初にチルドレンズ・ミュージアムがつくられたのは1899年だったとご紹介しましたが、日本で最初に「学ぶ・教育する」ということを考えて作られたのは文部省の博物館で、1877年に設立されました。これは明治の政府ができて10年後なのですが、そこが発展したのが東京上野にある国立科学博物館です。大学院修士課程在学中は、国立科学博物館がどのようにしてできたかということを調べていました。

その頃も、まだ日本にはまだチルドレンズ・ミュージアムはないと思っていたのですが、いろんな資料を調べているうちに、どうやら日本にも子どものための博物館が、以前存在していたということがわかりました。そして調査が進むにつれ、その博物館が、ボストンのチルドレンズ・ミュージアムと交流を持っていたということも分かりました。その博物館というのは、1929年昭和4年に京都に誕生しました。今から80年ぐらい前ですね。仏教児童博物館という名前でした。当時、ここの経営に関わっていた方が、今も京都で幼稚園の園長先生をなさっています。今日は、その園長先生から借りてきた資料を少し持って来ましたので、当時の資料も見ていただこうと思います。

仏教児童博物館は、アメリカのボストンに住んでいたシャーウッドという女の方が、日本のことをもっと知りたいし、日本のことをアメリカの人に知ってもらいたいと考えて、それならば日本には雛人形という美しい人形があるらしいので、その人形をアメリカの子どもたちに見てもらって日本を理解してもらいたい、という想いから始まりました。そこでこの人は、京都に住む中井玄道というお坊さんを紹介してもらい、アメリカに雛人形を送ってほしいという手紙を書きました。その手紙を受けた中井さんは、募金を集め、雛人形をアメリカに送りました。今見ていただいているのは、日本から送った人形がアメリカに渡り、その人形を前にしてアメリカの子どもたちがお茶会を開いている写真です。このように日本から人形を贈ったことで、ボストンの一人の女性の方と京都に住むお坊さんとの間に交流が始まりました。日本から贈った人形をどこに保存しようか、これからどこで子どもたちに見てもらおうかということが話題になった時に、チルドレンズ・ミュージアムが候補としてあがりました。ここならば、いつでも子どもたちに見てもらうことができますし、その子どもたちに橋渡しをしたその女性にとっても身近な場所だったからです。2年前に、ボストンのチルドレンズ・ミュージアムに勤めてたという方にこの雛人形についてお伺いしたところ、今でもチルドレンズ・ミュージアムに保存されているそうです。

雛人形のお礼として、アメリカからは、アメリカ建国の歴史を表す人形が送られました。アメリカには雛人形のようなものはなかったのですが、日本の雛人形を真似ていくつかの人形を組み合わせ、それをひな壇に飾りつけるというような形にして日本に贈られました。今から見ていただくのは、アメリカから贈られた人形の絵葉書です。これがその袋です。この中に建国の歴史を示すワシントンとかリンカーンとかインディアンのマサソイドなどの人形の絵葉書が入っています。

日本でも、これからこの人形を保存していかなければならない。そして、子どもたちにたくさん見てもらいたいという気持ちから、そのお坊さんたちは博物館を作ることにしました。それでできたのが仏教児童博物館です。これは、初めから博物館を作ろうとか、モノを交換しようとか、そういうところから始まったのではなく、アメリカの人に日本のことを知ってもらいたい、そしてそれをもとに交流を深めたいということだったのです。人形を贈り合い、その人形をもっと多くの人に見て親しんでもらうために博物館を作ろうと、交流することが目的として始まり、それがやがて博物館へと発展していきました。日本でもこのようにして、チルドレンズ・ミュージアムの歴史というのが、今から80年位前に始まったわけです。残念ながらこの博物館は、誰もが見に行ける大きな博物館として存続し、アメリカのような発展を遂げることはできませんでした。それでも、このように古くから日本で、人と人がつながるために、交流のために博物館やモノが利用されてきたということは、とても意義深いことだと思います。

III. 博物館におけるワークショップ(佐藤優香)

続いて、実践の紹介をしたいと思います。

私はいつも、これからの博物館ではどのようなことができるだろうか、ということを考えながら仕事をしています。今日は、2つの例を紹介します。まず、博物館に来た人に展示の持つメッセージを感じてもらうワークショップを紹介したいと思います。このワークショップは、昨年の夏、国立民族学博物館で行いました。昨夏、民博では「弁当からミックス・プレートへ」という展覧会が開かれていて、その展示に関連して企画しました。この展示は、日本からハワイに移民としていった人たちが、どのような歴史をたどって、今日ハワイで暮らしているかということを示すものでした。当時、移民としてハワイに渡った人たちは、さとうきび畑で労働をしていました。そこには日本だけではなく中国とかドイツとかいろんな国から渡ってきた人がいて、ともに苛酷な労働を強いられていたそうです。言葉が通じないので、楽しみはお弁当の時間だけで、お弁当のおかずを交換することで交流を行っていたそうです。そして、交換したお弁当のおかずを一枚のお皿にのせたような「ミックス・プレート」という食事のメニューができました。当時は、お弁当のフタに交換しあったおかずをのせていたのですが、今ではお子様ランチのように、最初から一つの大きなお皿にいろんな国の料理がのったお料理が、ハワイの名物メニューとしてあるそうです。歴史として歩んできたことがそのまま新しく文化をつくりあげたのですね。そこで、このこと、すなわち「弁当からミックス・プレートへ」というタイトルの意味を感じてもらえるようなワークショップを行えないだろうかと考えて企画しました。

そこで、実際に博物館にやってきた人に、自分の食の思い出を小さな作品にして、それをもとにして参加する人たちで交流を深めあう広場を博物館の中に作ろうと考えました。ワークショップには、「ミックス・プレートひろば」という名前をつけました。「ひろば」という言葉をつけたのは、今のような交流の広場を作りたいという気持ちにくわえ、もうひとつ理由がありました。これまで博物館という場所は、大切なものが展示してあって、それをじっくりとありがたく見るテンプルのようなものだったけれども、これからは人々が集まって共に語り合うフォーラムのような場としての博物館というあり方もあるのだという考えがひろがってきています。なので、テンプルからフォーラムへとミュージアムが変わっていく、そのための小さなコーナーを博物館の中に設けられないかな、というふうに考えたわけです。ワークショップの様子を10分程のビデオにまとめていますので見ていただきたいと思います。

-----ビデオ開始-----

このワークショップは、博物館の入口を入ったすぐのスペースで行いました。特に申込みをする必要はなく、博物館に来てやってみたいと思う人は誰でも無料で参加できるというものでした。「あなたの心に一番残っている料理、一皿というのは何ですか」ということをうかがって、参加者にそれを粘土で作ってもらいました。後ろの方に見えているのが、参加されたみなさんの作品を展示しているボードです。民博には、研究者が70人ぐらいいて、世界中の様々な地域で調査をしているので、その人たちには自分が調査をしている地域での食の思い出を作品にしてもらいました。

ビデオの音声より A: 子どもたちの完成というか、大人ではわからないような観察の鋭さとか、そういうのが、よくわかりました。 B: お母さん方が非常に熱心になって、子どもそっちのけでやっているというのが印象的でした。

今話しているのはボランティアの方々で、このワークショップでお手伝いをしてもらいました。このワークショップでは、ボランティアの方が毎日ここにいてくださったのと、甲南女子大学からも博物館実習の学生さんに来ていただいて、お手伝いをしてもらいました。ボランティアの方には、参加者に何かを教えてあげるのではなくて、どんなふうに作ったらいいのか、困っている人を助けるような形で関わってもらいました。

ビデオの音声より C: ただ見て歩くのではなくて、ものを作ったりするから、それを通じて会話がはずんだので、こういう交流コーナーもよかったと思います。 D: 人も食べ物に対する記憶というものがすごいと思って。単においしいとかじゃないんです。その場で作ることによって、いろいろと感じることがあって、その記憶が鮮明に思い浮かぶんです。どういう形かとか、思い出すじゃないですか。そういうのが作りながらすごく楽しかったです。たぶん、子どもたちがこうやって集まってやっているけれども、これは参加者も楽しいだろうし、実際、見てても非常におもしろいですよね。他の人のを見ていると、とてもおもしろいです。 E: 食べ物を通じて自己表現して、それも人から与えられた課題、これを作れというのではなくて、自分の最も思い出深い食べものという、自分と密接にかかわりのあることだから、熱中してしまうというか。何か思い出の中にあるものを実際に形にするという発想がすごくおもしろいと思います。食べ物って人間が忘れないものの一つだなと思います。自分以外の人がいったい何を記憶に留めているのかというのを知るのがすごく楽しい。食べ物の理解からその人の理解が始まっても別におかしくないなと思う。

ビデオの音声より G: お寿司とか卵焼きとか......、これはずっと前に食べた変わった形の巻寿司だったから何か憶えていて......。 H: イメージがひまわりで、明るい感じで、ひまわりのデザインのケーキを作って、お誕生日と結婚記念日が同じ日なのでそれを記念して作ってもらったんです。 I: お母さんの得意料理のカレーを作って、お父さんのおつまみを作って、お母さんの一番大好きなものを作って、お弁当にいつも入れてもらっていたものを作って、これは弟の誕生日ゼリーを作って、これも弟の好きなものを作って、そして、食べてみたいなと思ったものを作りました。

-----ビデオ終了-----

このような形で、みなさんには自分の思い出の料理を作ってもらい、それを後から自分がどのようなものを作ったのかということを、一緒に来た人や同じテーブルになった人と話をしてもらうようにしました。自分のものを、自分のことを表に出す、そしてそれをお互いに味わう活動でした。まず、作ることによって、自分がどんな経験をしてきたのかということ、自分の過去をふりかえり、それを形のあるものに作ってもらいたいと考えました。また、こうやって作品をもとに話をすることで、その場に居合わせた人同士が楽しくコミュニケーションするのに、ワークショップが役立つと考えました。それから、民博にはいろんな国のものが展示してあるので、ワークショップでの活動で隣にいる人を理解することから異文化理解を始めてみてほしいとも思っていました。外国のことを理解する時に、よく異文化理解という言葉を使いますよね。異文化というと他の国と思いがちなのですが、自分の横にいる人でさえ、いろんな自分と異なる経験があって、異なる想いがあるのだから、そういう一番身近な異文化である隣人を理解することからはじめて、さらに自分からもう少し遠くの異文化を理解してもらえるといいな、と思ったのです。今回の場合は、近くの異文化は一緒に参加する人であり、遠くの異文化は展示場で出会うことのできる世界のいろいろな地域の文化であるというふうに考えてもらいたいと思いました。

みなさんとても熱心で、楽しんで参加してくださいました。先程ビデオに出てきたカップルは、とても楽しいと言って、このワークショップの期間中に2回来てくださいました。このように、博物館で豊かな経験をするということは、この展示が持っているメッセージや展示資料と人をつなぐだけでなく、博物館全体とその人がつながりを持つことができる、自分と博物館に新しいつながりを見出すことができる、というふうに私は考えています。それに、自分の作品を展示するので、自分は展示する人になります。それと同時に他の人の作品を見ますので、展示を見る人にもなるということができるわけです。博物館には、なにかを見にきたのですが、見せることにもなったんですね。

このような、博物館の中でのワークショップを企画する時に、私が大切に考えているのは、博物館の展示が持っているメッセージ、展示のコンセプトというものを、直接そのまま言葉で伝えるのではなくて、ひとりひとりにとっての身近な経験に置き換えて実感してもらうということです。自分だったらどんなことをしてきただろう、と自分のことに置き換えてから、そのメッセージに近づいていってもらう手法をとっています。


IV. 博物館を知るワークショップ(佐藤優香)

博物館にたくさんの方が来てくださる中で私が常々感じていること、自分自身が博物館で仕事をするようになったことがきっかけで感じていることがあります。それは、博物館という場所にあるモノや展示全体にはたくさんメッセージがあるのに、博物館に来ている人たちはそれに気づいていないことが意外と多いのではないか、ということです。そして、博物館というのはこんなところなのです、こんなにもいろんなメッセージがあります、ということを博物館に来る前に知ってもらうようなきっかけ作りはできないか、と考えました。そこで、博物館の外で、小学生に対してワークショップを行いました。今から、それをご紹介したいと思います。このワークショップは小学校4,5年生に対して行いました。学習環境デザイン工房というNPOが主催する小学生へのワークショップのひとつとして企画されました。ここでは、先程と同じように、博物館で展示をする人になる、また展示される人になる、それから人の展示を見る人になる、という博物館にある3つの役割を、子どもたちに味わってもらえるようにしました。

-----ビデオ開始-----

これは、先週の土曜日に行ったばかりのワークショップです。子どもたち自身が小さなミュージアムを教室の中につくる、というものです。子どもたちは、博物館といっても何が博物館なのかまだよくわからないと思うので、今まで博物館に行ったことがありますか?そこで何をしましたか? というようなことを最初にたずねました。もちろん博物館に行ったことがないという子もたくさんいましたので、博物館の図録、展示物が載っている本を持っていって、博物館には、こんなふうにいろんなものがあるんだよ、ということを見てもらいました。

子どもたちには、自分たちの身近なもので、博物館を作ってもらうことにしました。身近なものにもこだわりがいっぱいあるということを展示で表現してもらいたいと思いました。そこで、最初に先生の持ち物をみんなに見てもらい、先生のモノにはどのようなこだわりがあるかを知ってもらって、自分の筆箱でそれをしてみようと提案しました。筆箱に入っているひとつひとつのモノについて、どれがよく使うのかあまり使わないのか時々は使うのか、どんな思い入れがあるのか、などということを調べます。筆箱の中の一点一点についてこういう調査カードを子どもに書いてもらいました。ここでは、自分で自分のものを調べるのではなく、ペアもしくは3人のグループになって、お友だちのものを調べるということをしました。子どもには、モノについての思い入れの内容にはどんなことがあるのかということを、イラストのメモと言葉のメモで書くようにお願いしました。こういう作業をすることで、モノひとつひとつにその人なりの思い入れや思い出があるということに気づいてもらいたいと思いました。それを実際の博物館につなげて、展示されているモノひとつひとつにも、さまざまな意味や物語があるということに気付いてもらいたいと考えたからです。

子ども一人が展示できるスペースは、新聞の1ページより少し小さいぐらい、B2サイズの画用紙1枚分です。子どもたちそれぞれが、そこにモノを並べ、小さなカードに調べた説明を書いてモノに添える、ということをしました。今ビデオに、動く文字が出ていますが、それは子どもたちの調査カードの中に書いてある言葉や、子どもたちへ質問した中で答えてくれたことです。この言葉を読んでいますと、子どもたちの筆箱の中に自分なりのこだわりが十分に表れているということ、誰からのプレゼントだとかお母さんに買ってもらったとかそういうことで子どもたちの人間関係がわかるということ、また、モノに子どもなりのジンクスがあること、などいろいろ出てきます。それから、筆箱の中の内緒というものがあるんです。わけはどうしても言えないのだけれど、すごく大事なものなのだから入っている、とか。子どもたちの持っているいろんな要素が、この中に表われています。ここに参加したのは、4年生と5年生ですが、これを見れば4年生、5年生の子どもたちの間で何が流行っているか、ということもわかるわけです。この筆箱の展覧会は、子どもが教室でやったのですけれども、実際に子どもたちの「今」のいろんなことを読み取ることができるということで、本当に博物館に展示したとしても、十分展示として通用するのではないかと思いました。こうしたことを子どもが実際に教室で行ってみることで、自分たち自身が持っているモノにも、物語があるということに気付きます。そして、ここで調査するということ、またそれを展示するということ、自分が展示されるということ、人の展示したものを見るということで、まさに博物館が持っている様々な役割を教室の中で経験することができるのです。これで、次に博物館に行ったときの経験がより豊かになるのではないかと思っています。


V. 博物館からはじまる学び(佐藤優香)

今、二つの事例を紹介させていただきました。大学院での研究を含めてなのですが、私はこのような企画を考えるときに、いつも思うことがあります。人がどのような状況にある時にその人の学びというものが成立しているのだろうか、また、博物館での学びとは一体何だろうかとずっと考えているのです。これはとても大きな問題で、すぐには答えが出せるようなことではないとは思うのですが、私自身は今の問いへの答えをみつけるのに、「関わり」という言葉が手がかりになるのではないか、と思っています。だから博物館にやって来た人が、そこにあるものと自分とがどう関わるか、そこにいる人とどう関わるか、ということを意識しながら企画を考えているのです。また、いろんなかかわりがうまく成立した時が、学びの成立している時であって、またそんな関わりが上手くいくような場を用意することが教育の役割ではないかと考えています。このようにして様々な活動を通して、自分というものを知ったり、自分のすぐそばにいる他者を理解したりすることで、いろんな世界が広がっていくといいな、と思ってもいます。

こういった活動をする場として、博物館というところは、文字の情報もありますし、実際のモノという情報もありますし、様々なポスターやチラシやコンピュータなど、ほんとうにいろんなメディアが合わさって出来ているので、多くの可能性が潜んでいると思っています。このような環境で、自分で自分はこんなふうだとか、隣にいるこの人はこんなふうだとかいうのを、何かをやってみることを通じて知ることで、自己や他者というものに対するいろんな意味とか文化というものを、自分なりに作り上げていくことができるのではないかと思っています。博物館というのは、創造的に何かを作り上げていくという意味で、大きな可能性を持った場所ではないでしょうか。学校の友だちと一緒に来ても家族の人と一緒に来ても、いろんなコミュニケーションが広がる、だけれども、学校でもない、家でもない。そういった「新しい学びの場」という可能性が博物館にはあると考えています。総合的な学習の時間の導入によって、学校の先生からは博物館をどのように利用したらいいですか、というご相談をたくさん受けますが、今のような活動が子どもたちの学びを助けるきっかけになればいいなと、夢を持ちながら仕事をしています。私の話は、以上です。ありがとうございました。


VI. 第二世代のチルドレンズ・ミュージアム(上田信行)

佐藤さんのお話の中に出てきたマイケル・スポックさんがボストンのチルドレンズ・ミュージアムの館長になられたのが40年ぐらい前で、それから実は世界中の子ども博物館の様子はあまり変わってないのです。

私流に、ミュージアムを三世代にわけてみますと、マイケル・スポックさんが構想されたチルドレンズ・ミュージアムは第二世代なんです。第一世代のミュージアムというのはまず展示物(作品)があって、「Don't touch」なんですね。ガラスケースの中にあって遠いところから見るだけ、もちろん触ってはいけないんです。この第一世代のミュージアムが皆さんが描いておられる「博物館」というイメージなのではないかと思います。

実は、スポックさんは、このガラスケースから展示物を出そうという運動をなさったんです。それが、今よくチルドレンズ・ミュージアムについて語られる時に、「ハンズ・オン(hands on)」といわれている展示方法です。つまり、実際に触って体験する、参加体験型ミュージアムなんです。この原型となったのが、ボストンのチルドレンズ・ミュージアムだといえます。最近は「ハンズ・オン」、たんに手で触って体験するだけではなく、それに「わかること」が入っていないといけないということで「マインズ・オン(minds on)」とか言われるようになりました。それは、「ハンズ・オン」といったときに、ただ触ればよいのかなという、非常に表面的な誤解があったわけです。そうではなくて、展示物と積極的にかかわって、自分なりの解釈や意味を構成することが大切なんだということを強調して、「マインズ・オン」という言葉が最近使われるようになりました。「Don't touch」から「Please touch」へとシフトしたのが第二世代のチルドレンズ・ミュージアムなんです。それがこの40年間変わっていないということなのです。まだ、第三世代はあらわれていないのですが、佐藤さんの実践はその萌芽のような気がしています。後でそのことについて少しお話させていただければと思っています。

ここで、マイケル・スポックさんのことをもう少しお話したいと思います。スポックさんは皆さんよくご存知のように、ベンジャミン・スポックさんという「スポック博士の育児書」という本を書いた方の息子さんなのですが、私が1973年から一年間ボストンにいた時に初めて行ったボストンのチルドレン・ミュージアムの館長でした。私は、当時、セサミ・ストリートというテレビ番組の研究をしておりました。その当時に取り組んでいた研究は、テレビというエンタテイメントの装置が、ほんとうに教育メディアになりうるのかということでした。初めてセサミを日本で見たとき、教育の何かがこれで確実に変わるという強烈な直感があって、いてもたってもいられなくなって番組を作っている現場で勉強したいと思ってボストンに行きました。この時に、友人から、チルドレンズ・ミュージアムというところがあるので、行って見たらと言われて行ったのが、このボストンのチルドレンズ・ミュージアムでした。

これがまたショックだったのです。すごく楽しく、入ってみると何かオーラを感じるんですよ。子どもたちがワイワイと騒ぎながら走り回っているのです。小さな子どもが、兄弟やお母さんと一緒になって、一生懸命、無我夢中になって展示物と遊んでいるのです。大きなシャボン玉を作ったり、工作をしたりとか。まず入ってびっくりしたのが、ボストンの二階建ての古い家を縦に断面を切って展示してあるのです。地下室もあります。地下にはどんな配管がされているのかがわかったり、日常目に見えないところが、全部見えるようになっているのです。それから、マンホールなどもあって、ボストンの町の自分たちが歩いている道の下がどうなっているのだろうかということも、体験できるんですね。このような今まで想像もしていなかったダイナミックな体験型の展示が、所狭しとあるんです。それは今まで私が持っていた、勉強とか学習とか言うイメージと、全然違ったわけです。子どもたちが自分で展示物に働きかけて、どうしてこうなっているのだろうかと、操作しながら考えているのです。友達やお母さんと話しながら、ある種のイメージや解釈を自ら作り出していく、学びの発見や交流の場としてのミュージアムがそこにあったのです。その時、私は、セサミ・ストリートやチルドレン・ミュージアムのような「インフォーマルな学びの場」が、これからの教育を変えていくエンジンになるような予感がしたのです。もう30年も前のことですが、今でも、その時のことを強烈におぼえています。それが今、甲南女子大学で実践させていただいている教育・研究のルーツになっているんです。


VII. 第三世代のチルドレンズ・ミュージアムのはじまり(上田信行)

そのときの驚きを一言で言うと、「インフォーマルな学びの場の発見」だといえます。学校はフォーマルな学びの場であって、カリキュラムがあって先生がいて、ちゃんと体系化されていますけれども、ミュージアムに行きますと、非常にオープンで、そして、自分で自分の学びをつくっていける、開拓していけるという雰囲気があるんです。そこには、探求するとか観察するとか、人と交流するとか、あるいは、仮説を立ててためしてみるとか、21世紀のこれからの時代に必要な学習スキルを磨く機会や道具や場が準備されているのです。このような学びの場が、60年代から始まっていたのです。今年から「総合的な学習の時間」が、日本の小・中学校で始まって、来年からは高等学校で始まるのですが、昔、チルドレンズ・ミュージアムなどで、学びというのはこうなるのだろう、こういう学びも必要なんだと言っていたのが、やっと日本の教育の中に取り入れられてきたのだと思います。

こういう文脈を理解していただいて、先程のチルドレンズ・ミュージアムの進化の話に戻っていきたいのですが、まず、「Don't touch」のガラスケースに入ったミュージアムから「Please Touch」の触っていいのですよ、どんどん触ってみんなで体験しようという第二世代が生まれ、これからは、第三世代のチルドレン・ミュージアムが始まろうとしているということを、お話していきたいと思っています。佐藤さんのプレゼンテーションを見て思ったのですが、第三世代のチルドレンズ・ミュージアムは、子どもたちが自分で自分のミュージアムを構想し、実現する場として存在するのではないかと。佐藤さんが企画した「筆箱展覧会」を見て、すごい発想だと思って驚いたのですが、まさに、子どもたちが自分で自分たちのミュージアムを創る時代が来たのではないだろうかと感じました。これが第三世代のミュージアムが展開していく方向性だと思っています。佐藤さんは、うまく考えたと思うのですが、子どもにとって「筆箱」というのは、毎日使うとても大事なもので、そこにいろんな思いが表現されていて、その「筆箱」を見るだけで、たぶんその人の性格をよく知っている人が見ると、やっぱりと思うものが全部「筆箱」の中につまっていると思います。今日、ここに参加していただいている皆さんのカバンを開けたら、その人らしいものがたくさん入っていると思います。まさに皆さんのカバンの中がミュージアムかもしれないし、皆さんのご自分のお部屋がミュージアムなんだと思います。自分の表現も含めて様々な人の想いが展示できるミュージアム、こんな時代にふさわしいパブリックなチルドレンズ・ミュージアムの役割を考えていくのが、これからのミュージアム関係者の仕事なのではないかと感じています。

佐藤さんが、現在お仕事をなさっている国立民族学博物館はチルドレンズ・ミュージアムではありませんが、佐藤さんのお仕事は、まさにチルドレンズ・ミュージアム的な活動をやっておられるわけです。そこで子どもたちが「筆箱展覧会」のワークショップなどを通して、「ミュージアムとは何だろう」、「自分にとってのミュージアム」、「一人一人にとってのミュージアムがあるはずだ」、と子どもたちが考え始めた時に、どんな展開になってくるのだろうかと考えると、ワクワクしてきます。「総合的な学習の時間」でも、自分のミュージアムを創っていこうとか、今日までの自分の経験を展示してみたい、というようになってくるとものすごくおもしろくなってきます。

ミュージアムでは、キュレーターという企画を考え実行していく人がいますが、もし、一人ひとりの子どもが、キュレーター的な発想を持てるようになったらすばらしい。これは21世紀の学びの一つのカタチだと思いますが、そういった意味も含めて、チルドレンズ・ミュージアムのこれからの可能性を考えていきたいですね。単なる箱とか装置ではなく、新しい学びを発明していく、あるいは創造していくインキュベーターとして機能してほしいと思います。私が「子どもたちがミュージアムを創っていく」のが第三世代といったのは、大人が用意した場に行って学ぶだけではなく、仲間や大人と協同して展示を企画、実施、評価、改善していけるような活動が可能な場としてのミュージアムの役割を強調していったことなんです。だから、そこには希望があり、夢があると思うのです。学校教育では教えなくてはいけないカリキュラムが決まっていますので、なかなか、その制約をこえて冒険していくことは難しい。だからこそ、インフォーマルな学びの場である、チルドレンズ・ミュージアムみたいなところで、ダイナミックな新しい学びの実験がなされていくとすばらしいと思っています。これが、佐藤さんのプレゼンテーションを聞かせていただいて感じたところです。


VIII. ハンズ・オン系のミュージアム・日本科学未来館(上田信行)

さて、私は3日前に日本科学未来館というところに行って参りました。世界でもトップクラスの先端のサイエンス・ミュージアムです。皆さんもよくご存知の宇宙飛行士の毛利衛さんが館長をなさっているところです。ビデオを撮ってきましたので、それを見ながらお話していきたいと思います。

-----ビデオ開始-----

この空間にジオ・コスモスという直径6.5メートルの大きな地球が展示されています。毛利さんが、宇宙から地球を見たときに、地球をすごくいとおしいと思われ、なんとしてでもこの美しい地球を守っていきたいと強く思われたそうです。宇宙スケールでもって、人類の未来を考えようと意図してつくられたのが、この日本科学未来館です。そのシンボル展示が、このジオ・コスモスなんだと思います。

ここで今行われている展示を紹介したいと思います。世界の音を聞こうというサウンド・バムというプロジェクトの展示です。これは、科学未来館のオリジナルなプロジェクトではないのですが、世界中の音を集めてウェブで聞けるようにサイト設計している研究グループが、インターネット上だけでなく、多くの人に音の体験を科学未来館でしてもらおうと考えてデザインされた展示です。この展示を実際のミュージアムでやってみようということで、音という触ることが出来ないものを、一つひとつの地域の音ごとに箱をつくって、その箱に耳をつけてきけるような装置を作ったのです。タンジブルなメディアというか、触れることのできるメディアとして展示しているわけです。こういう展示があると、実際にここに来た人が、この周りに集まっていろいろな音を聞きながら、他の来館者と交流することができるのです。そして、大事なところは、未来館での体験で終わりではなく、家に帰っても、インターネットにアクセスすることによって、継続していろいろとためせるわけです。このようにミュージアムは新しい「こと」や「もの」にふれる刺激空間となっています。

(ビデオに椅子が写っている)この椅子は、1階から6階までの吹き抜けの天井にあるジオ・コスモスを、寝転んで見れるようになっている椅子です。この未来館には、いろんな角度から展示物を見たり触れたりすることができる道具が、うまく準備されているのです。空間とか椅子であるとか、展示を楽しむためのメディア(道具)がすごく良くできているんです。

(ジオ・コスモスのビデオ)このジオ・コスモスというのは、コンピュータで遠隔操作できるマルチメディア展示で、今見ていただいているのは、地球温暖化のデータが可視化されたものです。1950年というのは、私が生まれた年なのですが、1950年は、地球は、こういう温度(約100万個の発光ダイオードを使って表示されている)で、そこからだんだんと現代へ未来へと温度が上がっていきます。だんだん、熱くなってきます。今、この辺ですね。こういうのを見ると地球の未来が不安になってきます。これは、科学データのシミュレーションですけれども、本当にこうなるかどうかはわかりませんが、今までのデータに基づいて、2100年までシミュレーションすると、こうなるというのが目で見て体験できるのです。

未来館では、地球環境とか、技術革新とか、未来はどうなるのかということをシミュレーションを通して体感できる装置がいっぱい用意されています。今、横で説明をしてくださっている方は、インタープリタと言いまして、来館者に説明をしてくださったり、質問を受けてくださったりしながら、我々の展示に対する理解を深めることを助けてくださる人たちです。

もう一ヶ所、お見せしたい映像があります。最近、『地球がもし100センチの球だったら』という本が出版されました。皆さんはたぶんご存知だと思うのですが、『世界がもし100人の村だったら』という本が最近すごく売れていますが、それによく似たアプローチで書かれた本です。もし地球が100センチの球だったら、空気層は1ミリなのです。私たちは、1ミリのところに住んでいるのです。例えば、オゾン層があるのは成層圏の2ミリから4ミリぐらいなんですよ。そこが、紫外線を吸収しているのですが、フロンガスなどのためにそれが破壊されている。これらのことをイメージしながら体感できるのが、このタンジブルアース(触れる地球)という展示です。私がとても気に入っているものなのですが、ちょうど直径1メートル(100cm)の球で表面がスクリーンになっています。地球を1000万分の1に縮尺したマルチメディア地球儀です。私が、このように触りながら、動かしながらいろんなことを可視化されたデータとして見ることができます。気象衛星がとらえている雲の様子であるとか、地球について調べたいことが、調べられるようになっています。


IX. 身体で実感する学び(上田信行)

今日は、このようなインタラクティヴでタンジブルなマルチメディアが新しい展示として有効に機能しているということを、皆さんに知っていただきたいと思ってお見せしました。マルチメディアと言うと、何かコンピュータ・スクリーン上の情報をマウスで操作すると言うような感じがしますけれども、実際にさわって触れて、体感できるマルチメディアもあるのです。地球を100cmという縮尺で考えると、月は30メートル向こうにあるビーチボールぐらいの大きさなんです。太陽というのが12キロ先の東京ドームの大きさで、そこには100ワットの電球が140億個ついていると、さきほどの本では説明しています。このようにしてものごとを理解していくアプローチがハンズ・オン系のミュージアムでは非常に大事なことなのです。本で読むだけではなくて、ミュージアムに行って体感するというのは、こういう意味なのです。単に操作するだけではなくて、身体で実感する学びが大切なのです。この体験が芽になって次へのステップ、理解へのステップになるというのがミュージアム体験なのです。サイエンティフィック・ヴィジュアライゼーションという可視化を通して科学を理解していくアプローチがありますが、今日はその一例として、科学未来館の展示を見ていただきました。日本にもこういうミュージアムが増えてきたのはとても嬉しいことです。

みなさまの中でチルドレンズ・ミュージアムとか科学未来館とか行かれた方、どれくらいいらっしゃいますか? 実際にこういう場所に行かれた方は少ないですね。是非、行ってみてください。大阪にキッズ・プラザとかビッグバンという、大型の児童館がありますし、東京には科学未来館のようなサイエンス・ミュージアムがあります。こういうところのプロジェクトを通して新しい学びの芽がでてくらばすばらしいと思いますし、佐藤さんの仕事も含めて、チルドレンズ・ミュージアムからこれからの学びとか教育のエキサイティングなヴィジョンが生まれてくればいいなと思っています。

「見る」ことからはじまって、「さわって」体験する、今度は「つくる」というチルドレンズ・ミュージアムが希望のメディアとして、子どもたちの未来のために発展していくことを願っています。

----------------------------------------------------------------------------- 「第27回公開シンポジウム チルドレンズ・ミュージアム~博物館からはじまる創造的な遊び」甲南女子大学国際子ども学研究センター『子ども学』第5号(2003年3月)に掲載された内容を編集・転載いたしました。

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