第二子を妊娠したことが分かった2週間後、妊娠7週目で再度、婦人科に行きました。この時期、超音波診断をすると、画像上で赤ちゃんの心拍が小さな星のまたたきのように見えることがあります。心拍が確認されると、初期の流産の確率もぐっと下がります。
診察台に上り、カーテンの向こうでは、医師が超音波診断を始めました。問題が無い場合は、医師はカーテンを開け、超音波の画像をすぐに見せてくれるはずです。
しかし、なかなかカーテンは開きません。赤ちゃんはダメだったのかもしれない。心臓の鼓動が荒くなって行きました。
しばらくして、医師がカーテンを空け、超音波の画像を見せてくれました。画面には、しっかりと胎のう(赤ちゃんの入った袋)がソラマメのように見え、その中に小さな丸い胎芽(赤ちゃん)が見えました。心拍もちゃんと映っていました。安心した私に、医師が超音波のプローブを動かし、画像の角度を変えていきました。その時、もう一つの小さな白い丸が現れました。
「もう一つ、見えるよね。これ、双子ということです。詳しい話は診察室で。」稲妻に打たれたような衝撃!この時が、私が双子の母親になった瞬間でした。
双生児について
双子には、一卵性と二卵性の2種類があります。一卵性は、1個の受精卵が二つに分かれた場合で、遺伝子はまったく同じ、性別も同じになります。二卵性は、2個の卵子と精子がそれぞれ受精した場合で、きょうだいが同時に出来たということになります。
一卵性多胎は偶然発生するもので、その確率は出産1000に対して4、発生率に人種などの差はありません。二卵性多胎の発生率は、人種によって差があり、アジア人種は黒人、白人に比べて低いとされてきましたが、現在は、出産の高年齢化や不妊治療等の影響などもあり、日本人は二卵性多胎の出産が増えているそうです。
一卵性か二卵性かどうかの診断は、膜性診断といって、妊娠10週くらいまでの間に超音波検査で行います。一つの胎のうの中に赤ちゃんが2人ともいれば一卵性、二人の赤ちゃんがそれぞれ別々の胎のうにいれば二卵性です。
私の場合は、一卵性双生児でした。もう少し詳しく言うと、「一絨毛膜性ニ羊膜」の多胎で、胎のうと胎盤は一つで二人が共有、羊膜という赤ちゃんを包む膜はそれぞれ持っていました。
一卵性双生児は、二卵性に比べてリスクが高いそうです。胎盤を共有し、そこから2本の臍帯が出ているので、胎盤から血液が平等に届かず体重差が生じたり、臍帯を通して双子同士に血液の行き来が生じ、一方が多血、一方が貧血になってしまう「双胎間輸血症候群」という症状が出る場合もあります。医師からは、20週過ぎたらいつでも入院の覚悟をしておくように言われました。また、すぐにNICUのある総合病院への転院を薦められました。
双子を持つことなど想像したことすらなかった私にとって、この妊娠はこれまでの人生で一番の驚きでした。また、ハイリスク妊娠であること、約3ヵ月後には入院の可能性もあると聞き、長男のことや仕事のことが頭をよぎり、不安の大きい妊娠生活のスタートとなりました。
(参考文献)
「双子・三つ子ママの妊娠出産育児安心ブック」竹内正人著・主婦の友社(2007)
「双子&多胎の本」ベネッセコーポレーション(2000)
「ふたご・みつご とらの巻」長野県看護大学母性看護学講座(2006)