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名誉所長ブログ

Koby's Note -Honorary Director's Blog

ゲームと遊び

2012年11月 9日掲載

中山隼雄科学技術文化財団が研究費を出して応援している研究者の発表会が、10月10日の午後に東京で開かれた。この財団には、現在は関わっていないのだが、中山隼雄さんが設立して以来最近まで関係していたためにお招きいただいた。テレビゲームなどのIT技術は、教育にうまく利用すれば有用であることは明らかなので、毎回出席して勉強させていただいている。

第Ⅰ部では「オンラインゲームとゲームの教育利用」というテーマで3題の口演発表、「ゲームと遊びの本質・影響」というテーマで14題のポスター発表がされた。第Ⅱ部でも「オンラインゲームとゲームの教育利用」というテーマで2題の口演発表、また「新しいゲームと技術」というテーマで14題のポスター発表が行われた。そして最後に「デジタルゲームを用いた遊びと学習の違い」という調査研究が口演で発表された。

その全てをここに紹介することはできないが、個人的に関心をもったテーマを紹介しよう。
宮崎大学の宮野秀市さんは、仮想環境に高い臨場感を感じる者は、低い臨場感を感じる者に比べて、「他人との信頼」が高く、「行動が他者の影響を受ける傾向」とか「不安障害傾向」が低いことを、平均年齢20.8歳の女子学生41名を対象に性格検査質問紙を使って示した。また、岩手大学の藤井義久さんは、小学4年から6年の小学生354人を対象に質問紙調査を実施し、テレビやパソコンなどの電子メディアを利用した遊びをよく行っている子どもほど、またひとり遊び、点数を競わない遊び、体を動かさない遊びを好む子どもほど、キレやすいことを示した。

名古屋工業大学の田中悟志さんは、高度な視覚・運動制御が必要なアクションビデオゲームの経験は、右頭頂葉領域灰白質の体積を増加させる可能性を示し、この部分が視空間認知能力と関係するからであると説明した。

鹿児島大学の福留清博さんは、高齢者福祉に対するビデオゲームの利用について興味深い発表をした。ビデオゲームを利用したバーチャルリアリティ訓練をすると、片足立ち時間、10m最大歩行速度、左足中心移動速度などが向上し、高齢者の転倒を予防できる可能性があることを示した。

工学的な研究発表も多く、「視覚楽器」と称する時空間イメージを創り出す装置、二次元・三次元の動画の滑らかで高速な動きを作り出す技術、コガネムシや蝶、またサラマンダーなどの動物の動作を自然に作り出す装置の開発などが発表された。また、知的障害や読み書き障害のある子ども、入院治療を予定している子どもたちを遊ばせて、障害の克服や病院で受ける治療を学習させる研究まで発表された。

わが国では、メディアなどの技術を利用する弊害が強調されているが、コンテンツを含めうまく利用すればメリットは大きいことを、これらの研究は我々に教えている。

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