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名誉所長ブログ

Koby's Note -Honorary Director's Blog

台湾で初めての『東アジア子ども学交流プログラム』のシンポジウムが開かれた

この9月22日(土)、23日(日)、台湾で初めての「東アジア子ども学交流プログラム」のシンポジウムが台北で開かれた。テーマは『<遊び>と<学び>の子ども学』であった。ベネッセの台北支社の方々が熱心に応援して下さったので、盛会に終わることができた。

会場は、国立台北教育大学の300人程のホールであったが、テーマが良かったこともあって、台湾の幼稚園、保育園に関係する先生方や、学生さん達で一杯になった。スピーカーは、日本から3人(内2人は小児科医)、中国は上海から1人、台湾から4人(内1人は小児科医)であった。したがって、「子ども学」の立場から学際的に話し合うことができた。2日目の午後は、一般公開にして保護者も参加できるようにした。

22日午前10時から開会式が始まり、国立台北教育大学の学長陳先生の歓迎の御挨拶に続いて、私が「子ども問題の予防と解決」には「子ども学」の考え方が必要であることを申し上げた。そして、いろいろな子どもに関係する学問の専門家同士が話し合って、できれば子ども問題を予防し、起こった場合は解決して、21世紀こそを「子どもの世紀」にしようと呼びかけた。台北で開かれるこのシンポジウムは、学問ばかりでなく、文化のバリアーを越えて話し合うことができる重要な会でもあることを、CRN代表として強調した。

シンポジウムが始まり、まず私が「子ども問題の予防と解決のために子ども学を」と題して話をした。そのまとめとして、「遊び」も「学び」も、子どもたちが遊ぶ喜び、学ぶ喜び、そして生きる喜び一杯の感動を体験できるようにするチャイルドケアリング・デザインが重要であることを申し上げた。

続いて、上海の華東師範大学教授の朱家雄先生が「子どもが遊ぶのか、それとも子どもは遊ばされているのか」と題して発表し、子どもの「遊び」の本質と価値についての先生のお考えと、子どもたちを自由に遊ばせることの重要性について講演された。

午後は、お茶の水女子大学教授の榊原洋一先生が「子どもの発達とおもちゃ」と題して、「おもちゃ」に関係する赤ちゃんの手足の発達・行動パターンを整理して、発達における「おもちゃ」の重要性を論じた。

続いて、中国医薬大学副教授の郭煌宗先生(小児科医)が「就学前の親子遊びと子どもの発達」と題して小さい子どもの遊びについては、親子の相互作用が重要であることについて話された。

1日目の講演の最後には、国立台北教育大学教授の翁麗芳先生が「台湾と日本の保育者の描く保育観」と題して日本と台湾の保育園・幼稚園関係者の考え方の相違を発表された。大変参考になった講演である。

2日目の午前には日本のおもちゃ美術館館長の多田千尋先生が、世界のおもちゃを分類してその役割を整理し、「幼児教育とおもちゃ」と題して、ワークショップ、実演を交えて興味深く参考になるお話をされた。

続いて、国立台北教育大学教授張世宗先生が「玩具から『学具』へ、教育から『楽育』へ―おもちゃの『遊芸』研究と応用」を題に、おもちゃによる学習、教育の意義を研究し、子どものみならず、生涯学習の中に取り入れるべく応用研究のお話もあった。新しい考え方としての「学具」、「楽具」、「遊芸」という発想は、大変勉強になった。

最後に国立台北教育大学教授の范丙林先生が「マルチメディアによる授業デザイン」と題して、教育のデジタル化に多様なインタラクションを加えた新しい教育方法を発表された。工学を勉強された教育学者の素晴らしい発表であった。

それぞれの講演に対する質疑応答ばかりでなく、午後の一般公開でも、2日間の講演について質疑応答を中心に発表者と参加者との間で活発な話し合いが行われたので、シンポジウム全体が活性化された。

私の台北訪問は、1971年が初めてである。その後東大小児科在任中に留学生を10人近くお世話したこともあって、台湾小児科学会に招かれるなど、いろいろな機会に台湾を訪問し、今回で少なくとも5回目になろう。台北は、緑濃い美しい街で、いつ来ても楽しい。その上、台湾料理も中華料理もおいしい。今回の旅で、体重は2kg近くも増えてしまった。

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