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Koby's Note -Honorary Director's Blog

医学を勉強したいと考えている若い人達に-人間科学

医学と関係ない日本画家の家庭に育った私が、何故医学を勉強するようになったか、最近いろいろと考えるようになった。その答えは、結局のところ、戦後の混乱の中での人との出会いと運ということになる。しかし、医師になることは素晴しいことであり、また医学を勉強することはもっと素晴らしいことであると考え、その思いを若い人たちに伝えたいと本文を書くことにした。

医学校で勉強した人のほとんどは、病院や診療所で、患者さんを診て、その痛みや苦しみを取り除き、病を癒し生命を救うという、家庭ばかりでなく社会にとっても大変重要な仕事をしている。したがって、当然のことながら、患者さんの痛みや苦しみに共感できる優しい心を持った人にこそ、お医者さんになって頂きたいと思う。

しかし、医学を勉強した人が、医療以外のいろいろな仕事で活躍していることは、皆さん御存知の通り。厚労省ばかりでなく、保健所や役所に勤めているお役人さん達、医学校ばかりでなく、一般的な学校や大学で教えている教育職の人達、更には小説家、音楽家、画家というような芸術家までいろいろな人がいるのである。

それは何故かと考えてみた。その答えは、病気のことを教える前に、医学では「人間とは何か」ということを教えているからであると思う。人間は、生物的存在として生まれ、社会的存在として育ち育てられ、そして生きいくといえる。医学では、解剖学・生理学・生化学のような基礎医学の立場で人間の生物的側面を教え、人間生態学・公衆衛生学のような、広く言えば社会医学の立場で人間の社会的側面を教えているのである。勿論、それで充分とは言えない。しかし、考えてみればこれらの学問は、「人間科学」"Human Science"としてまとめられる。その場合、「社会文化」も「情報」として人間の生態因子に位置づける立場が重要になろう。

この様な「人間科学」こそ、人に関係する仕事を職業にする人が皆学ぶべき学問である。逆に、医学を学んだ人は、人間科学を学んでいるからこそ、人間に関係する医師以外の職業にも就いていると思うのである。そして、同じように子どもに関わる仕事を職業にする人も、当然のことながら、「子ども人間科学」を学ばなければならないと思う。それを、私は「子ども学」"Child Science"とよんでいるのである。

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