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軽井沢で日本思春期学会が開かれた

第31回「日本思春期学会」学術集会・総会が「思春期の危機に迫る」をメインテーマにして、今月初めの9月1日、2日に軽井沢で開かれた。学会長は産婦人科の女医・家坂清子先生で、「ぐんま思春期研究会」の会長さんでもいらっしゃる。この学会が、女性の医師を会長として開催されるのは初めてであろう。参加者は1,000人を超し、大成功であったと言われている。女性の参加者が多く、「女性の実力」が感じられる学会でもあった。

この学会は、思春期の子どもたちの問題を産婦人科学、泌尿器科学、内科学、女性内科学、心身医学などの医学を出発点として、医学関係者ばかりでなく社会学、教育学、心理学、保健学などの専門家も加わって勉強する学際的な学会である。したがって、参加者は医師ばかりでなく、看護師、保健師、助産師、小学校・中学校・高等学校の教員、心理学関係の職員、そして行政関係の方々も参加している。

日本思春期学会は、当時群馬大学産婦人科教授でいらっしゃった故松本清一先生が1963年(昭和38年)に、思春期医学会として多くの産婦人科医、泌尿器科医、小児科医、公衆衛生学者らと共に第一回の研究会を開いたのが始まりで、1982年(昭和57年)には思春期学会に改称して、学会活動を続けて来た。私が学会に招かれて入ったのは、学会名が変わってからであった。

今回の学会ではメインテーマの「思春期の危機に迫る」を反映し、「思春期の友人関係」、「不登校」、「ひきこもり」、「自傷行為」、「性同一性障害」、「性虐待」、「性感染症」、「性教育」などの諸問題について、教育講演などとしてわが国のリーダーによる発表、そしてシンポジウム・一般演題として若手研究者による発表が多数行われた。また会長講演として家坂先生は、「思春期の危機を見つめて」と題して、産婦人科外来から広くみた思春期問題のレビューをされた。

日本思春期学会の理事長は公衆衛生学者の林謙治先生であるが、「家族計画」、「リプロダクティブ・ヘルス」、「思春期妊娠対策」などの問題について、社会医学の立場から国際的な流れもふくめて理事長講演をされ、大変勉強になった。「リプロダクティブ・ヘルス」 "Reproductive Health"という概念が、カイロで1994年に開かれた国際人口開発会議で「女性の生涯にわたる性と生殖の健康」という定義で提唱されたという話は、興味深かった。

価値観の多様化する現在の豊かな社会の世相を反映して、思春期の子どもたちが当面する諸問題も、いろいろな要因が複雑にからみ合って、身体的な問題ばかりでなく、多様な心の問題もおこしている。御関心をおもちの方々は、ぜひ入会されて勉強して頂きたい。

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