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名誉所長ブログ

Koby's Note -Honorary Director's Blog

CANVASがデジタル絵本のコンテストを始めた

2012年4月11日掲載
CANVASとは、石戸奈々子さんが2002年11月に始められた、「遊びと学びのヒミツ基地」と称する、子ども達の想像力や表現力を育てるNPO活動である。具体的には、「キッズクリエイティブ研究所」と称して、幼児・学童(小学生)が参加するさまざまなワークショップなどを、東京大学福武ラーニングスタジオ、慶應義塾大学日吉キャンパス生協館、さらに二子玉川ライズ・オフィス(8F)で、それぞれ月1回程開催している。それらのワークショップは、造形・デザイン・映像・音楽・デジタル・言葉・体・環境・サイエンス・食などに関係するアーティストや専門家によって企画開発されている。

また、毎年1回、子ども向けワークショップの博覧会と言える、「ワークショップコレクション」が慶應大学日吉キャンパスで開かれ、いろいろな形式のワークショップを集めて公開することも行っている。この2月25日、26日に、その第8回目が開かれ、7万5,000人程の子どもが集まったという。当日行ってみて、子ども達の長い行列に驚いた。

CRNでも、設立後間もなくの何年間かにわたって、「あそび」と「学び」を融合するにはどうしたら良いかを考える「プレイショップ」と称するワークショップを開いたことがあり、また「エデュテイメント」という考えも提唱したことがある。CANVASの目指すところは、これと相通ずるものがあるように思う。

そもそも「あそび」と「学び」は融合しているものである。それは、赤ちゃんや小さな子どもを見れば明らかである。それが社会の先進化と共に、学校という教育専門の施設が現われ、年齢別に分かれて、「あそび」と「学び」は乖離したのである。伝統文化の社会では、その乖離は弱く、子ども達は大きくなるまで生きるすべ(術)を遊びながら学んでいるのである。

子どもにとって、あそぶ喜び、学ぶ喜びを体験し、生きる喜び一杯になることが体の成長、特に心の発達にとって重要であることは明らかである。したがって、現在の社会において、「あそび」と「学び」を融合させるには、「子ども生命感動学」"Child Bio-emotinemics"という、新しい学問の体系づけが必要とさえ考えている事は、前にも折々述べた。

そのCANVASが、昨年子ども達がワクワクする新しいデジタル表現手法を開発して、「子どもとデジタル」を総合的にプロデュースする「(株)デジタルえほん」を設立した。そして、昨年「デジタルえほんアワード」という表彰事業を始めたのである。「デジタルえほん」とは、タブレット、電子書籍リーダー、電子黒板・サイネージ、スマートフォン等、テレビやパソコン以外の新しい端末を含む子ども向けデジタル表現を総称したものである。その審査委員として招かれ、この「ワークショップ・コレクション」の当日である2月25日(土)に開かれた授賞式に参加した。

作品部門では、審査員特別賞に「とんでけ おふとん」(ラヂオえほんプロジェクト作)、準グランプリに「こえのわ」(チームこえのわ作)、そしてグランプリに「さわって おして ゆびあそぶっく ちょんちょんちょん」(tocco作)が選ばれた。企画部門では審査員特別賞に「ホニャかわ!!」(チームわれら作)、準グランプリに「ねこみっけ」(滝原宏野作)、そしてグランプリに「アカリ・トモス・ユビサキ」(西野つぐみ作)が選ばれた。

個人的には、グランプリになった「さわって おして ゆびあそぶっく ちょんちょんちょん」は特に良い作品だと思った。「たのしい」、「みたことがない」、「世界がひろがる」の選考基準の他に、個人的に関心ある"チャイルドケアリング・デザイン"(子どものことを気にかけてデザインする)、「理性の情報」と「感性の情報」の表現の在り方も勘案して選ばせて頂いた。

本作品は、小さい幼児でも簡単にできる三拍子の指押しの操作で、「卵の殻が破れて雛が生まれる」、「鍵盤をタップするとピアノの音と音符が出る」などの簡単な物語を、デジタル絵本ならではの機能を働かせ、明るく感性の情報豊かに映像化している。人差し指の感覚と共に、視覚・聴覚を介して脳を働かせ、この時期活発な「言語」、「象徴」、「社会的参照」などの機能の発達を加速させるチャイルドケアリング・デザインの良い作品と考えたのである。

選ばれた作品は勿論のこと、選にもれた応募作品の中にも、沢山の良いものがあった。デジタル技術を駆使することによって、盛り込もうとする情報を映像として色々なかたちにデザインすることができ、「感性の情報」も、いろいろな音声・色彩を中心にデザインとして与えることが可能であり、デジタル絵本の未来は大きいことを実感した。成り行きによっては、従来の絵本は消えてしまうのではないかとさえ思えた。更にコンテンツの情報を充分に工夫すれば、教育効果も高められることは明らかで、関係者のやらなければならない事は多いと実感した。そして、それはデジタル教科書に続くものでもあることも重要である。

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