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イベント

Event

第8回東アジア子ども学交流プログラム@台北

主催

チャイルド・リサーチ・ネット、国立台北教育大学、倍楽生台北支社

レポート

2012年9月22日(土)、23日(日)、国立台北教育大学の国際会議場で、第8回東アジア子ども学交流プログラムが行われました。東アジア子ども学交流プログラムは発足して今年で5年目、台北では初めての実施となります。

大会のテーマは「遊びと学びの子ども学」です。2日間にわたって、医学、発達心理学、教育学、工学、建築学などの視点から、子どもの発達と遊び、遊びの中のおもちゃの役割などについて、多角的に検討しました。2日目には、親向けの公開シンポジウムも実施され、日々の育児の中で直面する問題についても会場から質問が挙がり、子育て中の保護者にも大変好評でした。

1日目

初日は国立台北教育大学学長の張新仁先生による歓迎の辞、日本からは東アジア子ども学交流プログラム代表で東京大学名誉教授であるCRN小林登所長の 、中国からは上海の華東師範大学終身教授の朱家雄先生によるごあいさつから始まりました。

初日の講演は小林登所長の講演で始まりました。「子ども問題を予防し解決するには-子ども学のすすめ」という題で、子どもの問題を解決するには、学際的で包括的な科学、すなわち「子ども学」(Child Science)が必要であると述べました。子どもに「遊びの喜びいっぱい」を体験させることが子どもの心身発達に大切であるという理念は、台北のメディアからも大きな注目を集めました。

続いて、中国・上海の華東師範大学終身教授である朱家雄先生が「子どもが遊ぶのか、それとも子どもは遊ばせられているのか?」と題して、幼児教育の現場で「遊び」をいかに教育の中に取り入れるのかというアジア共通の課題を、独特な視点で深く考察しました。

その後、「医学からみる子どもの遊びと発達」というセッションが行われました。日本からはお茶の水女子大学の教授である榊原洋一CRN副所長 が「子どもの発達とおもちゃ」、台北からは中国医薬大学付属医院主任医師の郭煌宗先生が「幼児における親子遊びと子どもの発達」と題して、実験の結果や臨床での実践などを交えたお話をされ、活発な議論も行われました。

初日の最後を締めくくったのが、国立台北教育大学の翁麗芳先生でした。日本と台湾の幼稚園教育の違いは、育児観の違いによるものではないかという比較研究についてDVDを見せながらお話され、いきいきとした様子が伝わる発表でした。発表の題名は「幼稚園における教え、学びと遊び―台湾と日本の育児観の比較研究」でした。

2日目

2日目の講演は今大会二つ目のセッションである「おもちゃと発達」の部からはじまりました。

東京の芸術教育研究所所長の多田千尋先生が「幼児教育とおもちゃ―東京おもちゃ美術館からの視点」と題し、ワークショップ形式でおもちゃの実演をしながら発表し、会場を多いに沸かせました。続いて国立台北教育大学の張世宗先生が「玩具から学具へ、教育から楽育へ―子どもの遊びの研究と応用」をテーマに、少子高齢化の社会では、「リハビリより日々の保健」という視点から、「遊び」、「おもちゃ」が大きな社会的な意義を持つと力説されました。

続いて国立台北教育大学の范丙林先生より「マルチメディアでの授業デザイン」と題した講演がありました。デジタル時代の技術をどのように幼児教育の中に取り入れ、応用していくかについて大きなヒントを与えてくれる講演内容でした。

同日午後、保護者向けの公開シンポジウムも行われました。両日ご登壇いただいた先生方が一堂に登壇し、それぞれが講演の内容のまとめ、話題提供をし、会場から質問を受けました。

子育て中の保護者の方々が100名近く来てくださいました。「子どものしつけの問題」、「子どものために、いつ、どのようなおもちゃを選ぶのか」、「iPadやコンピューターゲームと伝統のおもちゃのどちらが、子どもにとっていいのか」など、デジタル時代ならではの悩みが若い保護者たちの声から伺えました。

2日間という短い時間ではありましたが、日本、中国大陸、台湾の専門家、現場の保育士・教諭や学生、保護者との交流ができた貴重な経験となりました。同じ東アジアの国で、隣国でありながら、同じような社会問題を抱えると同時に、異なる問題も抱いていることに気付かされました。

お互い刺激し合い、双方の問題の可視化と解決への糸口を専門家、現場の先生、保護者の議論から見つけていくことがこのプログラムが担う重要な役割であると強く思いました。

来年も引き続きこの活動を推進してまいりたいと思いますので、ご関心のあるかたは是非参加していただきたいと思います。またこのプログラムについてのご意見、ご感想もお待ちしております。

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