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【ネットジェネレーションの教育】 第2回 親子インターネット利用調査の日米比較 (3)

要旨:

成績とインターネット利用時間の関連を見ると、成績がかなり上の方と回答している子どものインターネット利用時間は、1時間未満が最も多い。成績がかなり下の方と回答している子どもの中には、3時間以上インターネットを利用している子どもが2割程度いた。成績とインターネット上での利用内容は、関連がなかった。親がインターネットで何をしたかを尋ねることがあるかどうかと成績の関連では、成績がかなり上の方と回答している子どもは、6割程度が親に尋ねられたことがないと回答しており、成績の良い子どもは、親に信頼されていることが推察された。

 

5.成績とインターネット

 

昨今の社会で議論になる教育問題には、ネットいじめ、学校裏サイト、ネット中毒など、ネットがらみのテーマが多い。不登校やひきこもり、コミュニケーション不全、非行などの生徒指導上の問題もよく議論の的になる。しかし、子どもたちが学校へ毎日通うのは、5時間か6時間の勉強を行うために通っているのであり、子ども自身も保護者も一番の関心は、やはり成績である。成績が下がるようであれば、やめさせたくなるのが親心であろう。

 

特に今の親世代は、自分が子どもの頃にはインターネットは普及していなかった。今では、仕事をする上でインターネットは不可欠な時代となり、大人自身は日々活用しており、子どもにも活用方法を学ばせたいと思う一方で、のめり込みすぎないかが心配である。

図11には、成績とインターネット利用時間を表すグラフを示した。グラフを見ると、全体的に1時間未満の子どもが多いが、中でも、成績がかなり上の方と回答している子どものインターネット利用時間は、1時間未満が最も多い。一方で、成績がかなり下の方と回答している子どもの中には、3時間以上インターネットを利用している子どもが2割程度いた。5時間以上7時間未満と回答している1割の子どもは、自宅にいる時間の大半をインターネットに費やしていることになる。登下校時間を合わせると1日9時間程度外出している上に、5~7時間インターネットを利用している生活は、睡眠不足など生活管理上の問題も推察される。また、インターネットは使っていないと回答している子どもは全体の3%程度に過ぎないが、成績は真ん中以下であったことを合わせると、成績がかなり下の方の子どもの中には、全くインターネットが利用できない子どもがいる一方で、無制限に利用している子どもの割合もほかのグループより多く、生活管理が十分できていない子どもたちもいると推察できる。


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図11 成績×インターネット利用時間


図12~図17には、成績別の主なインターネットの利用内容を示す。いずれも、成績による大きな違いは見られない。成績がかなり上の方と回答している子どもたちも、ほかのグループの子どもと同様にオンラインゲームを利用している。チャットや掲示板、メール、ネットショッピングをしているからといって、成績が下の方になることはなく、成績とインターネット上での利用内容は、関連はなかった(直接確率比較を行ったが、いずれも優意差なしであった)。

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図12 成績×Eメール利用頻度

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図13 成績×オンラインゲーム利用頻度

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図14 成績×調べ学習利用頻度

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図15 成績×ダウンロードミュージック利用頻度

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図16 成績×チャット・掲示板利用頻度

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図17 成績×ネットショッピング利用頻度

 

図18 親はインターネットで何をしたかを尋ねることがあるかどうかと成績の関連を示している。成績についてわからない、あるいは答えたくないと回答している子どもの7割が親はインターネットで何をしたかを尋ねることがあると回答している一方で、成績がかなり上の方と回答している子どもは、6割程度が親に尋ねられたことがないと回答しており、成績の良い子どもは、親に信頼されていることが推察された。

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図18 成績×親はインターネットで何をしたかを尋ねることがある

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