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【ベトナムの子育てレポート】 第4回 一年で最大の年中行事、ベトナムの旧正月「テト」

天達 彩子

2018年3月30日掲載

要旨:

テトとは、旧暦上のベトナムのお正月のことで、旧正月とも呼ばれます。年中行事が旧暦で動いているベトナムの人たちにとって、重要かつ一年で最大の年中行事です。今回は、テトのときの街の様子やしきたり、駐在員たちの過ごし方についてご紹介します。

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テトを迎えるハノイの街の様子 ~一年で最もお金が動く時期~

ベトナムのさまざまな年中行事は、旧暦で動いています。そのため、ベトナムの人々にとって新暦のお正月(1月1日)よりも重要で意味深いのが、ベトナム正月のテト(旧正月)です。テトは一年で最大の年中行事で、大晦日と3が日に加えてお休みが設けられ、祝日が非常に少ないベトナムでは珍しい大型連休となります。2018年は2月15日~20日の6連休となりました(新暦上での日にちは毎年変動します)。学校や会社はもちろん、街中のお店や施設が閉まり、普段は多くのバイクや車が行きかう道路も街も嘘のように静まりかえります。ベトナムの人々はこの間、家族や親族と自宅に集まったり、田舎に帰ったりしてのんびり過ごします。

テトの数週間前から、ハノイの街中も旧正月を祝う飾りやイルミネーションで華やぎ、スーパーなどではお正月の歌が流れ出します。街の装飾や飾り物は、ベトナム国旗の赤と、金柑の黄色や金色(繁栄の象徴)をベースにした色遣いで、とにかく鮮やかで派手な印象です。この時期にお金を使うと縁起が良いと言われ、テト用の飾りや食べ物、お供え物などに加え、ここぞとばかりに日用品などを大量購入し自宅にストックしておくのだとか。買う人売る人で街はとても賑わい、道路もいつも以上にバイクや車で込み合うため、どこへ行くにも必要以上に時間がかかります。外国人にとっては、できればあまり外出したくない時期かもしれません。人々が一番お金を使う時期とあって、ATMの現金が無くなりお金をおろすことができない・・・ということも。非常に困ってしまいますが、そこは「仕方ないね」で諦めるか、他のATMを探すかの選択肢しかないところが日本との大きな違いです(ベトナムでは未だクレジットカードの普及率が非常に低く、現地の人々は現金決済が基本です)。また、お手伝いさんなど、普段の生活の中でお給料を支払ってお世話になっている人たちには、旧正月に入る前に、通常のお給料に2か月分プラスして、いつもの2倍のお給料を支払うのが決まりです。赤いポチ袋に入れてお渡しします。

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【写真左】正月飾りが売り出され賑わう旧市街の様子
【写真中央】デパートもテトを迎える準備
【写真右】各家庭やお店に必ずある神棚も豪華に飾り付けられテト仕様に

新暦のお正月(1月1日)は祝日となり、各地で花火が上がったり、カウントダウンイベントが催されたりはしますが、街はまだクリスマスの延長のような雰囲気。Merry Christmas!の飾りが街のあちらこちらに残ったままで、年を越しても清々しい気持ちや実感はなかなか湧いてきません。年末年始も、街は普通に、いつも通りに稼働しています。日系のホテルへ行くと、お雑煮やおせち料理、餅つきなどのお正月イベントを楽しむことができるということで、ベトナム在住の日本人の宿泊予約も多い時期なのだそうです。おせち料理は事前に予約しておけば自宅で楽しむこともでき、とても美味しいと友人から聞きました。

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【写真左】テト前で込み合う道路。バイクで運ばれているのは、金柑と共にテトに欠かせない桃の花
【写真中央】大量の荷物を運ぶ自転車。よく見る光景です
【写真右】金柑の木を運ぶバイク。繁栄の象徴としてテトには必須の飾り物

休暇の過ごし方 ~12月から2月、スクールはお休みだらけ~

インターナショナルスクールは、12月の中旬には早々に、約3週間の長い冬休みに入ります。そしてまた、2月のテトでは連休となるため、年末~テトにかけて、スクールはお休み期間が長く多いのが特徴です。冬休みに入って早々に子どもと母親で日本へ一時帰国するファミリー(お父さんは仕事納めの後、年末に追いかけます)、日本へは帰国せずにベトナム、または他の国で休暇を過ごすファミリーと、それぞれの過ごし方を楽しみます。インターナショナルスクールは早くに休みに入ってしまいますが、日系の幼稚園や学校は日本と同じ時期まで開園・開校しており、幼稚園では在園児でない子の一時預かりにも対応してくれます。そのため、早々と日本に一時帰国せずハノイで過ごす、または父親の休みに合わせ他国へ旅行する家庭では、子どもが時間を持て余してしまうことがないよう、1週間ほど日系幼稚園に通わせることができます。

年末年始はいつもと何ら変わらず生活できますが、テトの間は、街なかでは買い物も食事もまともにできません。外国人向けのほんの一部のレストランや観光客向けのホテルなどは営業していますが、それ以外はほぼ閉まってしまうため、駐在員たちもまた、それぞれの母国に一時帰国したり、国外旅行へ行ったりして過ごします。何もすることがなく出かけて行く先もなく、お友達ファミリーもほぼ皆国外に出てしまうため、ベトナムに残る選択をする外国人はごくわずか。そしてこの連休が明けると、新たな気持ちで一年が始まります。

そしてこの時期、ハノイは非常に寒い時期です(第1回レポート参照)。特に1月~2月はなかなかお天気にも恵まれず、雨が続くと体感温度もぐっと下がります。東京の冬と同じような寒さを感じ、ダウンコートは必須です。朝から霧雨のような雨が続き、なかなか日差しも望めず、春が恋しいなぁと思いながら過ごす日々が続きます・・・。

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【写真左】テトに入り、信じられないほど静まり返る道路
【写真右】ホテルの正月飾りもまた華やか。桃のピンクは
幸福や幸運の象徴

筆者プロフィール

天達 彩子
東京女子大学を卒業後、教育系企業に就職。夫の海外赴任を機に退職し、当時2歳と4歳の子どもたちと共に渡越。2014年11月から2016年3月までハノイで暮らし、帰国後は紙・パルプ系企業に転職。現在も会社員として従事。
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