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論文・レポート

【スウェーデン子育て記】 第26回 子ども主導のスウェーデンの三者面談

下鳥 美鈴

2018年3月 9日掲載

スウェーデンの小中学校では春と秋の毎学期、生徒とその保護者、そして担任の先生での三者面談が行われます。スウェーデン語では「utvecklingssamtal」と呼ばれていて、「三者面談」というよりは、「発達報告」や「成長報告」といったニュアンスが強い言葉かもしれません。

今年も春学期(1月上旬から6月上旬まで)の三者面談があり、5年生の長女と1年生の次女のクラスに呼ばれて行ってきました。

スウェーデンの小学校での三者面談

三者面談と言えば、日本でも生徒の学業や生活面での充実をはかるために設けられており、家庭と学校との間でコミュニケーションをもつための場にもなっています。私自身の学生時代を思い出してみると、三者面談の場面では非常に緊張してしまったという記憶があります。いつもとは違った雰囲気の中で母親が先生と向き合って話をしていたり、私が親と先生に自分の考えを伝えたりして、ドキドキしました。特に進学について相談をするときには、かなりのプレッシャーがあったような思い出があります。

スウェーデンでは、子どもたちが保育園に通っていたころにも、先生と保護者だけの二者面談が毎学期ありました。そこでは主に、普段の保育園での子どもの様子を教えてもらうとともに、保護者が家庭での子どもの様子を先生に伝えたり、子どもの身体的・精神的な発達について先生と話し合うという機会が設けられていました。

子どもが小学校に通うようになると三者面談が始まりました。しかしまだ小学生ということもあるので、三者面談の場とは言ってもそれほど緊張するものではないだろうと、私は思っていました。担任の先生から学校の様子を教えてもらったりして、今後の学校生活の目標などを決めるのかなと考えていたからです。ところが娘たちは何やら三者面談に向けてちょっと緊張している様子です。しかもお迎え時に娘は面談の準備はもう終わったとか、まだ終わってないとか先生と話しています。私のときの三者面談って、私が準備するものだったかな?不思議に思っていましたが、スウェーデンの小学校の三者面談に行ってみてその理由がわかりました。

生徒の自主性とは

指定された時間に学校へ行き、担任の先生と会って挨拶をしたところから三者面談が始まります。私は当然のように、先生の方から「お子さんの学校の様子ですが・・・」などと話があるのかなあ、と思っていました。しかし話し始めたのは生徒である子どものほうでした。

「今日は三者面談に来ていただき、ありがとうございます」といった生徒の言葉から面談が始まります。これには驚くとともに、とても感心しました。なるほど、この面談はほかでもない生徒自身のために行われるのであるから、生徒主導で話し合いを進めるのは当然かもしれないと思ったからです。

三者面談の進め方にはいくつか決まった項目があるらしく、生徒の目の前には面談のプログラムのようなものが用意されていました。その項目に沿って、生徒は話を進めます。まずは現在どんな学習をしているのか。その中で自分の得意科目や不得意科目、そして今後の目標とすることなどを報告してくれます。低学年ではまだ学習内容があまり多くないので、絵や工作なども見せてくれたりします。

こうして自分の言葉で学習状況を総評価してみたり、具体的にどこが得意でどこが不得意なのかということをまとめる作業は、先生にしてもらうよりも自分で行うほうがより頭に入るでしょうし、責任をもって今後の課題に取り組めるようになるのかもしれません。これには目からウロコでした。小学校の頃からこのような練習を積み重ねることによって、自主性を伸ばしたり個人それぞれに合った学習法を模索したりしているのかな、と思います。こういった学習の過程を考えると、一律に同じ進路や卒業後の選択を選ばないスウェーデン人の考え方が、理解できるような気がします。自分に合った方法で学力を伸ばしていくこと、というのが第一に目指すところなのでしょう。

私の娘たちも、最初は恥ずかしがりながらも学習の様子を報告してくれました。それからクラス内での友人関係や生活面での問題などがあれば、そこにも言及して、担任の先生も一緒に相談に加わります。低学年では、いつも一緒に遊ぶ子は誰なのか、どんなことをして遊ぶのかといったことを聞きますが、高学年になるにつれて微妙な話も出てきます。このような場面ではちょっと言いにくいことなども生じるでしょうが、普段はなかなか相談しにくいこともこの機会に思い切って話してくれる生徒も少なくないようです。

そのあとは保護者から先生へ質問をしたりして、面談は終わります。最後の締めの言葉ももちろん生徒からです。「これで私の三者面談は終わります」と言って終了です。子どもたちは大役を果たしたようなスッキリした顔をしています。この先の将来、自分の進路でたくさん悩むことがあると思います。でもまずは自分の考えで希望の道を見つけ、周りの人の助言にも耳を傾けつつ、努力してくれればいいなと願っています。

筆者プロフィール

下鳥 美鈴

東海大学文学部北欧文学科卒業。ストックホルム大学で修士課程を終え、ウメオ大学(スウェーデン)で博士課程を修了。言語学博士。
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