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論文・レポート

【スウェーデン子育て記】 第25回 子どもとメディア

下鳥 美鈴

2018年1月26日掲載

ここ数年は、比較的に暖かい冬が続いていたストックホルムですが、12月に入り、これから本格的に寒くなるという予想がでてしまいました。もう20年もスウェーデンに住んでいる私ですが、この冬の暗さと寒さだけは未だに苦手です。どうやら今年は厳しい寒さに苦しめられそうです。

寒さに震える私とは対照的に、子どもたちは待ちに待ったクリスマス休暇が楽しみで仕方がない様子。クリスマスツリーの根元においてあるプレゼントが気になって、ついつい触ってみたり持ち上げてみたり、落ち着きません。クリスマス休暇にはスウェーデンの現地校からの宿題は出ないので、毎日お友達と遊ぶ約束でいっぱいです。お友達がうちへ遊びに来たり、お友達の家に泊まりに行ったりという機会も増えます。

スウェーデンの子どもたちは、普段から寒さに強くなるように学校でも鍛えられています。学校の休み時間には、外で遊ばないといけないという決まりごとがあるそうなので、帰宅してからも外で遊ぶことが多いです。でもさすがに寒くなれば家の中での遊びも多くなります。小学校低学年の娘は工作や、かくれんぼうなどをしていますが、高学年のお姉ちゃんたちはインターネットを使ったり、テレビを見ることもあります。

以前の記事でも書きましたが、子どもによるインターネットの使用が非常に普及しているスウェーデンでは、インターネットの使い方については学校でも指導していますし、家庭でもなるべくチェックするようにはしています。ただ、なかなかその管理を徹底するのは難しく、そこは子どもの自主性に任せて信用するほかはないという場面も多くなってきているのが事実です。

子どもとソーシャルメディア

近年のメディアの普及によって、子どものインターネットの使用に関しては様々な議論が交わされています。特に、人気のソーシャルメディアについてはいろいろな意見があるようです。現在、フェイスブックやインスタグラムなどの人気ソーシャルメディアの使用は13歳以上ということになっています。しかし、これを確実に管理し確認する手段はなく、保護者の責任に任せられているという状況です。スウェーデンでもこういったソーシャルメディアを子どもが使うことについては、心配や不安をもつ保護者が多くいます。

2016年の春頃のニュースでは、スウェーデンの消費者庁が、ソーシャルメディアの使用年齢を16歳以上に引き上げるか否かを検討しているという話でした。そして今月、2017年12月の報道によると、EU加盟国においては2018年5月から、ソーシャルメディアの利用年齢を、国によって下は13歳以上から最高で16歳以上とする年齢制限が設けられることになるそうです。この利用開始年齢については、EU加盟各国それぞれの決定によって、13歳から16歳の間で決めることになります。スウェーデンでは、子どもの知る権利なども考慮して13歳からの利用を容認したいということです。

スウェーデンの映画観覧年齢制限

映画鑑賞は長い冬の楽しみのひとつです。映画館に行ったり、映画をレンタルすることもよくあります。スウェーデンでは子どもの映画観覧について、その内容によって7歳以上、11歳以上、15歳以上という年齢制限が設けられています。年齢制限のない映画もありますが、これは単に児童向け映画だけというわけではなく、その内容が児童に身体的・精神的なダメージを与えないものであれば年齢制限は無くなります。

スウェーデンの文部科学省にあたる公的機関の中には、このようなメディアに関する子どもの年齢制限を決定する機関があります(資料1)。この機関では、15歳以下の子どもを対象にスウェーデンの映画館で上映される映画に関して、それが子どもにとって有害であるか否かを審査しています。映画の内容が、子どもの恐怖心や不安感をあおる内容であるかどうか、さらに、どの程度のリアリティを伴っているのか、という点が審査の注目点となります。従って、はじめから子どもを対象としていない、いわゆる成人向けの映画については、審査の範囲には入りません。

映画の審査では、省庁の職員2名がその映画を鑑賞し、何歳以上からの鑑賞が望ましいかを協議します。もしその2名の意見が不一致であった場合は、3人目の職員が映画を鑑賞して、3人での協議となります。

2017年3月からは、18歳以上の成人の同伴者がいれば、11歳から14歳までの子どもでも、15歳以上の年齢制限がついた映画を鑑賞することができるようになりました。これは、保護者の責任のもとにおいては子どもが鑑賞できる映画の範囲が広がるようにすることが目的です。ただし、成人の同伴があればこのような15歳以上向けの映画を11歳の子どもが鑑賞しても問題がない、という意味ではありません。同じ内容の映画でも、子どもの個性によって異なった反応をすることがあります。そのような点を考慮した上で、成人の同伴者が責任をもって子どもを映画鑑賞に連れて行くということだそうです。

スウェーデンは子どもの安全や健康については、保護者の責任が厳しく求められる国です。18歳以上の成人を伴わない子どもが公共の場に行くことは、当然のように許されていません。まだ小学生の娘たちがいる私は、クリスマス休暇もゆっくり休めるのかわかりませんが、子どもと一緒の時間を楽しもうと思います。


資料1 https://statensmedierad.se/aldersgranserforfilm.171.html

筆者プロフィール

下鳥 美鈴

東海大学文学部北欧文学科卒業。ストックホルム大学で修士課程を終え、ウメオ大学(スウェーデン)で博士課程を修了。言語学博士。
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