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論文・レポート

【ニュージーランド子育て・教育便り】 第5回 スクールフェアで資金集め

村田 佳奈子

2017年12月 8日掲載

娘がニュージーランドの小学校に通いはじめて、既に3回のスクールフェアを経験しました。普段通う学校が地域に開放されて、人も出店やゲームも多く、お小遣いを渡されて自由に買い物ができるので、娘もこのスクールフェアが大好きです。近所の小学校のフェアにもよく行きます。今回は、ニュージーランドでスクールフェアでのお金集めがどのように行われるか、紹介したいと思います。

スクールフェアは、日本で言えばバザーに近いと思います。規模が大きく、目的も学校運営のための資金集めと明確です。政府から学校への補助金では、学校運営に必要な経費をまかなうことができないか、あるいは質を確保することが難しい程度の額しかないそうです(注)。足りない分は、各学校が自分たちの力でお金を集めて、教育の質をあげていく必要があります。その一つが保護者から学校への年額数百ドルの寄付金(学校により金額は異なります)であり、もう一つの重要な手段がスクールフェアというわけです。私の知る範囲の学校では、フェアは、PTFA(日本でいうPTA)主導で行われています。売上や資金の用途はしっかりと保護者にも報告され、一度の開催で大体20,000~40,000ドル、つまり数百万円の規模となります。資金集めが教育の質確保にとって切実な課題であることを保護者も理解しているので、概ね一生懸命手伝います。

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娘が5歳の時に買ってきた物

スクールフェアのメインは、やはり、おもちゃ、衣類、家具、書籍、食器類などの販売です。家に眠っている不要なものを寄付します。私たちも、家で不要になったものでも綺麗なものは処分せずに、毎年、1年に一度の機会までためておき、大量の物を寄付しています。ニュージーランドは中古市場もかなり活発なので、こういった不用品は売ろうと思えば簡単にそれなりに良い値段で売れるのですが、それを寄付しているので、どのご家庭も単なる家の不用品処分というよりは、やはり学校のためにという思いで持ち込んでいます。こうした寄付の品が2-3週間かけて体育館などに次々と持ち込まれ、保護者が分類、値付けをしていきます。地域の方にも寄付を募り、持ち込まれたものを分類し、値付けをしていくのは全て保護者です。この間は、体育館は子どもたちの学習目的では使えなくなりますが、子どもたちの教育を思えば、それよりも資金集めが大事だと学校も保護者も認識しているのです。スクールフェアで売られる際の品物の値段は、売れ残りを減らすため中古市場の半分くらいと、だいぶお得な価格設定になっているように思います。そのため、フェア当日は、遠方から来る人も多いですし、開場時間を待たずして長蛇の列ができていて、開場とともに駆け込む人もいれば、お客さん同士で物の取り合いになるようなこともあります。

その他に、スクールフェア当日に行う福引のための「ラッフルチケット」の販売もよくあります。日本語訳すると「慈善福引」となるようですが、これはまず保護者が学校にワイン、チョコレート、高級な食べ物(ニュージーランド人によれば、ワイン、スパークリングワイン、そのつまみになるようなものを普通イメージするそうです)などなどテーマに沿ったものを寄付します。この寄付されたものが福引の景品となるわけです。場合によっては企業に景品を募ることもあります。こうして寄付されたもので景品を用意したうえで、福引チケットを販売します。これは1枚2-5ドル程度で売られるのですが、暗にノルマが課せられており、1家族あたり10枚といったように、20ドルなり50ドルなりの分のチケットを友人や知人に売って、売上は学校に寄付するという仕組みです。夫も私も、チケットを誰かに買ってもらうという文化に未だに不慣れで、結局は自分たちでノルマ分を買ってしまっています。当選の確率は決して高くないという印象なのですが、意外にもラッフルにはイースターの時に一度当たってしまい、びっくり。娘は大喜びでした。

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当選した大量のチョコレート

各家庭のノルマ以外にも、福引当日(フェアの日)に先立ち、福引チケットを街中で販売することもあります。私たちも一度、早朝に街中で販売する手伝いをしたことがあるのですが、正直なところ、ほぼあたらない福引を売りつけることに心理的な抵抗感がありました。ところが、意外にも「子どもたちの通う地域の学校はサポートしたい。」「前は自分の子どもも通っていたから。」「自分の母校だから。」などと、快く購入しサポートしてくださる地域住民の方も多かったのが印象的でした。私たち家族の担当した時間は、偶然オーストラリアからの観光客に声をかけてもらうことが多く、福引の結果がでるころにはニュージーランドにはいないからとチケットは受け取らず、お金のみを入れて下さるようなことも多く、ラッフルチケットはニュージーランド以外でもかなり根付いているのかなと感じました。

また、ソーセージシズル(ソーセージを焼いてパンにはさんだものを販売する)、コーヒーなど、簡単な軽食を販売したり、遊具を借りて校庭に準備しておいたり、植物を種から保護者に育てておいてもらって苗を販売したり、更に、保護者は手作りの焼き菓子を持ちこんだり、とにかくお金を集めるという目的のためにマンパワーが許す限り何でもやるという感じでしょうか。当日は先生方も手伝います。翌週には即会計報告が来てしっかりと数万ドルの利益をあげていることをみて一安心でした。それでも学校運営に必要な額から見ればまだまだ道半ば。ここまで資金不足なら、もう少し各家庭からの寄付金を上げることも検討して良いのでは?という疑問も無きにしも非ずですが、こうして夫婦でかなりの時間を割くということをしていると、だんだん親としての愛校心のようなものも芽生えてきました。ましてや自分の出身校であったりしたらもっと思い入れは増すのではと思いました。今年は夫が平日の夜や土日に多く手伝いをしてくれたので、結局、わが家からはフェアの準備とフェア当日をあわせて合計15時間程度の貢献をしたと思います。ここまでの規模の手伝いはさぞかし大変だろうと思われるかもしれませんが、手伝いの希望日時などはウェブアンケート形式で回答するだけであったり、ウェブ上の共有スケジュールに各々書きこむなど、ITも大いに活用されており、意外なほど他の保護者とのやり取りは少なく、比較的気軽に手伝いをすることができます。また推奨される手伝い時間数のようなものは連絡がきますが、平等に手伝うことは誰も重視していないように思います。できる人ができる範囲で努力するようなイメージです。〇〇ドル集める!という明確なゴールがあることは、保護者同士の人間関係をポジティブなものにしているような気もします。全ての学校にあてはまるのかどうかはわかりませんが、毎年、これだけのイベントをとても上手に運営していて感心するばかりです。


  • (注)政府からの補助金は、低所得の地域にある学校に重点的に配分されるため、ある程度の所得の地域になると十分な補助金がないそうです。

筆者プロフィール

村田 佳奈子

日本で7年間企業に勤める。退社後、2012年4月よりニュージーランド(オークランド)在住。
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