TOP > 論文・レポート > 子育て応援団 > 【スウェーデン子育て記】 第24回 インターネットの使い方

このエントリーをはてなブックマークに追加

論文・レポート

【スウェーデン子育て記】 第24回 インターネットの使い方

下鳥 美鈴

2017年11月17日掲載

黄色く紅葉した木々があちこちに目立ち始め、ずいぶん風が冷たくなってきました。気づけば、街のデパートではクリスマス用のデコレーションなどがすでに姿を見せ始めています。クリスマス商戦のスタートが年々、早くなっているようです。2017年もあと2ヶ月をきって、ますます一日が早く過ぎて行くような気がします。

インターネットの役割と問題点

スウェーデンの子どもたちにとって、インターネットは家庭内の個人的な利用だけではなく、学校の授業でも補助教材として頻繁に使われている身近なツールです。娘の通う小学校では、コンピュータの貸し出しもしていて、家で宿題をするときによく利用しています。日本でも似たような環境かと思いますが、今やどこのスウェーデン家庭でもインターネットはあって当たり前という生活になっています。学校と保護者の連絡用にも当然インターネットが使われていますし、また各種いろいろな手続きなども、ほとんどがインターネットを通して行われます。

このような環境のなかで、夕食時の家族の会話においても、子どもたちがインターネットで見たり読んだりした内容を話してくれることが増えてきました。ただ、そうして探してきた情報のすべてを信じてしまっていいのかどうか、という判断はまだ子どもたちには難しいことのようです。インターネットで書かれている内容の全てが真実とは限らないのは、大人の中では周知の事実であっても、子どもにはまだ実感として理解されていない様子です。子どもたちには機会があるごとに、インターネットは便利である反面、誤解などのトラブルも持ち込みやすいものであるということを保護者が教えたりしていますし、学校でもそのような話をされたりするそうです。

report_09_279_01.jpg

漫画でよりわかりやすく

今後は、ますますインターネットの利用が増え、それに伴った問題も様々でてくると思います。そんなことを考えていたところ、子どもに大人気の漫画雑誌「バムセ」でもその特集号が組まれたということをインターネットで(!)知りました。これは子どもにも読ませなくてはいけないと、さっそく購入することにしました。(参考 https://www.bamse.se

いろいろと調べてみると、「バムセ」の漫画が、情報源としてのインターネットに注意を促したのは今回が初めてではありませんでした。今年の2月にも同じようなテーマで特集を組んだところ、国内外のメディアで大きな反響があったとのことです。これはまさに、みんながちょっと不安に思っていたことが注目を浴びた結果だと言えるでしょう。今回の特集号は、それを踏まえて刊行されたものだったのです。インターネットに詳しい研究者の監修のもと、内容が作られたという信頼性の高いものでした。

世界一の力持ちのクマさん「バムセ」が主人公のこの漫画は、1960年代から長年スウェーデンで愛読され続けている子ども向け漫画です。ハチミツを食べると、ものすごい力持ちになるというバムセが、仲間の動物たちといろいろな冒険をするというお話です。今回のインターネット特集号はいつもの雑誌よりもページ数が少なく、どうやら号外として発行されている雑誌のようです。 子どもが親しみやすい可愛いキャラクターを使って、わかりやすく問題点を教えてくれています。

雑誌にはいくつか短いお話が載っていました。まず一つ目のお話は、ある小学校のクラス内で、女の子の新しい携帯電話が紛失したとして、クラスメイトの男の子が疑われたというお話。実際は女の子が携帯電話を家に置いてきてしまっていただけだったので、男の子は全くの無実だったのですが、一度クラスのみんなから疑われてしまった男の子は、とても嫌な思いをします。家に帰った女の子は、自宅で携帯電話を見つけ自己嫌悪を感じることになりますが、翌日それを正直に告白し、男の子と仲直りをします。このお話の大事なポイントは、女の子が男の子のことを疑いつつも、それをインターネットに書き込むことはしなかったという点で、先生から偉かったと評価されるというところ。一度でもインターネットに悪口や嘘の情報の書き込みをしてしまえば、それは世界中に広まってしまい、後から内容を訂正したり、削除をすることは不可能なことを教えています。

もう一つのお話は、みんなから好かれているバムセの人気を落とそうとする者が、悪意をもって写真を加工し、まるでバムセが銀行強盗をしたかのような嘘の画像を作って情報を流したというもの。バムセを信じる友人たちの活躍で問題は解決するのですが、嘘の情報に翻弄されて不安になってしまう人もいるのだ、ということを教えてくれています。どちらの漫画でも、インターネット等で見たり読んだりしたものは、むやみに信じたりしないことや、不安に感じることがあれば周囲の大人に相談することをわかりやすく提案しています。

雑誌の中には、自分でできるチェックリストもついていて、自分はインターネットの情報を冷静に判断できているか確かめることができます。私の娘たちも自分でチェックをしていたようで、インターネットを利用していく上で大事なことを改めて勉強できたようです。

ともすれば私たち大人でも、容易に翻弄されてしまうかもしれないインターネットの情報がたくさんあります。今回のバムセ特集号は子どもだけでなく、大人の私も読んでよかったと思えるような内容でした。さっそく、娘のお友達にも読ませてみようと思っています。

筆者プロフィール

下鳥 美鈴

東海大学文学部北欧文学科卒業。ストックホルム大学で修士課程を終え、ウメオ大学(スウェーデン)で博士課程を修了。言語学博士。
このエントリーをはてなブックマークに追加
サイトマップはこちら
サイトの全体像が分かります。

Twitter  Facebook

CRNアジア子ども学交流プログラム

名誉所長ブログ

論文・レポートカテゴリ

イベント

ご意見・ご質問

メルマガ登録

世界の幼児教育レポート

CRN刊行物