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【ジャカルタ子育てジャーナル】 第5回 幼児の習い事事情

現在、日本では幼児向けの習い事がたくさんあり、早めに幼児教育を始めている家庭が多い印象があります。ジャカルタではどうかというと、同じく習い事はいろいろあります。特に、インドネシアに一時的に住んで、その後日本へ帰国する日本人家庭では、インドネシアならではの習い事もさせてあげたいけれど、日本に帰った時に、日本語の発達が周りのお友達と比べても遜色ないようにしてあげたいなど、帰国後を見据えたうえで習い事をさせているようにも思います。

そこで今回は、ジャカルタに住む幼児の習い事事情をリポートします。

スイミング

ジャカルタの子どもが習っているものといえば、スイミングが一番にあげられるのではないでしょうか。これはインドネシア人ママに聞いても日本人ママに聞いても最初に挙げられた習い事です。

ジャカルタは、1年じゅう気温が30度前後ある常夏の街です。屋外プールが多いのですが、季節に左右されず習えることと、インドネシアに来たからには子どもを泳げるようにして帰りたいという理由で習わせている日本人のお母さんも多いようです。周りの友人の子どもたちを見ると、4~5歳くらいでスイミングのレッスンを受けている子どもの比率がとても高く、焦りを感じた私は、我が家の長男も今年から習わせ始めることにしました。顔を水面につけることすら嫌がる長男をよそに、以前からスイミングを習っているお友達は、潜ったり、すいすい泳いだりしています。それを見て、長男にも泳げるようになって自信をつけさせてやりたいと思いました。こちらの良いところは、大抵日本人駐在員家族が住む大きなマンションにはプールの設備があります。そこにコーチを招いてレッスンを受けられます。日本の環境を考えると、なんと贅沢なことでしょう。プライベートレッスンを気軽に受けられるのは人件費が安いインドネシアならではだと思います。逆に日本のようなスイミングスクールは私の知っている限りではほとんどなく、友達同士数人でコーチにお願いすることはあります。我が家の場合ですが、1回30分のレッスンで10万ルピア(日本円で800円くらい)です。習い始めて2か月経ち、長男はようやくゴーグルをつけた状態で水面に顔をつけ、目を開けることもできるようになりました。そして息つぎが少し上達しました。

ちなみに、コーチとのコミュニケーションは、長男は英語を使っているようです。日本語幼稚園に通うお友達は、インドネシア語や英語を混ぜてコミュニケーションをとっていると聞きました。初めは分からないことばかりでも、子どもはすぐに慣れて、身振り手振りも交えてコーチとの意思疎通ができるようになっているそうです。余談ですが、長男のスイミングコーチはイスラム教徒の女性です。イスラム教では、女性は肌を沢山露出させてはいけないので、コーチも頭まですっぽりかぶる全身タイツのような水着を着用しています。日本ではあまり見慣れない水着ですが、こちらでは普通に売られています。

コーチによってレッスン方法は様々のようですが、長男のコーチは初めから浮き具は使わせず、コーチが長男を沈まないよう抱えて練習をしています。浮き具に頼ってしまうからとのことです。また、平泳ぎから教えてもらっています。バタ足ではなくかえる足です。バタ足から習うイメージがあったので驚きました。

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スイミングレッスンの様子

リトミック・体操教室(インターナショナル)

こちらは0歳から入ることができる、幼児向けの体操とリトミックがミックスされたような教室です。長男は1歳になったころから1年間通いました。保護者も一緒にクラスに入り、歌や手遊び、ダンス、体操を行います。インドネシアでは普段なかなか体験できない鉄棒や平均台などもあります。先生が見本を見せて、その後一人一人が挑戦します。それが終われば自由な時間になります。鉄棒が好きな子どもはずっとぶら下がっていたり、初めて教室に来た子どもはずっと保護者にくっついていたり、ぐるぐる走り回っている子どももいます。言語は英語で、インドネシア人はもちろん、様々な国の子どもが集まっていました。保護者と一緒に教室に入ると書きましたが、そのほとんどがベビーシッターさんで、親が一緒の子どもは10人中2~3人と少なく、とても驚きました。これはインドネシアならではの光景かもしれません。

現在次男も同じような教室に通っています。同じ兄弟でも喜ぶポイントや好きなことが違います。音楽に合わせて踊ることが好きな次男に比べて、当時の長男はすぐに飽きてしまい、みんなの輪の中から外れて違う遊びを探していました。一方で、先生が沢山のしゃぼん玉を作って飛ばしてくれるアクティビティでは、次男より当時の長男のほうがキャッキャと喜んでいました。

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体操教室で楽しむ次男

その他の習い事

インターナショナルプレスクールに通っている子どもの中には、フォニックスの教室に通っている子どももいます。フォニックスとは英語を読むための、文字と発音の規則性のことです。

また、テニスや野球、そのほか女の子はバレエを習ったり、ピアノ教室に通う子どももいます。そういったところは日本と同じようです。テニスは我が家の長男もたまに参加していますが屋外のテニスコートにインドネシア人のコーチを招いてグループレッスンをしています。野球も屋外です。テニスに関しては雨季の時は突然の雨でよく中止になります。中にはバリダンスというインドネシアならではの習い事もあります。日本人会(JJC)の中にバリダンス部があり、4才位の子どもから大人まで活動しているようです。私はまだ見に行ったことがありませんが、発表会もあるそうです。

日本人向け体操教室

昨年の秋ごろからですが、日本のスポーツクラブがジャカルタで日本人の子ども向けの体操教室を始めました。コーチも日本人です。良い点を挙げると、日本語による指導で跳び箱、鉄棒、マット運動などを教えてくれる点です。日本語幼稚園では跳び箱や鉄棒をする機会があるようですが、長男の通っているインターナショナルプレスクールではなかなか実践の機会がありません。長男は、見慣れない跳び箱に初めはとても興奮していました。保護者としてうれしくない点は、日本人のコーチによる指導ということで、費用が高いことが挙げられます。

クラスは小学生、年長年中、年少クラスと別れています。長男は年少クラスです。長男が通うプレスクールでは4才以上で1クラスになっているので、なかなか同じ年齢の子どもだけで活動することがないため新鮮なようです。同じ年齢だと、成長の段階が近く、できること・できないことがほぼ同じくらいだと思うので、一緒にできるようになる喜びや負けないぞというライバル心などが芽生えてくれたら嬉しいです。

こちらの体操教室のコーチは、以前インドネシアのプロサッカーチームでプレイされていた方です。つい最近、そのコーチによるサッカー教室も始まりました。体験教室には希望者が沢山集まって、長男は見学することしかできませんでした。こんなにたくさんの日本人サッカー少年がジャカルタにいたとは!と驚きました。

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日本人向け体操教室での様子

学習塾

日本で有名なフランチャイズ式の学習塾が、ここジャカルタにもあります。ローカル向けのクラスも浸透しているようで、たまに教室の看板を目にします。日本人の子どもが通うのは、日本語で教えている教室で、ジャカルタには1教室しかありません。長男は、2週間体験入塾しました。中に入ると、ここは日本?と錯覚するくらい日本人の子どもたちがいて不思議な感覚でした。日本から取り寄せた教材を使って、英語、算数、国語を習うことができます。こちらにいると平仮名を習うことがなかったり、インターナショナルスクールでは数字を読むときももちろん英語を使うので、日本語の数字の読み方に慣れていなかったりします。例えば我が家の長男の場合、時計を見て「10時」を「テンオクロック(ten o'clock)」と言うことはできるのですが、「ジュウジ」と言うにはイチから数えていかなければ分からないと言うのです。まだ英語も沢山喋れないような長男でさえこういった状況です。この塾では、そういった部分を埋めてくれるのが良いなと思いました。

インターナショナルプレスクールに通う日本人ももちろんですが、ジャカルタ日本人学校(JJS)幼稚部の子どもたちも通っていたりします。聞くところによると、JJSでは思いっきり遊ぶことに重点を置き、平仮名を習うことがないそうです。しかし小学校に入ると当然勉強することになるので、事前に塾で習わせる親もいるようです。

担当してくれる先生はほとんどインドネシア人ですが、もちろん日本語が話せて読めます。なにか相談したいことがあれば日本人の先生とお話しすることもできます。体験入塾の時は嫌々通っていて、結局そのまま入塾はしなかった長男ですが、最近になってお友達も通っているという理由で自分も通いたいと言いはじめました。交通渋滞が激しいジャカルタにおいて、習い事の場所は重要なポイントになるのですが、中心部に住んでいる我が家にとって、ジャカルタ南部にあるこの教室に通うには往復2時間弱かかります。渋滞がひどい日には片道で2時間かかったこともあると聞きました。

そして、もし通い始めたら毎日家庭でもこつこつと勉強しなければいけません。小学校に向けて机に向かう習慣を作ることは良いことだと思う一方、幼児のうちはまだ遊んでいるだけで机での勉強はしなくてもいいのではないかという思いもあり、私の気持ちは揺れている状態です。

我が家の事情はどうであれ、ジャカルタにいて日本式の塾に通うことができるのは、日本人の家庭にとっては心強いことだと思いました。

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学習塾の教室

いずれにしても、ジャカルタでの習い事には、深刻な渋滞問題と闘いながらの送迎がついてまわります。それでも我が子に何かを身につけさせてやりたいという親心(親のエゴかもしれませんが・・・)。子どもにプレッシャーにならない程度に、私も一緒に楽しめたらと思っています。

筆者プロフィール
岸田佐代子(きしださよこ)
メーカー勤務から地方局契約アナウンサーを経て結婚と同時に夫の赴任先のアメリカ・ジョージア州へ転居。
帰国後フリーアナウンサーとしてリポーターや司会の仕事を行い、2012年夫の転勤に伴いインドネシア・ジャカルタへ渡航。現在に至る。
2児の母。趣味はテニス、ヨガ。
愛犬はトイ・プードル。
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