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論文・レポート

【ジャカルタ子育てジャーナル】 第4回 ジャカルタのお手伝いさん事情

岸田 佐代子

2017年3月10日掲載
我が家のお手伝いさん事情

「インドネシアに住むの!?お手伝いさん雇えるのが羨ましい!」
夫の転勤が決まったときによく友人に言われたことです。インドネシアでは、駐在日本人や現地の富裕層の家庭ではお手伝いさんを雇っている家庭が多くあります。また、中間層のインドネシア人もお手伝いさんをお願いする家庭も多くあるようです。住み込みから、洗濯、アイロンがけのみお願いするなど形態は様々です。しかし私は、人を雇うことへの抵抗感や、家事を代行してもらう後ろめたさもあり、ジャカルタに来てもお手伝いさんをお願いする気持ちにはなれませんでした。

そんな日々が3年近く続きましたが、あるきっかけがありお手伝いさんに来てもらう決心をします。それは第2子の妊娠中に、飼い犬の世話をどうするかという問題でした。私が出産のため帰国する約半年間、夫だけでは犬の面倒を見ることが難しいので、日中お散歩と餌やりをしてくれ、さらに夫の洗濯、アイロンがけと、できれば食事を作ってくれるお手伝いさんを探す必要が出てきたのです。ところがここはインドネシア、イスラム教の国です。ムスリムにとって犬は不浄の生き物、犬の世話をしてくれるお手伝いさんは極端に少ないのです。出産のための一時帰国のタイムリミットが近づく中、結局お手伝いさんは見つからず、犬を日本へ連れ帰る決心をしました。再度インドネシアに入国させることは、検疫の関係でとても大変なので、そのまま夫の実家に預けることにしました。こうして犬の世話のためのお手伝いさんの必要はなくなったものの、ジャカルタに戻った後の2人の子どもの育児が大変になることや、私がいない間の夫の負担を減らすことを考え、結局お手伝いさんに来てもらうことにしました。

我が家のお手伝いさんの仕事内容は、以下の通りです。

  • 洗濯、アイロンがけ
  • 食器洗いやキッチンの片づけ
  • 調理の補助
  • 子どもの世話(私がいない時間や私が料理をしている時間)
  • その他何かあるたびにお願いする雑務

お手伝いさんに来てもらうまで、私はアイロンをほとんど使っていませんでした。夫のワイシャツはクリーニングに出して、その他は手アイロン・・・。たたむ際に手でプレスしておしまいです。ところが、お手伝いさんは下着にまでアイロンをかけてくれて、Tシャツも毎日ピシッとアイロンのかかったものを着ることができ、気持ちもシャキッとします。下着にまでアイロンをかける習慣には驚きました。今よりさらに衛生状態が悪いころからの習慣で、殺菌の意味があると聞いたことがありますが、真偽のほどはわかりません。下着まで他人に洗ってもらうの?!と驚く人も多いかもしれません。私もその1人です。しかし慣れとは怖いもので2週間で抵抗感がなくなりました。

我が家のお手伝いさんはなんと日本食を作ることができます。長年日本人のもとで働いてきたので、その過程で覚えたようです。インドネシア人向けの、日本語とインドネシア語両方で書かれた日本食レシピの本(JJCジャカルタジャパンクラブ発刊)も売られているので、そういったレシピ本を見て覚えたりしているようです。私はなるべく自分で料理をするようにはしていますが、お手伝いさんにお願いすることもあります。肉じゃがやきんぴらなどは私が作るよりも美味しいかもしれないと複雑な思いです。

また、私がいないときや料理をしている間に子どもを見ていてもらうこともあります。ジャカルタに住む日本人は、お手伝いさんに家事だけでなく子どもの世話をお願いすることも多いようです。週に1度マンションの中で行われるヨガクラスは、お手伝いさんなくしては参加することができないのでとても助かっています。とはいえ、正直な気持ちとしては、他人に子どもを預けることは、何か事故があったらと考えると心配です。お手伝いさんに子どもの世話もお願いする人は、常にそのジレンマと戦っているのではないでしょうか。私もその1人です。現にお手伝いさんや、ベビーシッターによる虐待の話も新聞で読んだことがあり、人から話を聞いたこともあります。

また、部屋に他人を入れるということは所持品の管理もしっかりしなければいけません。文化の違いに戸惑うこともあります。時間の感覚のずれや、衛生面では外から来てすぐに手を洗ってくれないことや雑巾を洗濯物と一緒に洗っていたことなどもありました。そういった点で、お手伝いさんを雇わない人もいるのだろうと思います。

このように、いろいろな良い面も心配な面もありますが、お手伝いさんに来てもらっている今、子育てや家事へ取り組む私自身の気持ちの余裕が以前とは違うことに気が付きました。お手伝いさんに家事をお願いしている間に子どもと過ごす時間が増え、お互い笑顔でいられることが、お手伝いさんを雇って良かったと思うところです。

お手伝いさんの働き方パターン

一口にお手伝いさんと言っても、様々な雇用形態があります。

  • ①住み込みで朝から夜までサポートしてもらう
  • ②通いで朝から夕方まで働いてもらう
  • ③1日数時間、又は週に2~3日

富裕層のインドネシア人に限らず、日本人を含めた外国人も、住み込みでお手伝いさんに働いてもらう人がいます。ジャカルタにはお手伝いさん用の部屋を備えている住宅やマンションが多くあります。住み込みのお手伝いさんだけでなく、通いの人もその部屋でアイロンがけをしたり、休憩したり、お祈りをしたりします。

日本人がお手伝いさんをお願いするときは②か③のパターンが多いようです。やはり日本人は、同じ家に他人が常にいることに慣れていないので、抵抗感がある人が多いのかなと思います。我が家では③のパターンでお願いしていて、1日4時間、月曜から金曜まで来てもらっています。

お手伝いさんの賃金

お手伝いさんの賃金は、雇用側の人種や家族の人数、部屋の広さ、そして雇用形態によって大きく異なります。また、お手伝いさんが英語を話せるかどうかも、大きな賃金の差になります。

日本人の感覚からは考えられない安さで働いてもらうことになり、申し訳ない気持ちもあります。インドネシアの貧富の差は日本のそれとは比較にならないほど激しく、戸惑うこともしばしばです。

インドネシア人家庭のお手伝いさん事情

同じマンションの別のご家庭で働くお手伝いさんと子どもの遊び場で話をする機会があります。マンション内の子どもの遊び場に来る子どもたちは、半数以上がお手伝いさんと一緒に来ていて、親がついてきません。中には両親共に働いているため、お手伝いさんが赤ちゃんのすべてのお世話をしている家庭もあります。「生まれて間もない時から寝るときも一緒で、ミルクを数時間ごとに与えているの」とお手伝いさんから聞くことがありました。勤め先の子を我が子のように溺愛しているのを見ると、複雑な思いに駆られます。お手伝いさんの中には、田舎に自分の幼い子どもを預けて、出稼ぎでジャカルタに来ている人が多くいます。

また、ショッピングモールなどで母親はゴージャスな恰好をして1人で歩き、ベビーシッターさんが子ども1人につき1人ついている光景をよく目にします。そしてレストランでは、親は談笑して食事をしている中、ベビーシッターさんがタブレットPCの動画にくぎ付けになっている子どもに黙々とご飯を与えている場面もよく見かけます。口だけが動いている子どもの様子は異様な感じさえします。インドネシアの富裕層は皆そういうものかと思っていると、また違う意見も聞くことができました。40代で3歳の子どもを育てている、あるインドネシア人の母親は、「若い人たちはお手伝いさんに子どもを任せ過ぎる」と言うのです。「お手伝いさんは基本的に母親の補助であり、すべてを任せるのは良くない」と言っていました。その人に、母親が働いている場合はどうするのかと聞いたところ、基本は母親の親、子どもの祖母に来てもらい、子どもが少し大きくなるまで(3才から4才と言っていました)同居又は近くに住むことが当たり前だったということです。日本も核家族化が進んでいますが、ここインドネシア、特に首都ジャカルタでも核家族化が進んでいるのが現状なのかもしれないと思いました。

また、お手伝いさんやベビーシッターさんは、他人の子どもを預かっているという事もあり子どもを叱らない人が多いので、ずっとそういった環境で育つ子どもはどう成長するのだろうかと考えることもあります。なんでも言う事を聞いてくれる大人がそばにいることは、子どもにとってマイナスの部分が多くあるのではないかと思います。

お手伝いさんのメリット、デメリットを常に考えながら、家族、特に子どもにとって一番良い選択をしていけたらと思います。

筆者プロフィール

岸田佐代子(きしださよこ)
メーカー勤務から地方局契約アナウンサーを経て結婚と同時に夫の赴任先のアメリカ・ジョージア州へ転居。
帰国後フリーアナウンサーとしてリポーターや司会の仕事を行い、2012年夫の転勤に伴いインドネシア・ジャカルタへ渡航。現在に至る。
2児の母。趣味はテニス、ヨガ。
愛犬はトイ・プードル。
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