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論文・レポート

【スウェーデン子育て記】 第19回 子どもの悩み相談

下鳥 美鈴

2017年2月24日掲載

2017年の春学期が始まりました。春学期とはいっても、季節は冬真っただ中です。それでも日を追うごとに日の出の時間は早くなり、空が明るくなっていくのが感じられます。ストックホルムはマイナス気温の日が続いていますが、子どもたちにとっては毎日スケートができる楽しい季節です。

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冬の日の夕焼け
ヒミツができるお年頃

娘が小学校の高学年になってから度々思うことですが、娘や同学年の女の子たちの心の成長が著しく、急に「お姉さん」になったんだなあ、と驚くことが多くなりました。以前は娘がお友達を家に連れて来ると、リビングでオモチャをひろげて遊んだり、外に出て遊ぶことが普通でした。母親である私は子どもたちが何をしているのかすぐにわかりましたし、娘たちのクラスで何が流行っているのかとか、何に夢中になっているのかを知っていました。しかし高学年になった今は、お友達が遊びにくると娘たちは自分の部屋に行ってしまい、静かに遊んでいることが増えました。きっと親や小さな妹に邪魔されたくないのだろうなと思います。お友達同士でヒミツの話もあるのでしょう。これも成長の過程のひとつだと理解はしていますが、ちょっぴり淋しいような気がしています。同年代の子どもをもつお母さんたちに聞くと、やっぱり似たような経験があるそうです。特に女の子はすでにティーンエイジャーのような言動が増えているようです。

とはいえ、子どもの生活の様子に注意を向けることは親の責任であると思います。子どもが小学生であれば当然のことです。しかし学校での様子を知ることは少しずつ難しくなっているなと感じています。スウェーデンのほとんどの家庭は共稼ぎであるため、小学生の多くは放課後を学童で過ごすことが普通です。低学年のうちは親が仕事を早めに終わらせてお迎えに行くことがほとんどなので、その時に学校の先生から子どもの一日の様子を聞くことができます。しかし、小学校の高学年になると多くの子どもは自宅のカギを親から預かって、一人で家に帰ってきます。親は学校へのお迎えの必要がなくなってきたので、娘の学校での様子を直接見聞きする機会も減りました。学校からの必要な連絡事項や宿題の内容などは、インターネットを通してお知らせされるようになっています。それはつまり、子ども自身から最近の様子を聞かない限り、学校で起こっていることや、最近娘が興味をもっていることなどを知ることが難しくなるかもしれないということです。

悩みは誰に相談するのか

娘の心の成長にともなって、少しずつ親離れしていくことは当然のことですが、まだまだ子どもです。娘が自分から好きなこと、嫌いなことを家庭で話せる環境は整えておいてあげたいなと思います。とくに何か困ったことや悩みがあったとき、家で相談する相手がいることは必要です。「子どもの権利」をとても重要視するスウェーデンでは、子どもの心の悩みには丁寧に対応するという意識が高いと思います。

スウェーデンの統計局(www.scb.se)が2009年に行った調査報告では、10歳から18歳までを対象とした「悩みを誰に相談するか」という質問に対して興味深い結果があります(資料1)。

女子
10~12歳13~15歳16~18歳
母親87%友達73%友達73%
父親62%母親68%母親58%
友達43%父親41%父親32%
男子
10~12歳13~15歳16~18歳
母親81%母親72%母親59%
父親68%父親61%友達57%
友達28%友達41%父親47%

まず家庭のなかでは、相談相手となるのは一番に母親であることは、男女ともにどの年齢でも共通しています。しかし女子は年齢が上がるにつれて、友達に相談することが増えています。それに対して、男子は成人する18歳になるまで母親に相談することが一番多いということです。家庭内での母親の信頼度は絶大なのでしょうね。しかし父親の役割も同様に大きく、子どもたちにとっては大事な相談相手のようです。子育てにおいて父親の参加が当然とされている環境の成果でもあり、スウェーデンのお父さんたちが自発的に子どもとコミュニケーションをとっていることの結果かもしれません。また、兄弟のいる子どもでは、約20%の女子と約15%の男子は自分の兄弟と話をするそうです。そして全体の約3%は特に誰にも相談しないとか。まずは自分の中で問題を解決しようとしているのでしょうか。

ちなみに日本でも似たような調査が内閣府から発表されています(資料2)。平成18年3月に小学校4年生から中学校3年生の男女を対象として、悩み事などの相談相手を聞いています(複数回答可能)。それによると、相談相手として母親を挙げた子どもの割合は全体で64.8%と最も高く、それに続いて友達(58.7%)、父親(29.5%)、学校の先生(18.7%)、兄弟(17.1%)などの順となっています。日本の子どもたちにとっても、母親が一番の相談相手であることは変わらないようですね。また、スウェーデンの調査と同様に、中学生女子では同性の友達に相談することがとくに多くなるそうです。それから、誰にも相談することは無い、と答えた子どもは全体の5%となっています。

この先、娘たちがティーンエイジャーになるとたくさんの悩みが増えてくることは間違いありません。両親には話せない悩みもでてくると思いますが、子どもが相談相手を必要とした時にはいつでも耳をかたむけてあげられる距離にいたいな、と思っています。



資料1 http://www.scb.se/sv_/Hitta-statistik/Artiklar/Oroliga-barn-pratar-oftast-med-mamma/
資料2 内閣府「低年齢少年の生活と意識に関する調査」
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu.htm

筆者プロフィール

下鳥 美鈴

東海大学文学部北欧文学科卒業。ストックホルム大学で修士課程を終え、ウメオ大学(スウェーデン)で博士課程を修了。言語学博士。
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