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【宝宝、ニーハオ!-上海子育て記】 第10回 幼稚園は一年中楽しいイベントがいっぱい

息子が日本で保育園に通っていた当時は、まだ彼が0歳児クラスだったということもあって、親が行事に参加する機会はほとんどありませんでした。しかし、こちらで現地インターナショナル幼稚園に通わせてみると、頻繁に何かしらのイベントがあり、思った以上に忙しい日々になりました *1
今回は、上海のインターナショナル幼稚園でのイベントの様子についてお伝えします。


大人も楽しめるコンサート

息子の通っているインターナショナルスクールのビッグイベントは、何と言っても、学年末である5月に行われるスプリングコンサートと、12月のクリスマスコンサートです。歌とダンスを披露する学芸会のようなもので、我が子の晴れの舞台ということもあって、この時ばかりは、母親だけでなく父親もビデオ片手に参加します。
ダンスや歌の選曲がビートルズだったり、バレエで「眠りの森の美女」をテーマに踊ったり、けっこう大人も楽しめる内容です。初めは何をするにもおぼつかなかったちびっこたちが、だんだんしっかりと歌ったり踊ったりできるようになる姿に子どもの成長の早さを実感、毎回涙が出そうになるのを我慢するのに一苦労なのは、私だけではないと思います。

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2013年のクリスマスコンサート


ハウス制度で盛り上がる「スポーツデイ」

日本では運動会は幼稚園での大きなイベントの一つではないでしょうか。
こちらでは運動会はないのですが、体育の授業の延長のような、スポーツデイと呼ばれるイベントが不定期に開催されます。
内容は毎回違い、その時によってリレー競技をやったり、コップで水を運ぶレースをしたり、玉入れのような競技のこともありましたが、いつもだいたい1時間ほどで終わります。運動会を予想していくと、あまりにもあっさり解散となってしまうので、初めて行った時には本当に拍子抜けしました。
それでも、今年からはハウス制度というのを取り入れ、幼稚部から高等部までが縦割りで4チームに分かれ、年間でポイントを争っているので、スポーツデイも以前より盛り上がるようになりました。
これによって個人の勝ち負けだけでなく、チームメイトを応援する、チームワークを育むことを学んでいるのでしょう。普段の教室での活動も、何かとハウスごとで行って団結力を高めているようです。
先日は、その時点で獲得ポイントが1位のハウスの生徒たちは、1日だけ私服を着て登校してもよいというご褒美が与えられました。(幼稚部の生徒にはよく意味が分からなかったようですが、中学生、高校生にとっては制服じゃない1日は新鮮だったはずです!)

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それぞれのハウスTシャツを着て。
メダルをもらって大喜び!
水をコップに入れて運ぶレース


一年で一番楽しいイベント、ハロウィン!

子どもたちにとって一年で一番楽しいイベント、それは文句なしにハロウィンでしょう。学生時代、日本に来たアメリカ人の留学生たちがハロウィンだ!ハロウィンだ!と大騒ぎすることを不思議に感じていましたが、実際に息子たちのはしゃぎぶりを見ると、みんな子どもの頃からずっと好きだったのだなということがよく分かりました。
この日は子どもだけでなく先生も保護者も、朝から思い思いに仮装をして登校し、クラスごとに校庭をパレードした後、教室を巡ります。教室には中学生、高校生のお兄さんお姉さんがちょっと怖い格好をして待っていて、「Trick or treat?」と言う子どもたち一人一人にお菓子をくれます。
その後はお楽しみのゲームタイム。お化け屋敷や、ボーリングやボール当てなど、小さい子でも挑戦できる手作りのゲームが校庭やホールにたくさん用意されていてみんな大興奮。袋いっぱいのお菓子をもって走り回る子どもたちの顔には、大きく"HAPPY!!"と書いてあるようです。
ちなみに、中国ではハロウィンは一般的にはまだよく知られておらず、盛り上がっているのは外国人が集まるところに限定されているようです。

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クラスごとに仮装パレード
飾り付けされた校内


中国の新年、春節から中国文化を学ぶ

カリキュラムはアメリカ式と言っても、子どもたちは折に触れて中国の文化を学んでいるようです。その一つが、春節のお祝いです。春節のお祝い会が開かれる前の週に、子どもたちは今年の干支の馬の工作をしたり、马(馬)という漢字を習ったり、春節とは何かなどについて教えてもらっていました。
そして当日は、赤と黄色の獅子が校庭にやってきて獅子舞を披露、子どもたちが大喜びしたところで邪気払いの爆竹が鳴らされ(びっくりして泣きだす子どもも!)、最後にこの地方で新年に食べるお団子、湯円(タンユエン)がふるまわれました *2

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中国の獅子舞「舞獅(ウーシー)」
もち米で作った湯円。ゴマ餡が入ったものと生地にゴマが練りこんであるもの


参加は自由!

他にも年間を通じて、工場などへの社会科見学、バスでいく郊外への遠足、毎月の誕生日会、各国の文化を学ぶインターナショナルデイ、理科について学ぶサイエンスフェア、個人面談など、親も参加できるさまざまなイベントがあります。
できるだけ見に行きたいと思っているのですが、困ったことにイベントの開催日はその都度2、3週間前にならないと確定されません。1週間前になって「来週月曜日は遠足です!」などと言われると本当に焦ります。
きっと日本の幼稚園などでは、こういった行事は年間スケジュールで数か月前から日にちが決定しているのではないかと想像するのですが、どうなのでしょうか。
しかし逆に良い点としては、両親共に働いている家庭も多いので、基本的に保護者の参加不参加が自由なことです。行ってみたら保護者は3人しかいなかった、ということも珍しくありません。イベントだから必ず行かなくちゃと気負うことなく、参加できるときだけ行けばいいというスタンスでいられるのは、ずいぶん気が楽であることは確かです。だからこそ、日程もアバウトなのかもしれません。


経験という財産

自宅から近いということもあり、入園以来、我が家の(主に私の)こういったイベントへの参加は、ほぼ皆勤賞でした。家とは違う子どもの様子を見たい、その成長を確かめたいというのが一番ですが、後で写真を見ながらその時のことを家族で一緒に話すことも楽しいものです。
また、そうすることによって、幼い息子の上海での思い出が、より深く心に残ればいいなとも思っています。もう少しで5歳になる彼は、いったいどのくらい上海での出来事を覚えていてくれるでしょうか・・・?
たとえばそれがほんのわずかであったとしても、日本ではできないさまざまな経験は、将来彼にとって代えがたい財産になることでしょう。私たち親がしてあげられることは、なにより一緒に楽しむこと!そう思って、引き続き積極的にイベントには参加しようと思っています。(と、言ってるそばから来週サイエンスフェアがあるという知らせが・・・。)


  • *1. 日本人駐在家庭では母親が仕事をしているケースは非常にまれですが、現地中国人家庭、外国人家庭では母親も仕事をしていることが多く、育児は祖父母、もしくはアイさんが担当しています。イベントに祖父母やアイさんが来る場合もあります。
  • *2. 上海では湯円を食べますが、北京など北の方では餃子を食べるそうです。
筆者プロフィール
石橋 貴子

チャイルド・リサーチ・ネット日本語版・英語版編集、外資系企業勤務を経て、2011年6月より夫の転勤に伴い上海在住。
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