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【ニュージーランド子育て便り】 第14回 ブルーベリー摘み

要旨:

ニュージーランドでも小さな子どもたちに収穫体験をさせたいと思う親が多いようである。夏場は、ブルーベリーやイチゴの収穫体験は人気があり、多くの家族が訪れている。先日、私たち家族もブルーベリーファームでバケツいっぱいの収穫をしてきた。ニュージーランドでの収穫体験の様子を紹介する。

日本でも、さつまいも、イチゴ、みかんなどの収穫体験は子育て家族に人気なようですが、ニュージーランド(以下、NZ)でも、自分で収穫する体験をPick Your Own(略語でPYO)と言い、特にイチゴとブルーベリーは人気があります。年末の休暇を使い、私たち家族もブルーベリー摘みの体験をしてきました。

イチゴ、ブルーベリーは、夏の期間が収穫時期にあたり、イチゴやブルーベリーの出来具合によってPYOができるようになります。日本と同じように、普段スーパーで買う食べ物がどのように育てられているのか、身をもって体験させたいという親も多いようです。子どもたちの夏休みにあたるこの時期、多くの子どもたちがベリー摘みに訪れます。例年1月から始まることが多いようですが、この夏は少し早くできたようで12月の末から始まっているところがたくさんありました。イチゴもブルーベリーも娘の大好物です。今回は小旅行も兼ねて、天気予報で曇りの日を選び、少し遠くのブルーベリーファームに行くことにしました。

少し話は逸れますが、曇りの日を選んだのは、少しでも日差しを避けるためです。NZの紫外線はとても強く、夏場のUVインデックス(指数)*1では紫外線が「極端に強い」日々がつづきます。紫外線に関わる疾患にかかる人の割合は、他の国に比べても高いようです。‟Slip Slop Slap & Wrap"(着よう、日焼け止めクリームを塗ろう、帽子を被ろう、サングラスをかけよう)というスローガンがあったり、9月から4月まではSun Protection Alertといって紫外線注意報が出されるなど、紫外線対策の意識を高めるための試みがされています*2。こうした注意喚起のおかげか、少しずつ意識が高まり最近は10時~15時はビーチで遊ばない人が増えているそうです。娘にも「NZの太陽から身体を守る」ことを教えています。

さて、オークランドから車で約1時間半、約200キロ離れたファームに着きました。PYOをしたい旨を伝えると、まずは、ブルーベリー摘みの方法を教えてもらえます。ブルーベリーは、十分熟しているものは力を入れなくてもすぐに外れるので、そういったものをなるべく木の下の方から選んで収穫するそうです。説明を聞いてすぐのうちは、娘も、緊張しながらブルーベリーを採って味見をして「美味しい」とか「すっぱい」とか言っていましたが、それも最初のうちだけ。親子共々次第に無口になり、黙々と収穫しました。時間がたつにつれて、バケツ片手に慣れた手つきで美味しいブルーベリーを見分けて収穫している娘が、とてもかわいく頼もしく思いました。普段は虫が大嫌いなのですが、ブルーベリーの美味しさを前に、ミツバチが飛ぼうが蜘蛛がいようが、あまり気にせずブルーベリーを採っている様子も意外でした。そんな小一時間を過ごし、バケツいっぱい、約3キロのブルーベリーを収穫しました!

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ブルーベリー収穫中

このファームは収穫分だけ支払いをするというシステムだったので、収穫中は食べずに(多少の味見は良いそうです)、ひたすら収穫を続けました。3キロ弱収穫したブルーベリーは全部で$30(約2,500円)程度でした。こうしたシステムもファームによって異なり、収穫しながら食べても良いところはPYOのための入場料が発生するようです。

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約3キロのブルーベリーを収穫

PYOを受け入れているところでは、NZらしくアイスクリームも食べられるようなカフェが併設されているところが多いようです。このファームにも素敵なカフェが併設されており、美味しい料理、美味しいブルーベリーアイスクリームが食べられました。カフェには子どもが遊ぶような小さな家、ウサギ小屋、黒板などがあり、訪れていた子どもたちは、親がカフェでのひとときを過ごす間楽しく遊んでいました。子連れにとっては、本当に良い場所だなぁ・・・としみじみ思いました。娘は「ブルーベリーピッキング、楽しかったねー。いっぱい採ったねー。」と何度も繰り返し言っていました。子どもにとっては、とても楽しく充実した経験だったようです。

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広大なブルーベリーファーム

今回訪れたこの広大なファームの歴史は意外と浅く、1985年にオランダから移住してきた家族が作り上げたものだそうです。30年の家族の努力で、完全無農薬、化学肥料なしのブルーベリー畑を大きくし、地域にこんなに素敵な場所と時間を提供でき、そして世界中に輸出しているなんて...と私たち夫婦もまた感心しました。美味しい、楽しい、と無邪気な娘も、いつかそんなことを考える日がくるでしょうか。年末の日帰り旅行はとても充実したものになりました。そして、PYOの魅力に取りつかれた私たち親子は、後日オークランドのイチゴ摘みにも行ったのでした。

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イチゴ摘み


筆者プロフィール
村田 佳奈子

お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(教育学)。資格・試験関連事業に従事。退社後、2012年4月~ニュージーランド(オークランド)在住。
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