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【双子のいる生活】 第10回 双子と暮らす(1)

要旨:

双子と暮らす毎日は、一体どんなものなのだろう?双子の妊娠を知った時、喜びよりも不安を感じた。育児書には口をそろえて「双子の子育ては大変!」と書かれている。しかし、実際に1年経験して感じることは、「案ずるより産むが易し」である。だんだんと馴染み、お互いに学び、育ち、いつの間にか、双子がいる生活が私と私の家族にとってスタンダードとなった。双子が乳児のころの平均的な一日のスケジュールを紹介。お風呂の入れ方については、成長段階別にアドバイスする。また、寝かしつけの様子について、車・ベビーカー・抱っこ紐を使用しての外出について、外出時に困ったこと、外出時に持っていく物などについても紹介する。

双子と暮らす毎日は、一体どんなものなのだろう?2人の赤ちゃんを抱え、やっていけるのだろうか?

生まれる子どもが双子であることが分かって、私は喜びよりも不安を感じました。数少ない双子の育児書を読むと、異口同音に「大変だ」と書いてあり、ますます不安になりました。二人の赤ちゃんを同時に育てるという、得体の知れない「大変さ」に、妊娠中の私はずっと怯えていました。

でも、実際に双子を産み育てる中で、私は「案ずるより産むが易し」だったと心から思います。確かに、同時に二人を育てるのですから、「大変」でないといえば嘘になるでしょう。でも、突然、双子を与えられ、さぁ世話をしてください、というのではなく、双子は私といつも一緒で、だんだんと馴染み、お互いに学び、お互いに育ち、いつの間にか、双子がいる生活が私と私の家族に取ってスタンダードとなっていきました。


それを最初に実感したのは、双子が生まれてちょうど一ヶ月経ったときのことでした。一ヶ月健診で訪れた産院で、次女(双子の妹)に誤ってミルク用のお湯でやけどを負わせてしまい、次女はそのまま8日間、入院してしまいました。次女の入院中、自宅でのお世話は長女だけ。楽に感じるかと思いましたが、思いがけなく私が感じたのは、物足りなさと淋しさでした。赤ちゃんが一人だと、沐浴もあっという間に終わります。なんだか物足りない。おっぱいも、長女一人では余ってしまう。長女は母乳をどんどん飲んで、次女より小さかったのに、入院中は3時間ごとに120mlのミルクを飲んだ次女よりも、長女の方が重くなっていました。いつも並んで寝かせていたところがぽっかりと空いて淋しい。たとえ大変でも、早く次女が帰って来て欲しい。いつの間にか、私は双子ママになっていたのだと、その時、思いました。

はい。確かに、双子の育児は大変です。けれど、夜中にスヤスヤと眠る二つの寝顔を見守る時、二人の赤ちゃんから同時ににっこりと笑顔を向けられた時、双子ママだけに与えられるこの密やかな贅沢は、なにものにも代えられない幸せです。

それから、1年。まだまだ現在進行形の育児ですが、双子の赤ちゃんと暮らす私なりのコツを書いてみたいと思います。

 report_09_12_1.jpg
二人の笑顔にママは力をもらっているよ。
二人の笑顔にママは限りない幸せを感じているよ。


双子と暮らす一日

二人が乳児の頃の平均的な一日の流れをご参考までに書いてみます。核家族で人手不足なので、私が心がけたのは、二人の生活リズムをそろえることと、生活の流れを変えないことでした。同じタイミングに昼寝をさせることで、家事や自分のための時間が出来ます。

6:00 授乳
7:00~8:00 起床、息子を小学校に送り出す、双子の着替え・オムツ替え
(夫:夕食をつくる)
ママは朝ごはん。
8:00~10:00 ご機嫌のいいうちに、家事を出来るだけ片付ける!
洗濯・布団干し・掃除機かけ
10:00前後 離乳食(初期の1回めはここからスタート)
10:00~12:00 双子を連れて外出。行き先は、近所の児童館やスーパー、公園など。
電車などに乗っての遠出は、この時間帯に。
12:00~13:00 授乳&昼寝。午前中の外出でたっぷり遊んで、双子はスヤスヤ夢の中。
ママは、双子が寝ている間に昼ごはん。
13:00ごろ 離乳食(後期になって3回になったらここで)
13:00~15:00 来客、買い物、病院、小学校の行事などは出来るだけこの時間帯に。
特に用事がない時は、散歩などにでかけます。
15:00~17:00 授乳&昼寝(午後の昼寝はしっかりと昼寝をさせます)。
私も少し一緒に眠って疲れを撮ります。ここでたっぷり寝かせておくと、一番忙しい夕方から夜の時間にてこずりません。
17:00~19:00 息子が小学校・学童クラブから帰宅。ママは、夕食の準備。
双子は離乳食(中期の2回めはここで)。息子と私も夕食。
19:00~20:00 夕食後は、双子をかまいながら、息子の宿題を見たりして過ごす。
お風呂に入れる。
21:00 授乳&寝かしつけ。
* 子ども達が寝たら、私の時間。ハーブティーを飲みながら、ネットやメール、読書やテレビなどを楽しむ。双子がいつ起きるかわからないので、どこかヒヤヒヤしている。
* 私は、0:00am頃に就寝。
* 夜間は、0:00am頃、4:00am頃に夜間授乳。



お風呂に入れる

「赤ちゃんは新陳代謝が激しいから、毎日お風呂に入れてあげましょう。」育児書には、たいていこう書いてあります。それが、双子ママを追い詰めます。季節にもよりますが、毎日、必ず二人とも入浴させなくても、大丈夫です。疲れた時は一日ごとに一人ずつ入れてもいいのです。シャワーだけでもいいし、蒸しタオルで身体を拭いてあげるだけでもさっぱりします(首や脇、お尻や脚の付け根など、汚れがたまりやすい場所は念入りに)。


新生児期~生後2ヶ月ごろまで

我が家では、台所のシンクに収まるタイプのベビーバスを利用。ヘルパーさんや夫と一緒に、原則、毎日二人を順番に入れていました。洗濯の手間を省くために、沐浴布は使わず、今まで来ていた短肌着を身体にかけて、沐浴をしました。洗浄剤は、最初から泡で出てくるベビー用の物を使って、出来るだけ洗う負担を減らしました。

一人を入れたら、着替えまで済ませて、もう一人を入れました。疲れた時や、一人の機嫌が悪かったり、眠っていたりでタイミングが合わない時は、躊躇なく、その日の沐浴は止めました。

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双子で小さめなので、ベビーバスもゆったり。片手で軽々。


生後3ヶ月ごろ~たっちするまで

小さめに生まれた双子でも、さすがにベビーバスでは小さくなり、季節も夏だったので、その後は浴室で大人と一緒にシャワーを浴びました。寒くなったら、風呂を沸かしました。やはり、基本は一人ずつ順番に入れていました。

バスチェアーなども購入しましたが、濡れた椅子に座らせると火がついたように泣き、かえって大変なので、我が家の場合はお蔵入り。膝の上に双子を寝かせて、髪の毛、顔、身体と、一気にジャブジャブ洗って、一丁上がり!

ハイハイで移動するようになると、待っている子は、居間に設置したベビーサークルの中で待たせていました。ここでお兄ちゃんのヘルプ。双子たちは、兄のテレビゲームがお気に入りで、少しの間は機嫌よく見ているので、兄にテレビゲームをやってもらいながら、一人を見守ってもらいました。兄も、テレビゲームができるので役得。

双子ママの友人は、子ども向けテレビ番組を録画しておき、待たせている間はそれを見せていたそうです。風呂の中で浮き輪をつけて、一人を待たせるという方法もあるようですが、おぼれる事故の危険性があり、奨められません。


一人で立てるようになってから

一人で立てるようになってからは、二人を一緒に風呂に入れることが出来るようになり、ぐっと楽になりました。二人を風呂の縁につかまらせ、一気に身体を洗います。その後、私が風呂の中に入り、二人とも風呂の中に入れて抱っこして温まります。二人から決して目を離さず、おぼれないように細心の注意を払います。

一人で歩けるようになると、しゃがんだり、立ったり、座ったりの動作が安定します。1歳3ヶ月の今は、二人にとって入浴タイムは、シャワーの湯やおもちゃで遊べる楽しい時間です。

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初めて二人を同時に風呂に入れた日。
初日はビックリして大泣きしたけれど、すぐに慣れました。


寝かしつけ

二人の生活リズムをそろえると、眠くなるタイミングもそろってきます。我が家の場合は、20時過ぎに風呂に入れ、身体も温まって眠くなったところで、部屋を暗くし、決まった音楽をかけ、二人を抱いて授乳をします。最初は勢いよくおっぱいを飲んでいますが、二人ともほぼ同じタイミングでそのペースが遅くなり、コトンと眠りに落ちていきます。もし、おっぱいだけでは眠れなくてぐずっていたら、ミルクを足しました。ミルクを飲ませ、並べて寝かせて胸をトントンと叩いていると、眠りに落ちていきました。

もし、どちらかが寝入ることができず、ぐずったら、抱っこ紐に入れて完全に寝るまで抱っこしました。抱っこ紐やおんぶ紐は、赤ちゃんが寝入った時に、赤ちゃんを布団に降ろし、起こさずに外すことができる機能のある製品を使っています。

もし、二人とも寝入ることができず、夜泣きしてぐずった時の最終手段は、ベビーカーに乗せて夜の散歩に行きました。

抱っこやおんぶ、散歩は出来るだけ避けたいので、とにかく、二人の生活リズムをそろえて、日中、たっぷり遊ばせて、夜は二人が同時にすぐに寝入るように心がけました。

二人が低月齢の頃、母乳の出ない夫は、綿を詰めた哺乳瓶の乳首を吸わせて寝かせました。専用のおしゃぶりは、我が家の双子達は好みませんでした。低月齢で寝返りを打たない頃は、ラックやバウンサーなどに寝かせ、揺らして寝かしつけたりもしました。

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抱っこ紐で寝かせて、そのまま布団へ降ろす。

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こちらの抱っこ紐も、赤ちゃんが寝たらそのまま外すことができる機能がついている。


外出

「双子ママは、何も用事がなくても、一日一回は外へ出て、外の空気を吸いなさい。」これは、双子の先輩ママでもある小児科医に言われたことばです。

もともと、家で過ごすのが嫌いな私。双子を出産し、産褥期こそじっとしていたものの、手術の傷が癒え、母乳育児も軌道に乗った生後2ヶ月位から、少しずつ、双子を連れて外に出始めました。一人で双子を連れだすのは、最初は大変な冒険に思われました。一緒に外出できるご家族や友人などがいればよいですが、ここでは、一人で双子を連れ出すコツを書かせていただきます。


車での外出:

遠方への移動や、悪天候の場合、子どもが病気の時などは、やはり車は便利です。1時間以上続けて車に乗せる時は、事前に授乳、オムツ替えを済ませておけば、たいてい、車の揺れと共に二人とも眠りに落ち、ぐずることなく目的地に行けました。妊娠後、しばらく運転から遠ざかっていた私。赤ちゃんを二人も乗せての運転は、最初はドキドキしましたが、必要に迫られてハンドルを握っています。双子ママはたくましくないとやっていけないと、自分に言い聞かせながら。

チャイルドシートは様々なタイプがあります。私は、新生児期から乳児期専用のベビーシートをレンタルし、高月齢になってお座りが安定してから、チャイルドシートに乗り換えました。

車で移動する場合も、目的地で二人を運ぶために、ベビーカーは必須です。ベビーカーを購入する時は、たたんだ時のサイズが車のトランクに納まるか、確認してください。


ベビーカー:

我が家では、ベビーカーは、二人乗りを1台、一人乗りを2台持っていて、場面に応じて使い分けています。(ツインベビーカーの選び方は、「第7回 双子の新生児を家に迎える」を参照ください。)

ツインベビーカーは重いので、バリアフリーでエレベーターがある場所へ外出する時に使います。

ツインベビーカーでは行けない場所(階段やエスカレーターがあったり、出入り口の幅がつかえてしまう場所)に行く時は、一人をおんぶか抱っこして、もう一人を一人乗りベビーカーに乗せて連れ出します。そのような場所に行く時、もし大人が二人いれば、一人乗りベビーカーを2台使って外出します。


ベビーキャリー(抱っこ紐):

おんぶ紐と抱っこ紐をダブルで使って二人を運ぶことは、私の体力では不可能でしたのでやりませんでした。また、幸い、我が家は集合住宅の1階に住んでいるので、バリアフリーで外出でき、おんぶ&抱っこはしないで済みました。

ただ、長時間外出する時は、おんぶも抱っこも出来るベビーキャリーを一つ持って行きました。ベビーカーに乗せた双子たちが外出先でぐずった時に、一人をおんぶし、一人を抱っこするための物です。

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同時に泣かれて、おんぶ&抱っこ!
厳しい・・・

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おんぶ&抱っこで夕食を食べる。落ち付いて食事ができるのは、いつの日か。


外出する時に持っていく物:

できるだけ、身軽に、外出時間や外出先に合わせて、必要最低限の物を持って行くようにします。

バッグは、両手が空くリュックタイプが、やはり便利です。私は、持ち手がついてトートバッグとしても使えるリュックを見つけ、愛用しています。双子を連れて、ツインベビーカーで買い物に行く時は、空のリュックを持って行って、買った物はリュックに入れて持ち帰ります。行商人のようですが、気にしません。

最低限の数のオムツ・お尻拭き・オムツを捨てるビニル袋。着替え2組。タオルなど。

母乳メインの私ですが、外出時は、哺乳瓶2本・粉ミルク・お湯を持って行きました。外出先で、二人に同時授乳が出来ない場合があるからです。お湯は、外出時間が短い時は、熱めの湯を哺乳瓶に入れて持って行きました(湯温が下がって飲み頃の時に調乳できるように)。外出時間が長い時は、お湯は魔法瓶に入れて冷めないようにして持って行きました。


困った時は・・・

双子を連れて外出した時、困ったことは、自分自身のトイレです。最近は、バリアフリーのトイレが増えてきましたが、いわゆる一般的なトイレしかない時は、私は遠慮なく、そこにいらっしゃる方にベビーカーに乗せた双子を見ていていただき、急いでトイレを済ませます。双子ママには、世間は優しいです。

電車に乗って、自動車で・・・どこでもスイスイ、軽々とはいきませんが、近所に行くだけでも、双子を連れて歩くだけで、冒険気分。子どもが小さいのは一時です。今は「慌てない、焦らない」と、出産した時決めたスローガンをつぶやいて、双子ママの私は乗り切っています。

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ツインベビーカーで外へ。道行く人が「ママ頑張って!」「双子ちゃん、かわいいね!」と声をかけてくれる。その言葉に励まされ、重いベビーカーも軽く感じます。


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