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第1回「放射線と子ども~正しく恐れるための知恵を学ぶ~」研究会:フリーディスカッション③食品の新しい基準値は厳しい

2012年9月28日掲載
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食品の新しい基準値は厳しい

稲葉 眞鍋先生に1つおうかがいしたいんですが、今度、食品の基準がすごく厳しくなりましたよね。先生が最後に、日本の農業の構造が変わってしまうんじゃないかというようなことを少しおっしゃったような気がします......。要するに、輸入と国産のバランスとか、この基準では日本ではもう牛乳はつくれないとか。そこまで極端ではないかもしれませんが、こういう事故を踏まえて、要するに基準は厳しくしておけば社会の批判をかわせるというか、マスコミも文句を言わないだろうというようなことで、もしどんどん厳しくしているのであれば、その不利益というものをどう考えるのでしょう。これをまた言うと、人命とお金とどっちが大事なのかみたいな議論になりかねないのですが、その辺、農業のご専門家の立場からご意見をいただければと思うんです。

眞鍋 昨年決まった暫定規制値というのが、そもそもあのとき、そんなにむちゃくちゃな値ではなくて、世界的にいろいろな基準値を見て、おおむねこんなものだろうということで、皆さん結構納得していたと思うんです。ところが、昨年12月ぐらいに、これは厚労省の方が中心になって、いきなり5分の1にしてしまった。確かにおっしゃるように、低けりゃいいだろうという考え方があるでしょうが、一方で、輸入品も含めてですが、農産物がほどほどのリーズナブルな価格で食料として供給できるというバランスが確かにあると思うんですよね。

むしろ困るのは、本当はクリアしていないのにクリアしたという偽物が出てくるほうが、ますます社会の多くの人の不安をかき立ててしまうということです。食べ物というのは、医薬品も同じでしょうが、「嘘は言わない」というのが基本だと思うんです。だからお互いに信じられる。ちょっと話がワープして恐縮なんですが、「冷凍食品に何か入っていた」とか、「牛肉のハンバーグだと言っていたのが、実はいろいろな肉が入っていた」とか、あれも要するに信用の問題なんですね。実は牛肉だけのハンバーグよりは、いろいろな肉が入ったほうが食べたらおいしいのですが、そういう問題じゃないんですよね。

特にミルクは子どもさんが飲む。今や大人はあまりミルクを飲まなくなっていて、日本で生産されたミルクのかなりの部分が、1つは粉ミルクになって赤ちゃんが飲んで、もう1つは小学校、中学校の学校給食で消費されている。それをちゃんと厳しくしましょうという発想はよくわかるのですが、ここでコストの問題になってくるんです。どこまでのコストに日本国民が耐えられるのか。

先ほど申し上げたように、牛というのは、ある程度、草を与えないと死んじゃうんですよ。だから、輸入した草を与えるということになるのでしょうが、草そのものは例えばアメリカで買ってもただみたいに安いんですが、運搬するのにすごくお金がかかって、なおかつ、下手に運ぶとカビちゃうんですよね。ポストハーベストとよく言われますが、小麦なんかでも、小麦自身は安いのですが、運ぶときにカビちゃうものだから、カビ毒を防ぐために、防カビ剤を噴霧する。そういう問題が別の意味で起こってきますので、トータルで考えたときには厳しい。当然、お金も高くなります。

今日お話ししたように、輸入の特別なエサ、あれは実験的に与えているのですが、値段で言うと10倍ぐらい高いんです。ですから、今、ミルク1リッターの市販価格は200円ぐらいだと思うのですが、200円でやろうとすると、どこかで誰かが嘘をつくようになる。変な話ですが、例えば牛肉食べ放題で2,000円とかあるじゃないですか。冷静に考えていくとあり得ないですよね。それはどこかおかしいと消費者も思うべきでしょう。ですから、食べ物はどこまで正直にやっていけるか。ここまでは我慢できるというようなことを、生産者も消費者も含めてラウンドテーブルでディスカッションしないと、どこかで破綻するという気がします。

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【第1回「放射線と子ども~正しく恐れるための知恵を学ぶ~」研究会】
1.研究会の4つの方針
2.講演1「放射線による健康被害のとらえ方」(稲葉 俊哉氏)①  
3.講演2「放射性物質の乳製品への影響」(眞鍋 昇氏)①  
4.コメンテーターからの発言
5.フリーディスカッション①   
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