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第1回「放射線と子ども~正しく恐れるための知恵を学ぶ~」研究会:講演2「放射性物質の乳製品への影響」①

講演者: 眞鍋 昇(東京大学 農学生命科学研究科教授)

2012年9月 7日掲載
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私は恥ずかしながら放射線の専門家ではありませんので、稲葉先生の話を聞いて、なるほどと目からうろこでした。私は、ふだんは牧場にいます。自分の専門はもともと繁殖学でして、例えば狂牛病にならないように、原因となるプリオンの遺伝子をノックアウトした(機能不全にした)牛をつくるというようなことをやっております。本日は、いわゆる畜産分野について、特に子ども学会ということなので、ミルクのお話を中心にさせていただきます。


天然の放射性物質は食品にも含まれる

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放射線と言っても、もともと自然界にはカリウム40という天然の放射性物質はものすごくたくさんあるし、宇宙から降り注いでくる放射線もあります。自分の体がもともと持っているカリウムを含め、私たちの生活はいろいろな物質の放射線に満ちあふれています。

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例えば牛乳ですと、1㎏の牛乳に50ベクレルぐらいの放射性物質が、太古から含まれています。海草、ホウレンソウ、魚も、50ベクレルや100ベクレル、場合によっては400ベクレルに近いものが含まれています。

また、自然の放射線ではないのですが、例えばジャガイモやタマネギについては、私たちがふだん食べているほとんどのものが、実は放射線を当てて芽が出ないようにして、流通しているのです。ですから、ジャガイモとかタマネギを食べる限り、私たちは放射線を浴びた食べ物も山のように口にしている。だから安全だとは言いませんが、むやみにおびえる必要はないし、こういう事実を一つひとつ冷静に認識していく必要があると考えています。


生乳は東北・北関東で生産される

TVコマーシャルでもありましたが、よく「牛乳は国産だ」と言われるのですが、私たちの食べ物のかなりの部分が海外からの輸入に頼っています。乳製品の中でも、牛乳からつくるチーズやバター、脱脂粉乳は、今やほとんど輸入品なのですが、私たちがいわゆる生でゴクゴク飲んでいる生乳は98%ぐらいが国産です。

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日本では1年間に800万トンぐらいミルクを生産しているのですが、その半分ぐらい、450万トンぐらいは生乳として飲んでいます。450万トンのかなりの部分が、小学校、中学校の学校給食で子どもさんに飲まれています。

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また、北海道などで作っているものはバターとかチーズになっていますが、もう1つは粉ミルクの原料として赤ちゃんが飲むというようなことで消費されています。ミルクの生産は、北海道が圧倒的に多いのですが、北海道のものはそのように加工品に使われまして、生ミルク、生乳のほとんどは岩手県、栃木県、千葉県、茨城県など、東北・北関東圏で生産されています。

低いレベルから、高いレベルまでいろいろあるのですが、昨年(2011年)の原発事故のせいで、東北・北関東圏の牧草地が放射性物質で汚染されてしまって、昨年から今年にかけて生産がとても不安定になっています。

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【第1回「放射線と子ども~正しく恐れるための知恵を学ぶ~」研究会】
1.研究会の4つの方針
2.講演1「放射線による健康被害のとらえ方」(稲葉 俊哉氏)①  
3.講演2「放射性物質の乳製品への影響」(眞鍋 昇氏)①  
4.コメンテーターからの発言
5.フリーディスカッション①   

筆者プロフィール

眞鍋 昇(東京大学大学院 農学生命科学研究科教授)

1978年京都大学農学部卒業。1983年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。日本農薬株式会社医薬・安全性研究所研究員、パストゥール研究所研究員を経て、1992年京都大学農学部助教授。2004年より現職。学術会議会員。
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