リレートーク

第3回 中部学院大学子ども学部子ども学科

                     竹ノ下祐二(子ども学科准教授)
                           


子どもがわかる・社会がわかる・自分がわかる


 中部学院大学子ども学部は 2007 年に設置されました。教育学と保育学を基礎に、子どもをとりまく今日の諸問題に対応できる理論と技術の学びを通した、教養と専門的知識のバランスのとれた教育者、保育者の養成を目的としています。


 「子ども学部」の英語名称は Faculty of Child Studies です。「〜学」というと、生物学(biology)や人類学(anthropology)のように"logy"という接尾辞のついた単数形の一語で記されるものが多いですが、子ども学は複数形のstudiesです。直訳すると、子どもに関する諸学、となるでしょうか。


 つまり、子ども学とは体系化されたひとつの学問分野というより、多様な学問の総合学問だといえるでしょう。したがって、子ども学の魅力は学際性にあります。本学部の教員も、教育学、保育学、社会福祉学、心理学、人類学、音楽、スポーツ科学など、多様です。私自身の専門は人類学・霊長類学ですが、同僚の先生方との交流の中で、日々新鮮な刺激を受けています。


総合力のある専門職養成


 本学部が目指すのは、学際的教養を備えた総合力のある子どもの専門職の養成です。まずは幅広い視点で子どもをみつめ、子どものありのままを理解し支援する。そして、子どもを通して、保護者など子どもとかかわる大人たちや地域社会のありようを学び、保育所や幼稚園、学校にとどまらず、社会の多種多様な場面で子どものために行動できるようになる。それが目標です。また、本学部の大きな特徴として、「"気になる" 子どもの支援」に力を入れています。それはいわゆる発達支援を内包しますが、発達支援に限定せず、さまざまな側面で "気になる" 子どもはすべて対象としています。


 子ども学は、その総合性・学際性のゆえに、ときどき周囲から「子ども学っていったい何だかよくわからない」と言われてしまうことがあります。たとえば、小学校教員採用試験を受験した学生が、面接官から "専門" を尋ねられ、他大学の学生は「算数」「理科」「体育」などの教科を答えていて、自分には科目の専攻がないといって困ってしまった、ということがありました。


 私は、「そのような時には『専門は子どもです』と答えなさい」と言います。実際、学生や卒業生をみていると、よい意味で "色のない" 人だなあ、と思います。それは、子どもを、保育される者、教育される者、支援される者といった型にはめるのではなく、ありのままの "子ども" として理解しようとする姿勢のあらわれだと思います。色のなさは専門性の欠如を意味しません。(光の三原色と呼ばれる) 赤・青・緑を混ぜあわせると白ができるような、総合性のあらわれです。学生たちはそうした自分自身の"色のなさ" をなかなかポジティブに評価できないきらいがありますが、もっと自信をもってほしいと思います。


子どもを通して自分をみつめる


 子ども学のもうひとつの魅力は、子どもを通して自分をみつめることができるところです。学生は授業で子どもについて学んだり実習等で実際に子どもと接することで、自分自身の子ども時代と自分の学びを重ねあわせてゆきます。実技の授業では童心に帰って遊んだり表現活動をしたりしますが、それが自己発見につながることもあります。子ども学には、学ぶものに自己理解をもらたしてくれるリベラル・アーツとしての一面もあるのです。「子ども」を冠する学部学科だけでなく、全国の大学の教養科目として「子ども学」が採用されたらよいのにと思います。


教育学部子ども教育学科へ


 本学部は 2015 年度から学部名称を「教育学部」に、学科名称を「子ども教育学科」へと衣替えします。それにともないカリキュラムも一部変更します。今まで以上に高い使命感と実践力を備えた、即戦力となる専門職の育成に重点を置くことになりますが、同時に、これまで「子ども学部」で培ってきた、総合的な子ども理解、そして子どもを通して社会や自分をみつめなおすという特色も、さらに発展させてゆきたいです。



中部学院大学子ども学部子ども学科
住所:岐阜県各務原市那加甥田町30-1
HP:http://www.chubu-gu.ac.jp/university/child/


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