リレートーク

第1回  甲南女子大学人間科学部総合子ども学科

                     一色伸夫(甲南女子大学教授)
                           


"子どもは未来である"


 "子どもは未来である"という言葉は、いつ聞いても私の心に染み入ります。NHK時代に、子どもに関する数多くの番組を企画・制作するなかで、出会った一冊の本でした。著者は、当時、東京大学医学部教授(小児科学)の小林登先生です。 また、子どもが好きな仲間たち(医学・工学・コンピューターサイエンス・認知科学・幼児教育・発達心理・美術館教育などに携わる医師、研究者、作家などからなる社会人の手弁当集団)と、様々な場、様々な形で子どもに関わる実践も行ってきました。

 その過程で、子どもの感性・想像力・協調性といった能力の源は、子ども時代の感動体験、知的好奇心を満たしてくれる豊かな環境から生ずると思っていました。そして、私たち大人は、その環境が等しく、子どもの身の回りにあるかどうかについて細心の注意を払う必要があると強く感じてきました。

 神戸市にある甲南女子大学は1998年、日本で初めて「国際子ども学研究センター」を開設しました。初代所長は東京大学名誉教授、日本子ども学会理事長であった小林登先生でした。2006年4月には総合子ども学科が設立され、私は教員として着任しました。

 「子ども学」とは、生物学的存在であり社会的存在である子どもを中心に考え、子どもを理解し、子どもの育ちを支援するための総合的に体系化された学問であると定義されたのです。2008年4月からは、私が国際子ども学研究センター所長を務めております。

なぜ、今、「子ども学」なのか

 少子化時代の今日、子どもが直面している問題は、あまりに多様で、その要因は複雑に絡み合っています。これらの子ども問題を解決するためには、子どもを取り巻く社会問題を科学的にかつ多角的に検証することが急務なのです。

 子どもの健やかな成長と発達を支援していくためには、子どもに関するさまざまな領域の研究を統合することが重要であり、その学問的基盤として「子ども学」が提唱されてきました。

 就学前教育におけるアンバランス、保育園では待機児童が急増し、幼稚園では定員に満たないというような問題が露呈するなかで、両者を統合するかたちで「認定こども園」が具体化しつつあります。

 今日の複雑で多様な諸問題の解決に向けて、子どもを見る多角的な視点とその総合化という「子ども学」が必要であり、その全体像を呈示する研究誌が、今まさに社会的に要請される所以なのです。

甲南女子大学と「子ども学」

 子ども学研究は、1998(平成10)年から、「国際子ども学研究センター」が開設されたときから始まります。"子どもに関心のある人が集まり議論するための場"として大学の授業の一環として生まれました。そしてそれを積み重ねることで、学際的かつ包括的な「子ども学」の体系づけを構築してゆこうと考えたわけです。

 主たる活動として、多角的な視点や方法論から子どもに迫るために、基調講演をしていただくプレゼンターと、別の角度からコメントしていただくパネリストという枠組みのもと、議論を深めてゆく形式を用いた「子ども学講演会~公開シンポジウム~」を年に6回開催することにしたのです。それを各年ごとに「子ども学研究誌」としてまとめてきております。 今日、「子ども学」を冠とした学部、学科が全国で130カ所を超えています。日本で初めて「子ども学」の講座を開設した本学では、16年にわたる外部の先生や実践家など様々な分野の人々が討議した公開シンポジウムを、延べ92回行ってきました。

 命のバトンタッチをスムーズにしていくために何ができるのか、安心して子育てできる環境をどうしたら構築できるのかなど、子どもが豊かに育つ社会をみんなで築いていくことが重要であり、甲南女子大学総合子ども学科では、その核として「子ども学」を位置づけています。明日の世界を担う"子ども"問題に関して、"子どもは未来である"のもと結集していきたいとの思いで、子ども学部・学科紹介(自己PR)リレートークに記しました。

甲南女子大学人間科学部総合子ども学科
住所:兵庫県神戸市東灘区森北町6-2-23
HP:http://www.konan-wu.ac.jp/~s-kodomo/


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