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CRN設立20周年記念

所長からのご挨拶

小林先生の先見性と勇気を受け継いで

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)が20周年を迎えました。CRNのミッションは、子どもにかかわる様々な立場の人々が未来の世界の主人公である子ども達について自由に意見を交換できる場と、既成事実にとらわれない先見的なアイデアを提供することです。

普段から、広く先見的な考えを探索しながら、いつも思うことはCRNの創始者である小林登先生が、きわめて先見性に富んだ方であるということです。

まだインターネットも現在ほど普及していなかった20年前に、インターネットを通じて子どもに関心をもつ世界中の人々を結びつけることをどうやってお考えになったのか、不思議に思います。また、そうしたお考えを、実行に移す行動力の秘密は何であるのか、小林先生のあとを継いだ者として学びたいと思っています。

最近先生のお若い頃のお話について、鼎談する機会がありました。そして、その中で先見性と実行力の源が何であるのか、やっと分かったような気がしています。

終戦直後、医学と医療において、日本の遥か先を進んでいたアメリカに留学しようということで、その志をもった医学部の同級生が大勢集まり、どうやったら留学できるのか議論したそうです。しかし実際に留学をするとなると、所属する医局から長い間離れなくてはならず、帰国後の身分保障などの不安要素があったため、結局実際にアメリカへの留学を決めたのは、同級生の中で小林先生を含む2名だけだったというのです。その当時のことを小林先生は、戦争で日本を圧倒したアメリカの小児医学がどんなものであるのか見てみようと思った、と淡々と語っておられました。

しかし、私はその淡々とした語り口の裏に、小林先生の先見性を裏付ける資質を見たような気がします。

それはなんでしょうか。それは勇気ではないかと思います。

アメリカの最新医学を経験してみたいという気持ちは、小林先生の同級生の方々ももっていたでしょう。しかし、帰国後の身分の保障という不安に打ち勝つ勇気をもっておられたのは小林先生を含めて2人しかいなかったのです。

先見性と良く似た言葉に、先進性という言葉があります。言葉は似ていますが、意味は全く違います。先進性のある事とは、その時代の先端を走っているという評価がすでに定まっている事柄です。しかし先見性の対象は、現時点でまだ何も評価がない事です。先見的であるためには、失敗や困難を恐れない勇気が必要なのです。

CRNでは子どもに関する先見的なアイデアや知見を紹介してゆきたい、と冒頭に書きましたが、小林先生が率いてこられた「先見性」のもとに20年間発展してきたCRNを引き継ぐ者として、勇気を奮い立たせてやってゆきたいと思います。

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)
所長 榊原 洋一

名誉所長からのご挨拶

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)20周年記念に寄せて

1996年にチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)を設立して、20年が経ちました。振り返ってみれば、CRNの出発点は、1992年にノルウェー国立子ども学センターがベルゲンで開催した国際会議 "Children at Risk" に出席したことでした。国際会議終了後、各国の代表的な研究者、実践者が20人程招かれて、美しいフィヨルドにあるホテルに泊まり込んで話し合いました。その結果、子どもに関係する世界の研究者、実践者をインターネットでつなぎ、話し合い、より良い方策を見出そうということになりました。

子どもは「生物学的存在」として生まれ、「社会的存在」として育ちます。子どもの問題を考えるには、学際的、環学的な人文科学と自然科学を融合した新しい科学としての「子ども学/Child Science」が必要であると、1970年代中頃から考えていました。

「子ども学」の普及と、上述のベルゲンから始まった国際的な動きに対応するために、国立小児病院を退官した1996年、ベネッセコーポレーションの当時の福武總一郎社長(現名誉顧問)の御支援によりCRNがスタートしました。

設立20周年のいま、21世紀はアジアの世紀と言われますが、これからのCRNは、「CRNアジア子ども学交流プログラム」という新しい企画が始動すると聞いています。所長の榊原洋一氏の新しい発想のもと、ますます活発に活動することになると信じています。みなさまも引き続きご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)
名誉所長 小林 登

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